【メリュジーヌ】最速の竜と、夜の水面の特異点【ストーリー完全版】 (Patreon)
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貸し切り状態のナイトプールは、微かな水中照明に照らされて、揺れる青い光の模様を壁面に描いていた。 日中の喧騒が嘘のように静まり返ったカルデアの人工リゾート施設。そこで私は、私の愛しいマスターと共に、短い休息の時間を過ごしていた。
「マスター。……こっちだよ」
プールサイドのデッキチェアに腰掛け、私は彼(彼女)を手招きした。 今日の私の武装――否、水着は、カルデアのシミュレーターを利用して特別に調整したものだ。黒の極小のマイクロビキニに、あえてフロントを開け放ったノーブラのジャケット。 私は少しだけ脚を開き気味にして、座面に浅く腰掛ける。ジャケットの隙間から覗く胸の谷間と、ビキニボトムの細い紐を、マスターの視線が無意識に追っているのがわかった。
「……どう? 似合ってるかな」
「すごく似合ってるよ、メリュジーヌ。でも、ちょっと肌寒いんじゃない? 前がかなり開いてるし」
「ふふ。気遣ってくれるのは嬉しいけれど、私は竜だからね。この程度の気温変動なんて、誤差にもならないよ」
私は小さく笑いながら、マスターの困惑したような、けれど確かな熱を帯びた瞳を見つめ返す。
彼女はいつもそうだ。私という『最強の兵器』を前にして、恐れるどころか、ひたすらに労わり、優しさを向けてくれる。だからこそ、私はこの人を私のただ一人の運命だと直感し、観測したのだ。
(……好きなものは目の前にいるんだから、いちいち言わなくても分かってほしいんだけどな)
「さあ、入ろうか。水温もちょうどいいよ」
私は立ち上がり、滑るような動きでプールへと足を踏み入れた。 冷たい水が私の素肌を包み込む。私はプールのフチに両腕を乗せ、少し前傾姿勢になって水面から顔を出した。 マスターもゆっくりと水に入り、私のすぐそばへとやってくる。
水中からの見上げるようなアングル。 濡れたジャケットがぴったりと私の肌に張り付き、胸の起伏を否応なく強調している。水面の境界線ギリギリに見え隠れする私の太腿とビキニボトムの境目に、マスターの視線が再び泳いだ。
「マスター。顔が赤いよ? やっぱり、少し熱があるんじゃない?」
「い、いや、水が温かいし。 あと、メリュジーヌが近くて、その……」
「近い? これくらい普通だと思うけど。……一心同体になる未来はもう決まっているんだから、今のうちから慣れておいてもらわないと困るな」
私は意地悪く微笑みながら、さらにフチに寄りかかり、水に濡れた髪をかき上げた。 水滴が鎖骨を伝い、深く開いたジャケットの谷間へと消えていく。
マスターは限界を迎えたように、「ちょっと泳いでくる!」と慌てて私から少し距離を取った。
「もう……マスターは照れ屋さんだな」
水面を蹴って泳ぎ出したマスターの背中を見送りながら、私はふと、自身の背中――いや、腰のあたりに意識を向けた。 私の水着姿のもう一つの特徴。それは、黒のマイクロビキニボトムに深く食い込むように配置された悪魔のような細い尻尾と、腰から生える小さな羽だ。 水から上がって後ろを向いた時、この尻尾と羽、そして極小の布地に包まれた私のヒップラインが、マスターの目にどう映るのか……。
(……マスターの理性を突破するのは、もう少しかかりそうね)
私はプールサイドに両手をつき、しなやかな動作で水から上がった。 水滴が滴る身体のまま、わざとゆっくりとマスターの方へと背中を向ける。 水面から顔を出したマスターが、私の後ろ姿――ビキニに食い込む柔らかな丸みと、特徴的な尻尾のライン――を見て、再びフリーズしたのが気配でわかった。
「マスター」
私は肩越しに振り返り、夜の闇でもはっきりと見える光を帯びた瞳で彼(彼女)を見つめた。
「まだ時間はたっぷりある。私のこと……この先ずっと、24時間、君の隣で愛させてあげるからね。……おいおい、ね」
夜のプールの静寂の中、私という最強の竜が仕掛ける甘いロックオンから、私の愛しいマスターが逃れられる未来は――当然ながら、どこにも存在しなかった。
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