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「ミミ、そこの香辛料を取ってちょうだい」

「わかった!これかなぁ?」

私の声に反応して香辛料を渡してくれた彼女に、ありがとうと言うと嬉しそうに笑った。

彼女は一緒に生活しているホムンクルスである。とてもかわいげがあって元気いっぱいの子だ。


ホムンクルスは、錬金術師が作成依頼者の魔力を使って作る人工的に作りだした存在。できあがるホムンクルスは様々、どんな姿で産まれてくるか分からないところがある謎の生命体である。

知能もそれほど高い訳では無いが、がんばって教え込めば一応、人間8歳相当には理解能力を高めることは出来る。

なのでホムンクルスを作った者は皆、簡単な労働力として使用している。少しでも楽になるならと皆作るのだ。

知能の差で間違えることは無いが、人間と区別するために、その首には持ち主が首輪をつけて管理する義務がある。

ちなみに、8歳相当の知力があるホムンクルスは、上級ホムンクルスと呼ばれ、首輪の他に、指定された灰色の貫頭衣を着せる決まりがある。

知力が低く生まれた3歳相当のホムンクルスは、下級ホムンクルスと呼ばれ、首輪のみの着用義務で、服は着せてはならない決まりだ。

どちらが生まれるかは半々の確率だそうだ。

その扱いは犬猫と同じ、ペットのように扱う家庭が多い。


かく言う私もミミというホムンクルスを飼っているのだが、めちゃくちゃやんちゃで手がかかる。しかもこのホムンクルス、私に似ているというのが全くもって遺憾である。

錬金術師に頼んで作ってもらった時はそれはもうびっくりしたものだ。顔だけでなく体も似ているものだから、チームのみんなに笑われた。

作ってもらった直後で貫頭衣を着せる前だったので、まるで自分の裸を公衆の面前で見せつけているような気持ちになって、恥ずかしくてしばらく顔をあげることが出来なかった。


今は冒険者ギルドで依頼を受けて向かっている途中で、休憩中である。前衛の剣士の私ことシェリルとアイザック、注意を引きつける盾使いのサミュラ、サポート&回復担当のラーナの4人で組んだ、男女2:2のパーティー‪”‬ワイバーンの目‪”‬が、私達のチームだ。

昼食を女性陣、私とラーナの2人で作っている。

「ララ、出来上がったスープ男2人に配ってきて」

「...わかった..」

ラーナは自分のホムンクルスであるララに指示すると、自分の分のスープをよそい始める。

私もホムンクルス達用のご飯を準備して皿にも盛った。ホムンクルス達は専用のご飯があり、野菜や少しの肉をペースト状にしたものである。普通に安くお店で買えるので助かっている。

私たちのチームは全員ホムンクルスを作っていて、私を除いて皆作った自分自身とは似ていない。作成者の魔力が関係してるのだろうが、作った錬金術師にも分からないのだから、本職では無い私が考えたところで無意味であろう。

しかし、皆の連れてきてるホムンクルス達は女性というか少女の見た目しかおらんな。無邪気にホムンクルス同士でじゃれて遊んでいる。

まあ、私達も15歳でそう年齢は変わらないが。皆孤児院の出身で、気心知れていて遠慮は無い。成人年齢の15歳になったら出なければ行けない決まりなので、前々から話していて15歳になった5ヶ月前、チームを組んで冒険者登録したのだ。

