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※誰視点かは想像にお任せします。

──ピッ、ピッ……ピッ! 

「……は? うそでしょ!?」

真夏の太陽が容赦なく照りつける昼下がり。遠坂邸の広々としたリビングに、凛の苛立ちに満ちた声が響き渡った。

彼女はエアコンのリモコンを何度もテレビに向けているかのように突き出し、親指で乱暴にボタンを連打している。だが、壁に備え付けられた冷房機は沈黙を保ったままだ。

私は少し離れた廊下の物陰から、その様子を密かに観察していた。

いつもは完璧に結い上げられているツインテールも、今日ばかりは熱気で少し乱れている。お馴染みの赤い半袖シャツにはすでにうっすらと汗が滲み、苛立つ彼女の頬は茹だるような暑さで赤く染まっていた。

「信じられない……っ! 久しぶりの猛暑日で、今年初めてクーラーをつけようとしたらこれって……絶っ対に何かの呪いよ!」

ついにリモコンを放り投げた凛は、その場にドサリと座り込んだ。

じわじわと室温が上がっていく密室。彼女は限界を迎えたように赤いシャツの襟元を指で大きく引っ張り、バサバサと強引に風を送り込み始めた。

少し上からのアングルとなる私の視界には、彼女が襟元を引くたびに、深く影を落とす胸の谷間と、そこに滴る艶やかな汗の粒がはっきりと映り込む。荒い呼吸に合わせて上下するその豊かな膨らみは、見ているこちらの体温まで跳ね上がらせるようだった。

「あー……もう無理。死ぬ、溶ける……っ」

暑さに耐えかね、凛は天井を仰ぎながら盛大な独り言をこぼし始めた。

「こうなったらユミのところに避難……いや、だめだわ。今日は確かセイバーと出かけていて留守のはずだし……」

そこまで言って、凛は忌々しげに顔をしかめて大きくため息をついた。

「仮にいたとしても、あのセイバーのことだから『我が家は避難所ではありません。今日はユミとの大切な──』とかなんとか言って、どうせ歓迎されないのが目に見えてる……っ! はぁーっ、最悪!」

八方塞がりの状況。誰もいない空間で、ついに彼女は優等生の仮面を完全にかなぐり捨てた。

~続~

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