祭り(T視点) (Pixiv Fanbox)
Content
1
「冷えますね……」
「そうだな」
公民館への道。
隣を歩くSさんの顔は少し強張っていた。
鼻筋の通った横顔が、冷たい空気の中でいっそう引き締まって見える。
(緊張してるのかな)
僕も緊張していた。
祭りの存在は知っていたが、自分とは関係のないものだと思っていた。
こんな真冬にわざわざ裸になって、しんどい思いをするなんて。
参加者は年々減少し、ついには町の企業にまで参加者を募るほどになった。
せめて褌姿をやめるとか、参加者を減らさない方法はあるだろうに。
また横目にSさんを見る。
いつもはスーツ姿のSさんが、今日は私服だった。
紺色のダウンジャケットに、下はウインドブレーカー。
あまり服装に頓着していないようなシンプルな出で立ちが似合っていた。
服装にこだわらなくても顔立ちが整っているので、問題なく身なりが成り立っている。
祭りへの参加は嫌だったが、Sさんと一緒なら、むしろ楽しみだった。
Sさんの裸を見られるかもしれない。
公民館に着くと、受付のおばさんに挨拶をする。
褌を受け取り、着替え部屋に入る。
ざわざわと賑わいのある部屋。
おじさんに褌をつけてもらうための列がいくつか伸びている。
「はいSさんこれ」
Sさんに褌を手渡す。
褌は想像以上に薄かった。
(こんなので本当に隠せるのだろうか)
「なんか緊張しますね」
「ああ、そうだな」
僕たちは服を脱いでいく。
お互いに裸を見るのは初めてだった。
職場でいつも顔を合わせているだけに、気恥ずかしさを覚える。
トレーナーを脱いだSさんは肌着も脱ごうとしていた。
顔が肌着の中に隠れた隙にSさんの体を見る。
細身で、余計な脂肪のない綺麗な体だった。
腹の薄い筋。
腕を上げた際に、浮き出た鎖骨。
少し色の濃い乳首。
影になった脇の下の毛。
Sさんが肌着から顔を出すのと同時に、僕は目を逸らす。
ジーンズを脱ぐと、僕はボクサーパンツ一丁になる。
Sさんもウインドブレーカーのズボンを脱ごうとしている。
シャカシャカと音を立てて、ナイロン製のズボンを下ろすと、Sさんもパンツ一丁になった。
(トランクス派だったんだ)
マイナーなスポーツブランドだろうか。
量販店で2枚セットで売っていそうな知らないブランドのトランクスだった。
少し野暮ったいセンスが可笑しかった。
どうせ並ぶ時に脱ぐのだし、と思い僕はボクサーパンツもその場で脱ぐ。
特に自分のチンコに自信はなかった。
平均よりも小さく、皮も先端まで被っている。
でも、特別それがコンプレックスというわけでもなかった。
Sさんのは……と思って目を向けるが、Sさんはまだトランクスを脱いでいない。
それどころか、Sさんの目は僕に向けられていた。
その視線は確実に、僕のチンコに向けられている。
(Sさんが僕のチンコを見ている)
じんと股間が熱を帯びる感覚。
(やば)
僕は慌てて、ボクサーパンツを履き直す。
「ああ、まだ脱がなくてもいいですね」
もごもごと適当にごまかす。
顔が熱い。
列を見ると大抵はパンツ姿で、いざ褌をつける段階で脱いでいるようだった。
自分たちも並ぼうとするが、Sさんは動かなかった。
「あれ?Sさん並ばないんですか?」
「あ、ああ、ちょっとな……、ちょっと、トイレに行ってくる。先並んでてくれ」
「……わかりました」
2
Sさんは部屋を出て行ってしまった。
僕は褌を持って、パンツ一丁で列に並ぶ。
ちょうど前の人が締め終わり、自分の番がすぐにやってきた。
「お、お願いします」
褌を手渡すと、おじさんは「よーしじゃあパンツ脱いじゃってな」と言う。
僕はボクサーパンツを脱ぐ。
おじさんは畳まれた褌を伸ばしながら、中から四角い布切れを取り出す。
(なんだろうあの布切れ)
「ここを持っていてな」
「はい」
褌の端をこちらに寄越し、僕は胸あたりでそれを持つように言われる。
「これはこうしてな」
おじさんは四角い布を四つ折りにすると、いきなり僕の股間に当ててくる。
「チンチンが透けないようにするからな」
布越しにチンコを包むように、手のひらが当たる。
布切れは薄く、おじさんの手の感触がリアルに伝わってくる。
さっきSさんに見られた時に、チンコは眠りから覚めていた。
布切れを密着させるために、おじさんの指がチンコに沿う。
(や、やばい……!)