初めの頃は何もかも手探りで大変だった。懐かしいなぁ。


「ほら、ぼーっとしてないで、早く食べて近くの村まで行こう?」

思いにふけっていると、ラーナから声をかけられた。

今回の依頼は、村の近くにできたゴブリンの巣を壊すことである。

昼食をささっと食べて、身支度を整え、先を急いだ。


しばらく歩いていると村が見えてきた。

「あーっと、あれだよな」

「そうだね。うんあの村の目印、地図にもあるから間違いなさそうだよ」

アイザックとラーナが話すのを横目に見ながら、サミュラに話しかける。

「何か特産とかあるといいね。おいしいやつ」

「シェリルはいつも食べ物のことばかりだよね」

「おいしいものは食べるだけで幸せになれるのだよ」

ふっふっふと笑う私にサミュラは苦笑いを浮かべた。

村の中に入ると宿を探す。もうすぐ夕暮れなので、これから活動するには危険すぎるからだ。

中規模のこの村にはなかなか良い宿があって、料理もおいしくて、寝心地もよくぐっすりと眠ることが出来た。


翌日、馬小屋に預けたホムンクルス達を引き連れて、少し離れた、ゴブリンが巣を作ったと言われる森へと足を踏み入れた。

「なんかこの森、空気がちょっとジメジメしてるね」

「昨日の夜に雨降ったみたいだから仕方ないよ」

ラーナと2人小さな声で話していると、しっとアイザックが静かにするようにとジェスチャーをして、前方を指さした。

音をなるべく立てないようにアイザックに近づいてみると、少し遠くで草を編んで作った家らしきものがたくさんある場所があり、ゴブリンたちが見えた。

あれが今回の依頼にあったゴブリンの巣だろう。

4人で顔を近づけて作戦を話し合った後、ゴブリンの巣の近くまで行って殲滅を実行する。


作戦は見事に上手くいき、ゴブリンを全滅させることが出来た。4人でやったねと声をかけていると、全滅させたことで気が緩んでいたのかもしれない。

木の影から魔力でできた矢、マジックアローが私へと飛んできて、体をつきぬけた。

「シェリル!大丈夫か?!」

3人はこちらをちらりと見ながら、攻撃してきた方向に武器を構える。

「だ、大丈夫。と言うか、何ともない...?」

たしかに当たったはずなのに、痛みもなければ当たった場所に傷も服の破れもない。何ともないが、攻撃されたことは事実だ。私も武器を構える。

だか今度は先程とは違う場所からたくさんマジックアローが飛んでくる。サミュラが盾を構えて受け流しつつ、皆で近づいていく。動き回っている敵をやっと追い詰めると、魔族のようだった。しかも1人相手に私たちが翻弄されるとは。

捕らえた魔族は魔法使いで後衛タイプのようだ。これ以上攻撃されると危険なので、その首をはねようとアイザックが剣を振り上げたその時、その魔族は最後の抵抗とばかりにマジックアローをラーナに向けて放った。

「危ない!」

ラーナの体を押して、共に地面に転がって避けられたが、避けた先には荷物持ちのホムンクルス達。マジックアローはその中に入っていき、ミミへと当たった。


「おいお前ら大丈夫か!」

魔族を処理し終わったアイザックとサミュラがこちらへ駆け寄ってくる。

「う、うん、大丈夫。ありがとうシェリル」

ラーナに目立つ傷はなさそうだ。

あ、ミミは大丈夫かとそちらを向くと、当たった場所をキョトンとしながら触っている。あちらも問題なさそうだ。

「シェリルってホムンクルスに優しいよな。死んだらまた作ってもらえばいいんだから、そんなに気にかけなくていいのに」

「いや、私の姿してるのに死なせたら後味悪いでしょ」

私もそこまで気にはかけていないが、自分に似てる死体が出来上がったら気持ち悪いじゃないか。

大変な目にあったが今回の依頼も何とかなったなぁと、今度はちゃんと警戒しながら村の宿へと足を向けた。


翌朝目が覚めると体に少し違和感があった。なんだか力が入りずらいな。

「..ふわぁ...んー..おはよー、起きるの早いね」

隣で寝ているラーナが目を覚ましてあいさつをしてきた。

宿は男女別々で2部屋とっている。

「おはよう。なんだか寝つきが悪くて、あんまりぐっすりとは寝れなかったんだよね」

「そっか。今日はあと王都に帰るだけだし、もうちょっと寝てたら?」

その言葉に甘えて、二度寝することにした。


目が覚めた後、皆で宿で朝食を食べて荷物をまとめて、馬小屋からホムンクルスを回収し、王都へ向けて出発した。

「あの村特に変わった食べ物なかったなぁ」

私が愚痴をこぼすと、本当に食べ物しか目がいかないんかとみんなに笑われた。

王都に無事にたどり着き、ギルドで依頼達成報告と報酬金の受け取り分配を終え、今後の依頼について話し合ったあと解散した。次は2日後に集まることになっている。それまでは休息だ。

2ヶ月前に中古で買った自宅に戻って、荷物整理やら掃除をミミとしていたらすっかり外は暗くなっていた。


「ミミ、何度も聞いたけど本当に大丈夫だよね?」

作った夕食のシチューを食べながら聞く。

「うん!痛くないよ!」

心配してもらえるのが嬉しかったのか、ニコニコとしながら足をプラプラさせている。

「でも何かいつもと変わったことがあったら言ってね?」

そう言って夕食を再開した。

食べ終わったらお風呂に入って、眠りについた。2ヶ月とはいえ慣れ親しんだ我が家は宿とは違って快適で、すぐに夢の中へと旅立たせてくれた。


翌朝目が覚めると、この前と同じようにまた体の不調を感じた。王都に戻ってくる途中の宿や野宿でも度々感じていたが、疲れが溜まっているものと放置していた。

不調を感じるのはきまって、眠りから覚めた時だ。大体は力が入りにくいというものだが、最近考えが上手くまとまらないことがある。これは1度、医者に見てもらうか。

そう決めた私は、朝食を食べたあとミミを家に置いて治療院へと足を運んだ。

「んー、特にこれといって病気というわけではなさそうですね。これをつけて少し腕に力を入れてください。どうですか力の入り具合変わらないですかね?」

眼鏡をかけた優しそうな医者は手を尽くしてくれたが、原因は分からなかった。

ならばと今度は教会に行く。

「え?魔族に?黒いマジックアローですか?いやでもまずその症状の方は今まで見た事ありませんね。もしかしたら魔王に近い魔族だったのかもしれません」

通常のマジックアローは赤色なのだが、あの魔族は黒色のマジックアローを放っていた。ことの経緯を説明したがここでも原因は分からなかった。

一応と、回復魔法と状態異常回復魔法をかけてもらったが効果はなかった。

教会の方も言っていたが、魔王に近い魔族いわば側近クラスは滅多に人とは出会わない。それこそ勇者でなければその存在を確認することはないだろう。それほどまでに強い存在だ。

いやしかしあの魔族が側近だったとでもいうのか?確かに危なくはあったが、あっさりと倒れたぞ?

