Home Creators Posts Import Register Favorites Logout

Content

しんと静まり返ったカルデアの一角、畳の香りが心地よく漂う和風のマイルーム。

行灯の柔らかな光が灯る室内には、芳醇な日本酒の香りが満ちていた。

「は〜、お酒もお肴も美味しくって……なんだか少し、ほろ酔い気分になってしまいましたね。おとっさんもお酒の匂いにつられて顔を出しそうなところを、今は何とか抑えていらっしゃいますけれど。ふふっ」

「ハハッ! なぁにお路っちゃん、いい酒なんだ、遠慮なんざ要らねぇよ。旦那が大人しくしてる隙に、今宵は二人で大いにやろうじゃねぇか」

対面に座る葛飾北斎──お栄は、徳利を傾けて自身のお猪口に酒を注ぐと、くいくいと煽った。

お栄の頬も朱に染まり、額にはうっすらと珠のような汗が浮いている。酔いが回ったその瞳はどこか怪しく潤み、目の前の可憐な絵師仲間──お路の姿を、まるで極上の美人の画題でも見出すかのように、じっと熱っぽく見つめていた。

Files

Comments

No comments found for this post.