おじさんの指先が皮の先端を撫でる。
血が集まっていくのがわかる。
おじさんの手の中で、ムクムクとチンコは起き上がってくる。
おじさんの手が一瞬止まった。
もう止められなかった。
「す、すみません、その、なんか、緊張してしまって……」
硬くなりはじめたチンコは、おじさんの手の中で、完全に勃起してしまう。
斜め上を向くチンコの先端がおじさんの手のひらを押し上げる。
「このまま締めちまうな。上に向けた方がいいか?」
「あ、えっと……はい、すみません」
意外にもおじさんの反応は淡白だった。
何事もなかったかのように、僕の勃起したチンコを上向きにして、褌を締めはじめる。
もしかしたら、僕以外にも勃起しちゃう参加者がいたのかもしれない。
顔が熱くなる。
顔だけ振り返るが、Sさんはまだ戻っていないようだった。
よかった。
Sさんに勃起を気づかれなくて。
同時にケラケラと笑うGさんの顔も思い浮かぶ。
Gさんにも見られなかったのは本当によかった。
おじさんは手際良く、褌を締めていく。
いっときのピークが過ぎ、勃起は次第に弛緩していく。
腰に褌を巻き付けるために、自分で体を回転させる。
部屋の入り口が目に入る。
ちょうど褌を身につけたSさんが戻ってきた。
(あれ?)
いつの間に着けたのか、それともトイレで自分で着けたのか。
褌を締め終わり、おじさんに「ありがとうございます」と礼を言うと、列から抜けてSさんのところへ向かう。
歩きながら落ち着かずに、自分の腰に目をやる。
締め終わった褌は思った以上に心もとなかった。
ほとんど全裸で、必要最低限の部位が隠れているだけだ。
風が通るし、尻の割れ目に食い込む感覚にも慣れない。
Sさんの体も、今それと同じだけしか隠れていない。
「先輩いつ褌つけたんですか!?」
「Tと別の列に並んだんだよ、そっちの方が早かったみたいだな」
「そう……ですか」
嘘だ。
部屋の外で褌をつけたことを気付かれたくないのか?
Sさんの褌を見る。
自分で締めたにしては、しっかりと締められているように見えるけど。
さっきまでトランクスで隠れていた腰回りの肌が見えてドキリとしてしまう。
前布が股の奥に締め込まれている。
その中にSさんのチンコがあるんだ。
褌にはチンコと思われる膨らみと、その下に金玉の丸みがある。
チンコは褌にきつく圧迫されているからか、竿と呼べるような形状ではなかった。
僕のチンコもそうだろうから、Sさんのチンコも大きくはないのかなと想像してしまう。
カリらしき主張がない、つるりとした輪郭。
もしかしたら包茎かもしれない。
薄い布の上からでもSさんのチンコに関して予想できる情報量が多かった。
思わず唾を飲む。
勃起の気配を感じて思わず目を逸らす。
「おう、おつかれ」
Gさんが部屋に入ってくる。
「お疲れさまです」
「お~もう裸になってんじゃん」
そう言いながら、Gさんは僕の股間に軽くタッチしてくる。
「ちょっとやめてください」
ドキリとして、腰を引く。
危なかった。
勃起していたら確実にイジられていただろう。
「ははは、お前チンコちっちゃくね?」
「いや、はは」
顔が引き攣っているのがわかる。
僕はこの人が苦手だった。
Sさんが「やめろよ」と制してくれて、Gさんは服を脱ぎはじめた。
Gさんはさっさと服を脱いでいく。
派手なボクサーパンツを履いていた。
その股間部分にはパンツ越しにもわかるほど巨大な輪郭が浮かんでいた。
Gさんは恥ずかしくないのかパンツもささっと脱ぎ捨てる。
グロテスクに血管の浮いたチンコが、ボクサーパンツの締め付けから解放されて暴れ出る。
普段から自然と剥けていると思われる、使い込まれたようなチンコ。
乾燥した亀頭に、出っ張ったカリ。
肉棒は圧倒的な迫力を放っていた。
たぶん僕の勃起したチンコより、大きいんじゃないか。
僕は褌をGさんに手渡す。
「おうサンキュー」
Sさんを見ると、Gさんの巨大なチンコに釘付けになっていた。
3
川に着くと、おじさんが太鼓を叩く。
これから禊を行う。
「そーれ!」
掛け声の後、男たちは川に入っていく。
外気がすでに馬鹿みたいに寒かったが、川の水はその比ではなかった。
ほとんど痛みに似た感覚が、水に浸かった部位を襲う。