結局なにも分からなくて、収穫なしの手ぶらで自宅へと帰った。


そして今日は依頼をこなす日、荷物をまとめてミミと冒険者ギルドへと向かう。あの翌日も体がだるくて、今日もちょっと体が重く感じるが、お金のひいては生活のためだ仕方ないがんばろう。

ギルドに着くとチームの皆はすでに集まっていたので、ワイルドベアの依頼を受けてすぐに出発した。

いつもと同じペースで歩いているが、なんだか歩きが遅いのを自分でも感じる。見かねた皆が少し早いが休憩しようと提案してくれた。

「大丈夫?なにか疲れること昨日やってたの?あ、引越しとか?」

「えー、そうなのか?うまくお金貯めてんのかよ、うらやましいぜ」

「いやアイザックおまえは、報酬金もらったらすぐ飲み代に変わるじゃないか。貯める気ないよね」

「いや違う違う、なんか最近というか魔族倒したあたりから体の調子悪くてさ。治療院とか教会行ってもさっぱり分からなかったんだよね」

それやべーなとか大丈夫?とか皆は言ってくれたけど、どうしようもないので大丈夫と答えておいた。

休んだら少し体力が回復したので、また歩き出す。


夕暮れ近くになってきたので、皆でテントを立てて、夕食をとる。今日の夕食は、近くで狩った野うさぎの焼肉と豆のスープだった。

それから最初の見張り役以外はテントに入って、見張り役の番がまわってくるまで体力回復に務めた。

眠りについてしばらくすると、見張り役が私の番になったようで交代のために起こされた。まだ空は暗いが、もう数時間すれば朝になるな。

焚き火を前に温めた水を飲んでいると、こんな時間でも元気なミミが地面に木の棒で何か描いていた。他のホムンクルス達は寝ているのでさすがに静かに遊んでいるようだ。

しばらく見ていると、パキッと枝が折れた。むぅーと唸ったミミは新たに近くの枝を持ってきて描くのを再開する。がしばらくするとまたパキッと枝を壊してしてしまう。

その光景を見て私は首をかしげる。前にもミミがこうして地面になにか描くことはあったが、何回も枝を折ることはなかった。今使っている枝も太さがあり、そうそう折れたりはしないはずなのに、まるで力加減の分からない幼い子供のような力の使い方をしていると思ってしまった。

これってもしかしてと思い、ミミに声をかけて私が使っている剣を持たせてみる。

すると今まで筋力不足で持ち上げることすらできなかったのに、少しふらつきながらも剣を持てている。ミミは最近そういう遊びをしているのか、いつの間にか筋力がアップしていたらしい。

剣を回収して、すごいねとミミを撫でた。これで何かあったらミミも戦力として数えることが出来るかもしれないそう思った。


夜が明けてきたので皆を起こして、テントを片付けた。

「今日はサンドイッチね」

「この先の村も近いし、腐る前に食材使わないとな」

「村で野菜買わないと。安いといいなー」

「そろそろ移動用に馬車も欲しいけどまだ手が届かないよなぁ。あったら食事ももっと豪華にできるのに」

それぞれ食事をとって村へと歩く。

そして数日歩いて村に着いたら宿に泊まって、次の日にはまた出発した。


「はぁはぁはぁ、す、少し休まない?」

私が疲れたと声をあげると皆こちらを向いて、しょうがないなーと休憩し始めた。

出発し始めてからさらに体調悪化があり、体力低下が著しい。疲れる頻度が増しているので、メンバーのみんなからの視線が痛い。

「本当にごめんね」

「まあ、体調がわるいのはどうしようも出来ないし、仕方ないよ。王都に戻ったらちゃんと休むんだよ?」

励ましの言葉をもらって元気が出た。

休憩が終わり歩くのを再開して進んでいくと、依頼書に記してある場所にたどり着いた。

「ここだね。どこに潜んでいるか分からないから気をつけて進もう」

うっそうとしげる草をかき分けて進んでいくと、前方で何かの音が聞こえた。武器に手を添えてじっとしていると出てきたのは野うさぎだった。

はぁっと皆で緊張をとくと、少し遠くの離れた場所から木がなぎ倒される音が聞こえた。木をなぎ倒せるほどの力があるモンスターは数える程しかいない。慎重に近くまで行くと見えたのはやはりワイルドベアだ。

