Home Creators Posts Import Register Favorites Logout

Content

赤く妖しい光を放つ水晶が、冷たい石の壁を照らし出す冥界の最深部。

玉座の間には、本来であれば決して交わるはずのない二人の女神の、対照的な息遣いが響いていた。

「ここは私の領域、冥界なのだわ。何の対策もなく無防備に踏み入ればどうなるか……相変わらずの浅はかさね、イシュタル」

漆黒のドレスに豪奢な金の装飾を纏った冥界の女主人、エレシュキガル。彼女は石の玉座から、冷たく傲慢な笑みを浮かべて見下ろしていた。

その視線の先――冷たく硬い石の床に力なく跪かされているのは、美の女神イシュタルだった。冥界の法によってすべての権能と神性を削ぎ落とされた彼女は、いつもの自信に満ちたオーラを完全に失い、黒のビキニと白いトップスの頼りない衣服のまま、ガタガタと情けなく肩を震わせていた。

「くっ……わ、罠よ! あんた、私をハメたわね……っ! 力さえ戻れば、こんな暗くてカビ臭い場所、一瞬で吹き飛ばしてやるんだから……っ!」

「あら、まだそんな減らず口を叩く元気が残っているの? 権杖を突きつけられて、膝から崩れ落ちている泥棒猫のくせに」

エレシュキガルはスッと目を細めると、ゆっくりと玉座から立ち上がった。ヒールが石畳を叩く冷たい音が、無力なイシュタルの心臓を嫌でも縮み上がらせる。

「言葉で言っても分からないなら……その身体に直接やってしまったまったことの重さを刻み込んであげる必要があるのだわ!」

「え……? ちょ、ちょっと、エレシュキガル……何をする気……きゃあっ!」

エレシュキガルはイシュタルの腕を強引に掴むと、自分の膝の上へと彼女をうつ伏せに引きずり込んだ。♦――激しい嵐が過ぎ去った後の、静寂。

冷たい石の玉座の上。

イシュタルは全裸のまま、身体を丸くして膝を抱えていた。お仕置きの痛みと、その後の極限の快感で完全に骨抜きにされ、まだコクコクと小さな余韻に震えながら、真っ赤な顔を背けてむくれている。

そんな彼女の肩に、ふわりと温かい布が掛けられた。

エレシュキガルの、赤いマントだった。

「……寒いでしょ」

振り返ると、エレシュキガル自身も顔を真っ赤にして、気まずそうに目を逸らしている。先ほどまであんなに激しく貪り合っていたくせに、事後になった途端、お互いに素直になれない不器用さがそこにあった。

「……別に。寒くなんか、ないわよ……」

イシュタルはぷいっとそっぽを向きながらも、掛けられた赤いマントの端を、両手でギュッと大事そうに握りしめた。

マントから漂うエレシュキガルの匂いと温もりに包まれて、イシュタルの頬はさらに熱く染まる。ツンデレな二人の、不器用で、けれど誰よりも甘く愛おしい冥界の夜が、静かに更けていった。

Files

Comments

No comments found for this post.