足先から徐々に膝、腿へと川に入っていく。
股間が水に浸かる。
腹も浸かると、口からはっと小さな悲鳴が漏れる。
うまく呼吸ができない。
水位は徐々に上がっていく。
胸まで浸かると、体の感覚がほとんどなかった。
周りに合わせて肩まで浸かる。
おじさんの掛け声が聞こえて、男たちが川から上がっていく。
麻痺していた体が徐々に感覚を取り戻す。
それと同時に刺すような痛みが襲ってくる。
歯の根が合わず、あごは際限なくガタガタと音を立てる。
濡れた肌に吹く風は鋭く体に突き刺さる。
自分の体を抱きしめて、震えながら川から上がる。
周りの男たちも、声をあげたり、抱き合ったりしながら、なんとか寒さを誤魔化している。
Gさんは寒くないのか、一見いつも通りで平気そうに歩いている。
「お前唇真っ青だぞ、大丈夫か?」
「は、はい……」
うまく声が出せなかった。
水泳の授業で、真っ青になった唇を指摘されたことを、なぜか今思い出す。
濡れた褌はGさんの大きなチンコに張り付き、艶めかしくくカリの出っ張りが段差になっていた。
自分の褌を見下ろすと、その中には本当にチンコがあるのかと疑うほど、膨らんでいない。
だいぶ、縮こまっているんだろう。
Sさんはどこだろう。
振り返ると、Sさんはいた。
誰か知らない男と肩を組み、顔は寒さで歪んでいた。
それでも整った顔だった。
褌が目に入る。
え───
水を含んで半透明になった褌は、その中身を丸見えにしていた。
ぴたりと肌に張り付いた褌が、チンコの形をそのまま写し出している。
隣で肩を組む男の褌は透けていなかった。
他の男も、Gさんも、僕のも。
Sさんの褌だけが透けていて、ほとんど着けている意味をなくしていた。
キュッと引き締まった金玉と、その上にちょこんと小指の指先のような小さな塊があった。
小さいどころでなく、かりんとうの先がくっついているようにしか見えなかった。
よく見れば、かりんとうは筒状になっていて、余ったチンコの皮なんだとわかる。
その周囲に黒々とチン毛が密集している。
チン毛は濡れて肌にピッタリと張り付いているが、チンコだけがちょこんと前に突き出していた。
半透明になった褌は、薄黒いチンコの色もさらけ出していた。
どうしてSさんだけが、そんなことになっているのか。
おじさんに当てられた布切れを思い出す。
Sさんはそれを着けてないんだ。
「Sさん!ふ───!」
透けてしまっていることを伝えようとした、その時。
隣にいたGさんの腕が、僕の肩を力強く掴んだ。
「おいおいおい!せっかく面白いんだからよ!」
ぐいっと強い力に抗えない。
Sさんから距離を離される。
「お前、あいつがなんで当て布つけてないか知ってるか?」
「い、いえ……わかりません、締めるところ見てないので……」
「ふーん」
Gさんはニヤリと歯を見せずに笑う。
たぶん、僕の返事だけで全てを察したのだ。
いつも注意深く丁寧なSさんに対して、感覚的で野生の勘が鋭いGさん。
「お前、あいつに言うんじゃねえぞ」
「えっ、なんで……?」
「そのほうが面白いだろ?」
「でも、それじゃあ、この祭りの間Sさんは……」
「問題ないだろ、裸祭りなんだぞ?ちょっとチンチンが見えてることくらい」
「でも」
「それともお前は、あいつのチンチンが人に見せられない恥ずかしいもんだと思ってんのか?」
「え……えっと」
「恥ずかしいと思わないなら放っておけよ。どうせ締め直しになんて戻れねぇんだし。あいつが見えてることに気を取られて神輿中、事故っても危ねえだろ?」
「……」
そう言うと、Gさんは僕から離れていく。
4
神輿のある神社までSさんの隣を歩いた。
チラリと褌を見ると、小さなチンコがやはり丸見えになっていた。
褌姿を見た時に予想したチンコ。
それを遥かに上回るほど小さく、豆粒ほどしか確認できない。
ムクムクと自分のチンコが大きくなっていくのがわかる。
上向きで締めてもらったのが助けになった。
勃起する余裕を確保したまま締めたため、褌が窮屈になることもなかった。
───問題ないだろ、裸祭りなんだぞ?ちょっとチンチンが見えてることくらい
───それともお前は、あいつのチンチンが人に見せられない恥ずかしいもんだと思ってんのか?