近寄ったため、耳のいいワイルドベアにすぐに発見されてこちらへすごいスピードで迫ってくる。

「ぐおおぉぉーーっ!!」

大きな声で襲いかかってくるワイルドベアに剣を抜こうとすると、全然抜けない。あれ?あれっ?と私が焦っている内に、サミュラが盾で引き付け、アイザックが斬りかかっている。

異常に気づいたラーナが私の腕を引っ張って離れさせる。私より力がないはずのラーナに簡単に引っ張られたことに驚いていると、ワイルドベアを見ながら私に対して叱咤の声を浴びせる。

「何やってるの!死んじゃうでしょ!早く武器を構えて!」

その声に再度腰につけている剣を抜こうとするが、全然抜けない。

「こんなところでふざけないでよ!....え!なに?本当に抜けないの?」

「ほ、本当に抜けないの!なんだか体も重い..」

と言って私は地面に座り込んでしまった。

「ちょっと!もう!...ララっ!他の子達と一緒にシェリルを後ろに下がらせて!」

私はホムンクルス達に持たれて、後ろに下がった。


不甲斐ないそう思いながら戦っているみんなを見ながら、数日前のことを思い出した。

ミミを呼んで、私の剣を持つように言う。ミミは危なげなく何ともなさそうに剣を持っていた。振り回してもらったが、問題はなさそうだ。

「ラーナ!ミミが戦えるから使って!剣も問題なく使える!」

後方から声をはりあげてそう叫ぶと、困惑の表情をしていたが、今は少しでも戦力が欲しいと了承した。

魔法が使えたら良かったのだが、私には魔法が使えるほどの魔力はない。

私に代わってミミが前線へと行きワイルドベアと戦うさまは、圧巻という他なかった。本当に知力8歳相当しかないのかと思うほど縦横無尽に駆け回って仕留めたのだ。もしかしたら私よりも強いかもしれない。


「いやー、助かったぜ。そもそもミミって戦えたんだな」

ミミの肩を叩きながらアイザックが話す。

「いっ、痛いよ!もうっ」

先程の戦闘でかすり傷を負ったところに振動が響いたのか、アイザックの手を退けて頬をふくらませる。

今やミミは普通の10代の少女のように話すことが出来るようになっていた。普段から一緒にいるせいか、私と話し方も似ている。途中からこんなに知能が高くなるなんて聞いたことがない。だから最大で8歳相当までだと言われているのに。

そんなミミを、はいはいすぐ治すからねとラーナが回復魔法をかけてあげていた。普段はホムンクルス相手に回復魔法をかけないラーナだが、先程戦闘を頑張ったのを知っているのでかけてあげたのだろう。