───恥ずかしいと思わないなら放っておけよ。どうせ締め直しになんて戻れねぇんだし。あいつが見えてることに気を取られて神輿中、事故っても危ねえだろ?
詭弁だった。
見えているのが不本意なら、伝えるべきだろう。
それが恥ずかしいチンコかどうかは関係がない。
でも───
またチラリとSさんのチンコに目をやる。
他の誰かにこのチンコがついていても一瞬「小さいな」と思う程度で、他には何も感じないだろう。
Sさんの股間についていることに意味があった。
いつもはスーツ姿で共に仕事をしている。
仕事での接し方、会話、仕草、その全てがこの小さなチンコを引き立てていた。
そして当のSさんも、おそらくこのチンコをコンプレックスに思っている。
それを見られないために自分で締めたんだ。
その結果、更衣室内だけで済んだはずの露出が、町中にさらけ出す羽目になった。
川から上がった時は、困惑が大きかった。
次第にSさんがチンコをさらけ出している状況を理解する。
もっと見ていたかった。
それでも、透けていると最初に伝えようとしたことは本心だった。
今は「見ていたい」と「伝えたい」がないまぜになっていた。
どちらにも傾く状況で、Gさんからの口止めが、言わないことに加担していた。
自分が弱い人間だとは思っていた。
Gさんのせいにして、結局は僕がSさんのチンコを見たいだけなのに。
5
神輿の練り歩きの最中もSさんに目がいってしまう。
僕はSさんの少し後ろの位置で担いでいた。
引き締まった尻に食い込んだ褌。
観客たちは神輿に注目している。
いったい何人くらいがSさんのチンコが丸見えになっていると気づいただろうか。
褌の男たちのうちたった1人だけが丸見えになっている。
一見すればなかなか気づかないかもしれない。
大勢の前にSさんが股間を晒している。
Sさんのチンコが頭から離れない。
ぴたっと張り付いた褌。
当て布のない褌が、中の形をそのまま浮き彫りにする。
観客たちは神輿にスマホのカメラを向ける。
Sさんのチンコも写っているかもしれない。
僕のチンコはまだ勃起したままだった。
じわりと先走りが出るのがわかる。
さっきからその感覚が何度かあった。
確実に褌に染みているが、禊で褌全体が濡れていたため、不自然な染みにならずに済んだ。
傍から見たら、僕のチンコが勃起しているのもばれるだろうか。
20分ほど神輿の行進が続くと、一度休憩をとる。
肩は重みから解放され、体が軽くなる。
Sさんを探した。
ちょうどおばさんと話している、背中越しのSさんが見えた。
あのおばさんはよく細かい質問をしに、市役所に来る人だった。
悪い人ではないが、少々面倒な人という印象だった。
僕が対応したこともあったが、「今日はSさんはいないの?」と少し不満げだったのを覚えている。
Sさんの裸を見て、さぞ喜んでいるんだろう。
遠目からでもいつもよりテンションが高いのがわかる。
その視線が、ある一点で止まるのがわかった。
Sさんのチンコを見ている。
一瞬戸惑いで固まったあと、それがチンコであることを認識したおばさんの瞳孔が開く。
役所のお気に入りの、いつもは隠されていた部分を見られたことを、本能が喜んでいる。
獲物を見つけた野生動物みたいな顔を隠すこともない。
舌なめずりが聞こえてきそうだった。
「まあ」
おばさんの声色が、さっきより半音高くなった気がした。
おばさんとの会話を終え、Sさんがこちらに向かってくる。
股間にはやはり、透けた褌。
その中に丸見えのチンコ。
このチンコをおばさんも見たんだ。
僕の股間でまだ勃起しているチンコがグッと硬さを増して、先走りが出る。
市役所で勤めているため、見知った町人の顔がちらほらいる。
その中でSさんはチンコを晒しているんだ。
やっぱり伝えたほうがいい。
今なら周りにGさんもいない。
僕ではない、誰か観客から指摘されたんだと思うかもしれない。
「Sさん、肩やばくないですか?」
「ほんと……あとどれくらいだろうな」
どう切り出そうか。
口を開きかけた、その瞬間だった。
人混みからGさんが姿を現す。
その後ろに地域振興課のMさんがいた。
(あ───)
元々、この祭りの参加は地域振興課からの依頼だった。
彼女は撮影係なのだろう、首に一眼レフカメラをかけていた。
「いいってことよ、Mちゃん、裸で外歩くのなんてなかなかできることじゃねえし、いい経験ってやつよ」
申し訳なさそうにしているMさんに、Gさんが少し気持ち悪い返事をしている。
Mさんを見ると、その目はSさんを見ていた。
徐々に顔が赤くなる。
SさんとMさんは付き合ってはいない。
ただ、端から見ても、2人がお互いに意識しあっているのはわかった。
デートをしたことがあるのかはわからない。
手も繋いでないかもしれない。
もちろんまだ行為はしてないだろう。
もしかしたら、たまたま手と手が触れ合ってより意識する、それくらいの間柄かもしれない。
そんなMさんが何段も飛び越えて、いきなりSさんのチンコを目にしている。
GさんはこのためにMさんを連れてきたのだろうか。
Gさんが無理やり、撮影を促す。
Sさんを真ん中に僕たちは肩を組む。
裸のSさんの肩に触れた。
体はまだ冷えていたが、肩を組んだ腕の内側だけがわずかに温かくなる。
裸のSさんの腕が僕の肩に乗る。
Sさんの脇毛の感触を肩が感じ取る。
微かに太もも同士がぶつかる。
心臓がバクバクと音を立てる。
硬くなったチンコから先走りが溢れ出す。
カメラにSさんのチンコが収められていく。
その隣で、僕の勃起したチンコも褌越しに収められていく。
6
神社に辿り着き、神輿の行進が終わった。
これで祭りは終わりらしい。
それぞれ、着替えをしに公民館へと帰っていく。
「疲れましたね」
「だな、おつかれ」
僕はSさんと並んで歩いていた。
結局最後まで伝えられなかった。
途中、参加者やギャラリーの目が明らかにSさんの股間に注がれているのを見た。
この祭りで何人もがSさんのチンコを見ただろう。
僕の勃起はすでに収まっていたが、先走りが出る感覚は依然としてあった。
公民館へ着くと、みんな褌を解き始める。
全裸の男たちで、部屋はいっぱいになっていた。
僕も褌を解こうとするが、硬くてうまくいかない。
ふとSさんを見る。
褌に着替えた時は、おそらくトイレで着替えたのだろう。
脱ぐ時はどうするんだろう。
Sさんは迷っているように見えた。
すでに褌を外したGさんが太く重そうなチンコを揺らしながら、こちらにやってくる。
嫌な予感がしたが遅かった。
僕の褌を無理やり外される。
見慣れたチンコが縮こまってさらけ出される。
チンコの先端から落ちた褌に向かって糸が引いていた。
慌てて手で隠す。
先走りだ。
見られただろうか。
幸いGさんは気づかなかったらしい。
Sさんは───
僕の褌と、股間に収まっていた当て布を凝視していた。
あ───
Sさんは固まったまま動かない。
まだ身につけたままの褌は透けていて、チンコを少しも隠していない。
Gさんが全裸のまま、Sさんの肩に腕を回して、顔を近づける。
そして、はっきりと聞こえた。
「てかさ、なんでお前、当て布つけてなかったの?」
7
呆然としたSさんの顔が少しずつGさんを見る。
でもその目は遠くを見ていて、視点が定まっていない。
「あて……ぬの?」
小さな声が絞り出される。
頭で理解が追いついたのだろう。
Sさんの手が股間を覆うように隠す。
「いや、今さら隠しても遅いだろ」
Gさんが笑っている。
Sさんは今知ったのだ。
ずっと丸見えになっていたことを。
「───で?なんで当て布つけてなかったんだよ?」
Gさんが重ねて聞く。
「……いや、それは……」
「おっさんに褌締めてもらわなかったのか?」
「あ、ああ、うん……」
「なんで?」
「それは……」
公開処刑だった。
小さなチンコを見られないために、自分で締めたことは明らかだった。
それを全員が聞いている中で、答えさせようとしている。
部屋には、各々が褌から元の服装に着替える、布やベルトの金属音が聞こえている。
僕もパンツを履いて、濡れたチンコを隠す。