回復魔法をかけ終わったラーナがこちらに振り向く。

「シェリル、今も剣持てないの?」

そう言われたので確認するために、ミミから剣を受け取ると、重すぎてバランスを崩し剣の先が地面に刺さった。

「危なっ!」

「えぇっ!もしかしてさっき戦闘に来なかったのって、持てなかったのが原因なの?!」

アイザックとサミュラが驚いていたので、うんごめんと返事をした。

「やっぱり相当だよね。これで原因不明とか...やっぱりちゃんと休息できてないんじゃないかな?」

「たしかにな。とりあえず持てるようになるまでは、代わりにミミに戦ってもらうのはどうだ?」

えっ私?とミミが驚いていた。たしかに何かあった時3人で帰りの道中戦うよりも、ミミを入れて4人でことにあたった方が安全性が増す。私も賛成だ。

「でもなぁ、服はどうするよ。鎧ないしこのまま貫頭衣で戦って死なれても迷惑だぞ」

「いやそれならシェリルの使えばいいんじゃない?その着てる鎧なら防げるでしょ?」

「ちょ、ちょっと待って!私もミミに死なれたら嫌だけど、この鎧脱いだら着るもの下着しかないんだけど!皆換えの鎧ないの?」

皆にそう聞くが、逆にそんな重い物無理してまで持ってくると思っているのかと言われてしまった。たしかに私も同様換えは下着しかない。

「仕方ないでしょ。それとも羞恥心で嫌がったがために、シェリルが大事にしてるミミが死んでもいいの?」

別に大事にしてる訳じゃないが、死なれたら後味が悪くなる。仕方ないか。

「...分かった。鎧脱ぐから、一旦テント出すよ」

見晴らしの良いところまで歩いてテントを立てて中に入った。

丈夫な皮を主に使い、要所要所に鉄が使われている防具を脱ぎ去ると体がものすごく軽くなった。愛用していた鎧が重く感じるなんてよっぽどだな。

脱ぎ終わったので、ミミを中に呼ぶ。

「ミミ着てる服脱いで、今からこの鎧着てもらうからね」

分かったと答えて着ている貫頭衣を脱ぎだした。

「あー、下着も必要か」

ホムンクルスには下着を着せないのでうっかりしていた。そのまま素肌に鎧着せると傷つくどころの話じゃない。

荷物から替えの下着を取りだしてミミに着せようとすると、私の手から下着をとっていった。

「私自分で着れるよ。大丈夫、いつも見てたから」

そう言うと下着も鎧も1人で着始めた。なんかここ何週間かで成長が著しいな。着終わったミミを見ると、首輪があること以外普段の私そっくりだった。

ミミはそのままテントの外に出ていったが、私は下着姿のままなので恥ずかしくてなかなか外に出ることが出来ない。

テントの外では、うん似合ってるや、シェリルそっくりという声が聞こえてくる。

いつまでたってもテントから出てこない私を心配したのか、ラーナがテントに入ってきた。

「どうしたの、覚悟決めたんでしょ?そりゃ、私も下着で外歩けって言われたら躊躇するけど、今回は仕方ないよ。道中で死ぬよりはましだよ。恥ずかしいならこれ着たら下着も見えないよ」

そう言って指さしたのは、さっきまでミミが着ていた貫頭衣だった。

「嫌かもしれないけど、下着を見られるよりは恥ずかしさ抑えられるでしょ?」

確かに言うことは当たってる。でもなぁ...いや、うん死ぬより恥ずかしさよりましか。

他に選択肢もないので、仕方なしに貫頭衣を手に取る。

ミミがさっきまで着ていた貫頭衣は、汗を吸ってびちゃびちゃになっていた。先の戦闘でも動いていたがそれだけでなく、普段から活発なミミは動くのが好きで汗をたくさんかく。

普段からちゃんと洗っているが、石鹸で洗う私の服とは違って、水洗いの貫頭衣は着古されて汚れも目立つ。

我慢して一気に被るように着ると、べちゃりと肌に張り付いた。うぅ、気持ち悪い。しかも少し動いただけで、ツンとする汗の匂いとミミの体臭が香ってくる。

「うんまあ、下着も出てないし似合ってるからいいんじゃない?シェリルとミミ似てるから、これで首輪つけたらミミって感じだね」

「似合っちゃ困るって。冗談はやめてよー」

2人でふふふと笑って外に出た。


テントを片付けて、出発しようとすると、ララが服を引っ張ってきた。

「...ミミ..ご主人様の荷物持たないと..」

声をかけられて一瞬戸惑ったが、間違いを正すべくララの目を見て答える。

「ララ、私はシェリルだよ。ほら首輪ないでしょ?」

「...?....着てるもの一緒...でも首輪ない..」

説明したのだが、自分と着てるものが一緒だから、ミミじゃないの?と首を傾げている。確かにこの貫頭衣は上級ホムンクルス専用の服だが、そのくらいの知識はもっているのか。いや、ラーナがちゃんと教えたのか。穴抜けで覚えているようだが。

「いいララ?ララが今付けてる首輪とその服の2つがそろっていたら、上級ホムンクルスなの。服を着ていなくて首輪しかなかったら、下級ホムンクルスなの。分かった?」

「..分かった...」

ちゃんと分かってくれたようで、私のことはシェリルだと認識したようだ。


そんなことをしているとアイザックから声がかかる。

「おーい、話し合いは終わったか?早く出ようぜ」

「そうだね、シェリルは自分の荷物は自分で持っていくってことでいいんだよね?ミミに持たせちゃうと、いざという時戦えないし」

アイザックに同意したサミュラが、荷物について聞いてくる。確かにそうだなと思ったので、今まではミミに持ってもらっていた荷物を持って、チームの皆の後について歩いていく。

後方で歩くのは荷物を持ったホムンクルス達なので、一緒になって歩いているのだが、ホムンクルスの2人がきゃっきゃっとじゃれてくる。アイザックのホムンクルスのナナと、サミュラのホムンクルスのモモだ。

私はシェリルだと何度も説明したが、ララとは違いあまり理解していないようで、私のことをミミだと思ってじゃれてくる。仕方ないので次の休憩する場所まで適当に構ってあげながら歩いた。

休憩場所に着くと、痛めた足を見る。足の裏は傷だらけで血が出ていた。

靴もミミが履いているので、私は初めてホムンクルス達と同じように裸足で歩いたが、そんなことしたことがなかったため、簡単に傷がついた。

それに気づいたラーナが回復魔法を使ってくれた。感謝だ。

またこの先怪我するかもしれないので、着ている貫頭衣の裾を少しちぎって足に巻いた。裾が少し短くなったが、これなら傷がつくのを軽減できるだろう。


それから数日歩いて少し遠くに村が見えてきた時、ラーナが声をかけてくる。

「村に入る前に、ミミに着けてる首輪シェリルが着けてもらえないかな?」

「え、なんで?」

「このまま村に入ると首輪がないホムンクルスを連れてるって私達が捕まっちゃうでしょ?」

「いや、ミミと全部交換すれば済む話でしょ?ミミ、テント張るから中で鎧脱いでちょうだい」

私がそう言うとミミが作ったテントの中に入っていった。タイミングを見て私も中に入ると、貫頭衣を脱いだ。

鎧を着ようと手に取ると重くてずっと持っているのがしんどい。はぁはぁと息が上がる。何とか足と手につけだが、それだけでつけた鎧が重くてなかなか手足が持ち上がらない。

苦戦していると、やっぱりそうだと言う顔でラーナがテントに入ってきた。

「シェリル。考えてたんだけど、その筋力の低下 前に倒した魔族のせいだと思う。ずっと疑問だったんだけど、こんな数日でミミの筋力や知力が上がるわけないし、シェリルが筋力低下を起こすはずがない」

そこまで話して、重い口を開く。

「敵に対して能力アップの魔法なんて使うわけないから、恐らくだけど、あのマジックアローが当たった者同士の能力がだんだんと入れ替わる、敵を混乱させるようなそんな魔法だったんだと思う」

その言葉を聞いて、なんだか腑に落ちた気がする。

言われてみれば確かにそんな急に能力が上がったり下がったりするわけがない。

「それでね、鎧着てみて分かったと思うけど、もうシェリルには着れないと思うの。無理に着ても歩けないと思う。でも下着のまま村を歩くと捕まるでしょ?隠すために貫頭衣を着て村に行っても、ホムンクルスが首輪つけてないって私達全員が捕まる。食料も残りが少ないから村に立ち寄らないといけないでしょ?」

「だったら、皆が買い物と宿に泊まる時、村の外で待ってるよ」

「あのね、1人で...ミミと2人で野営するつもり?何かあったって私たちが助けにいけないんだよ?自分が知らないうちにメンバーが死んでましたってなったらすごく悲しいし後悔するんだよ...逆の立場だったら止めるでしょ?」

「あ、うん、ごめん。考えなしの発言だった。...そうだね、そうした方が安全だもんね」

その言葉を聞くと安堵した表情で、さっきの魔族の仮説2人に伝えてくるとテントから出ていった。


「ミミ悪いんだけど、またこの鎧来てちょうだい。あと、少しその場で動かないでね....よし、取れた」

鎧を着るように指示するとともに、ミミの首から首輪を取った。この首輪は、主人の魔力に反応して取り外しができるようになっている。

外した状態で数分魔力を流すと主人登録ができるので、ミミに首輪を持ってもらって主人をミミに変更する。なぜこれをしたかというと、首輪をつけられると魔力が一切使えなくなるからだ。1度つけたら私自身では外せなくなるので、ミミに登録してもらって後で外してもらう算段だ。ホムンクルスが他者を攻撃することを防ぐための仕様である。

ミミと書かれた首輪を自分で首につけて、貫頭衣を着る。

すると鎧を着終わったミミが私を見つめる。

「ご主人様、下着は着ていていいの?皆は着てないからバレたらまずいんじゃないの?」

不思議そうな声で聞いてきたミミを見て、そうかもしれないと下着を脱いで改めて貫頭衣を着た。

ミミが着古したこの貫頭衣を下着なしで着ると、下着を着ていた時には感じなかったちくちくとした感覚をすごい感じる。

改めて着終わったのでテントから出ると、3人は待ちくたびれたのか地面に座って談笑していた。私達が着終わったことを確認すると話しかけてくる。

「うーん、確かにこれならばれないな。てか、本当にこっちがシェリルだよな?ミミにしか見えない」

「まあこれならばれる心配もないし安心だね。呼び方も徹底しておいてね」

呼び名?と疑問の声をあげると、いやいやとサミュラが言う。

「ホムンクルスが主人を呼び捨てで連呼するのはやばいでしょ?いや呼び捨てで呼ばせてる奴は極小数いるけど、少なすぎて不審に思われるよ?今はシェリルがホムンクルスの格好をしてるんだから、ミミを主人として呼ばないと」

「分かった。ご主人様ご主人様ご主人様。うん、大丈夫」

普段言い慣れないので練習しておく。そんな私を横目に、今度はミミに目を向ける。

「ミミも、言い慣れておいてね。シェリルを呼ぶ時は、ミミって呼ぶんだ」

「?。私がミミだよ?ご主人様をミミって呼ぶの?」

「そう、これからお前はシェリル。ご主人様のシェリルとして振る舞うの。そしてこっちはミミ、お前のホムンクルスとして扱うんだよ?」

「私はシェリル、ご主人様。あっちはミミ。あの子は私のホムンクルス。うん、分かった。大丈夫だよサミュラ」

「うん、大丈夫そうだね。その調子でシェリルになり切ってね」

2人のやり取りを聞いてなんとも言えない気持ちになったが、もう決めたことだと割り切る。

準備万端なので、荷物を持って歩き出そうとすると、モモが腕を掴んできた。

「ご主人様達が先に行ってから、ついて行くんだよ?」

こてんと首を傾げて私に言う。

「そ、そうだった。ごめんモモ」

「ううん!一緒に歩こっミミちゃん!」

私の手を取ってぶんぶん振りながら歩き出すモモ。引っ張られるように私も歩き出した。


村に着くと、初めに馬小屋に来た。いつも最初にホムンクルスを預けておくのだ。私には関係ないと、いつも通り馬小屋の店員とラーナが預けるための料金を払っている光景を眺めていると、会話が終わったようでチームの皆とミミが歩き出した。

えっと思って話しかけに前に出ようとすると、ララに服を掴まれた。

「...どこ行くのミミ?....寝床行くよ..?」

少し離れているが馬小屋の店員がまだいるので小声で話す。

「私はシェリルだって。説明したの覚えてるでしょ?」

「...?..シェリル様..?...でも首輪あるよ?..服も着てる...」

その言葉を聞いてあっと思った。そうだったそう説明してたんだった。ホムンクルス達は難しいことが分からないので、私とミミが入れ替わってることを説明しても理解してもらえない。困っていると、気づいたラーナが近寄ってきて、耳元で話してくる。

「ばれるリスクがあるから、今日のところはホムンクルスとして馬小屋で寝てちょうだい。ごめんね」

そういうと、反論しようとした私を振り切ってチームの元へと行ってしまった。

勝手にここから動くと、預けるお金を貰った馬小屋の人達にも迷惑がかかるので仕方なく、ララ達と共に寝床へと行くことにした。

寝床と言っても馬小屋なので、むき出しの土に飼葉がパラパラと敷かれている所だった。ララ達はこれがいつもの事なので、皆おもいおもいに横になっている。しばらく馬小屋の中を見ていると、ナナが手を引いてきて座らされた。

「お腹すいたの?大丈夫!もうちょっとかなー?持ってきてくれるよ!」

そんなことは考えていなかったが、意識するとお腹が減ってきた。

しばらくするとナナの言う通り馬小屋の店員さんが来て、食事?を持ってきた。目の前に置かれた4つの木の皿の中には、豆か何かと食べられるのか分からない草が入っていた。

置かれた食事をホムンクルス達はおいしそうに食べている。

ちょっと食べたいとは思わないな、今日は食べるの我慢して明日おいしいもの食べよう。そう考えているとナナがこちらを見てくる。

「どうしたのー?お腹すいてたんじゃないの?ほらっおいしいよ!食べて!」

全然食べようとしない私においしいよと、私に割りあてられた豆と草を手で掴んで口の中に押し込んできた。

「もがっ!?んーっ!んーっ!...んぐっ!...おえっ..!」

「ほらっおいしいでしょー?まだあるよ!」

皿が空になるまで無理やり口に詰め込まれて食べされられ、あまりのまずさに吐き気と涙が出てきた。ナナの方が力が強く、抵抗しても意味はなかった。

「...なんで泣いてるの?..どこか痛いの..?」

「ちがうよー、おいしかったんじゃないの?」

「うん!おいしそうだった!あ、わたしも早く食べよー!」

口の中をすすぎたいし、今日1日歩いて喉も渇いていたので飲み水を探したが、あるのは目の前の飼葉が混じった水飲み場だけ。それ以外に飲めるものはないので、臭いし変な味がしたが我慢して飲んだ。

トイレの場所も馬小屋の隅でするだけで、囲いも何もなかった。皆は見られてもなんのリアクションもなく、平然と話しながら用を足していたりしていた。

今日は色々ありすぎて疲れたのか早々に眠たくなって、飼葉を少し集めてふかふかの土の上で眠った。


翌朝目が覚めると、私を囲むようにホムンクルス達が寝ていた。ぐーすかとよだれを垂らしながら眠るナナ、寝相が悪いみたいで私のお腹に右足を乗せて寝ているモモ、ララは特に何もなく普通に寝ていたが、こうして皆の寝顔を見ているとかわいいなと思った。

しばらく見ているとホムンクルス達も起き始め、朝食を持った馬小屋の店員さんがやってきて、木の皿を置いていった。

中に入っているのは昨日と同じものだったが、皆おいしそうに食べ始める。

わーい!おいしそうー!と食べるナナがこちらを見つめて首を傾げていたので、私も我慢して一気に食べきった。無理やり食べさせられるよりは、自分で一気に食べきった方が苦しみも少ない。

朝食を食べ終わってしばらくホムンクルス達と遊んであげていると、チームの皆がこちらへとやってきた。


「おはよう。仲良く遊んでたんだね」

「遊んであげてただけどね。それとおはよう」

ラーナがくすりとからかってきたので、言い方が違うと返した。

「昨日さ、シェリルと宿の飯食ったんだけど、おいしおいしってはしゃぎまくって抑えるの大変だったぜ」

「だってすごくおいしかったんだよ!なんだろう幸せって感じ?」

「ミミはおいしいの食ったか?」

視線がこちらに向いていて、あ、今私がミミだったと、質問してきたアイザックにどんなものを食べたか伝えようと思ったのだが、記憶にモヤがかかったみたいになって、何を食べたのか思い出せなかった。昨日の夜も今日の朝も同じものを食べたような気がするんだけど...。

「なんかおいしいものだった気がする。よく覚えてないけど」

「んん?覚えてないけどおいしかったのか?ホムンクルスもいいもん食ってんだな」

アイザックは頭にハテナを浮かべながらも、教えたくないほどおいしかったんだなと1人で納得していた。

それからまた王都に向けて歩き出した。


「ねえねえ、くびわとっちゃだめ?」

「王都近くなってきてるから行商の馬車よく通るでしょ?ばれたら大変でしょうよ」

「ミミ。ラーナに迷惑かけちゃだめでしょ」

ラーナとミミにたしなめられた。

あれから2日しかたっていないというのに、もはやミミが私に見える。ミミはさらに賢くなって力も増している。それに比べて私は、力はこれ以上下がりはしなかったが記憶が曖昧になってきている。記憶力が低下しているのか、1つ前にやった事を頻繁に忘れたり、話そうとすると言葉があまりまとまらなくて、ちゃんとした言葉で話せない。

そんな私を心配そうな目でチームの皆は見てくるが、専門外でどうすることも出来ないので見守るしかなかったのである。

そんな様子をミミは不気味な笑顔で見つめていた。


それから2日後の朝、目が覚めると、いつも通りホムンクルス達が私に引っ付いて寝ていた。

村を出てから行商人とかに見られたらまずいからという理由で、私はホムンクルス達と一緒のテントでぎゅうぎゅうになりながら寝ている。

かわいいなーと、寝ているララの頭を撫でている途中で手を止めた。あれ?私何やってたんだっけ?

んー、朝かぁ、日差し浴びようかな。そう思ってテントの外に出ると、見張り役だったのか、ミミが焚き火の前に座ってお湯を飲んでいるようだった。

「おはようミミ」

「おはよー、いまふたりしかいないんだから、シェリルってよんでよ」

「だめだよ。私がシェリルで、あなたはミミ。うっかり他の人の前で話して聞かれたら困るでしょ」

「えぇー、わたしがしぇり....あれ?なにかはなしてたっけ?」

「うん、お湯飲みたいなって言われたから今ついであげようと思ってたところ」

そっか、確かに喉乾いてるしそうだったのかもしれないと、ミミの横に座って受け取ったお湯を飲んだ。

ちょっと早く起きたのでお湯を飲んだら少し眠くなってきた所で、チームの皆が起きてきた。

「おはよう。あれ?ミミが起きてきてる」

「おはよー。いつももう少しあとに起きるのに珍しい」

「シェリル、ミミと何か話してたの?」

私への質問が聞こえたが、私より早くミミが答えた。

「そうなんだー。ちょっと皆聞いて」

その言葉に皆焚き火を囲んで座る。

「私ね今日すごい体調が良くて、剣も持てるようになったの。少し運動してみたけど体力も戻ってきたみたいだから、ミミと首輪交換したよ。シェリル復活!」

「え、じゃあ今ミミがシェリルの代わりしてるんじゃなくて、シェリル本人がシェリルしてるってことでいいんだよな?なんか言ってておかしい言い方になったな」

「そう!だから、シェリル復活!」

眠くてうとうとしていたが、なんだか良くない話をしているような気がしてそちらを見たが、次の瞬間には、はて?と、なんでそっちを見たのか分からなくなった。

「よかったね!何もしてあげられなかったけど、治ってよかった!」

「そうだな!一応王都に帰ったら、治療院と教会に行って見てもらえよ?」

「うん。心配かけてごめんね。王都に着いたらそうする」

何か分からないけど、いいことがあったみたいなので微笑んでおいた。


さらに2日くらい歩いたら王都?に着いた。それからご主人様の家に一緒に入って、お掃除した。

王都?に向かって歩いていた時になんて呼んでいたか分からなくなっちゃってお話したら、ご主人様って呼んでたよって教えてくれたの。どうして忘れちゃうんだろう?

お風呂に入っていいよって言われたけど、どうやってはいるんだっけ?戸惑っていると、一緒に入ってくれた。


次の日朝食を食べて、ご主人様と一緒に錬金なんとかっていう人のところに行ったら、お洋服取られちゃった。いきなり取られたからわんわん泣いていたら、ご主人様が抱きしめてくれたから涙でなくなったよ。

どうして取ったのって聞いたら、知能?が足りなくなったんだって。難しいことはわかんない。でも今度お菓子買ってくれるって言うから、お洋服なくてもいいや。寒くなったらご主人様が抱きしめてくれるもん。


あれから、あれから?何日かわからないけど、楽しくていつの間にか日がたくさんたって。今日はご主人様が1日遊んでくれてるの。

「あ、ちょうちょー!」

「ミミ、あまり遠くに行かないでね?」

きれいなお花がたくさんの所で、ご主人様が笑ってる。

「はーい!あ、ねこちゃんだ!かわいいねー!」

ご主人様が笑ってると、ミミも体の真ん中がポカポカするから、うれしいの。

明日も楽しい日だといいな。そう思ってご主人様に抱きついた。





ーー[完]ーー

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