機械的に服を着ていくが、目と耳はSさんに集中していた。
Sさんは股間を手で隠したまま、固まっている。
Gさんは口元を歪めながら、Sさんの肩に置いた手を背中に持っていく。
「なあって」
Sさんの太ももがぴくりと震える。
Gさんが褌を掴んでいるんだ。
僕にしたようにSさんの褌をこの場で外してしまうのだろうか。
「まあ、いいや」
GさんはSさんから離れてボクサーパンツを履く。
8
Sさんがようやく動いた。
中途半端に片手で股間を隠しながら、もう片方の手で褌を解いていく。
褌は両手でなければ解きづらい。
結局両手を使って、結び目を解いていく。
小さなチンコが透けた褌越しに晒される。
「ふん」
Gさんが鼻で笑っている。
ぱさりと褌が床に落ちる。
その中には、やっぱり当て布がなかった。
褌が落ちた瞬間、手で隠すまでの間に見えたSさんのチンコは、ずっと褌越しに見えていたものと変わりなかった。
白いフィルターがなくなり、チンコの素肌の色を見た。
その根元には短く整えられたチン毛。
参加者の誰もがもうチンコを晒していない中、ただ1人Sさんだけが全裸だった。
自分の荷物置き場まで全裸で行ったSさんはリュックのファスナーを開けて、中からトランクスを出す。
こちらに背中を向けているSさんは股間を隠すためか、深く腰を曲げていて、ほとんどお辞儀をするような姿勢になっている。
前屈みになった姿勢で尻は開かれ、僕からは肛門が丸見えになっていた。
綺麗な穴の周りには薄く毛が生えていた。
その下の、太ももの間に金玉の裏側が見える。
でもその先にチンコは見えなかった。
前屈みになっても、チンコは少しも垂れ下がっていないのだろう。
Sさんはトランクスを両手で持ち、急いで履こうと足を通す。
「おい、パンツ、裏表逆になってんぞ」
Gさんが言う。
「えっ」
Sさんは反射的に足を抜く。
両手でトランクスを裏返す。
その間も小さなチンコは丸出しになっていた。
急いでトランクスを履いてチンコを隠す。
「あれ?」
元々トランクスは逆ではなかった。
Sさんは頭が回っていないのだろう。
自らの手でトランクスを裏返して、そのまま履いてしまった。
チンコはようやく隠れたが、そこでトランクスが逆なことに気づいたらしい。
また脱ぐか否か、迷っている。
Gさんがくすくすと笑っている。
またチンコを晒すか、裏返しのトランクスのままズボンを履くか。
裏返しのままズボンを履けば、チンコを見られるのが嫌だったのだろうと思われる。
だが、またチンコを見られるのも嫌なんだろう。
結論が出せずに、Sさんは固まっている。
考えているこの時間そのものが答えだった。
見られるのを気にしていないなら、迷うことなく履き替えるだろう。
Sさんは小さなチンコを気にしていて、見られたくないんだ。
じわりと自分のチンコから先走りが出るのがわかる。
たまらなくSさんが可愛く見えた。
Gさんはさして興味もないかのように、「ま、今日はどんまい」と言って帰ってしまう。
Sさんは裏返しのトランクスのまま立ち尽くしていた。
部屋にはいつの間にか、ほとんど人がいなくなっていた。
僕はすでに服を着終えていたが、まだ上着を着ずにいた。
Sさんがこちらを見た。
「……Sさん、すみません」
僕はようやく言った。
「最初に気づいた時、言おうとしたんです……当て布のこと」
今さら遅いと怒鳴られても仕方がなかった。
でもSさんは小さく言った。
「お前は悪くないよ。俺が───」
心なしか、目が潤んでいる気がした。
抱きしめたい衝動に駆られる。
Sさんはもう何もかもを諦めたかのように、トランクスを脱いだ。
9
Sさんは全裸になった。
Sさん以外はみんなすでに着替え終えていた。
上着を着て続々と人がいなくなっていく。
Sさんは裏返ったトランクスを表向きにする。
さらけ出されたチンコはやはり縮こまっていた。
吹っ切れたのか、丸まった背筋は伸びていて、小さなチンコを少しも隠そうとしない。
寒さで縮こまっていることを差し引いても、まるで大人のものとは思えない。
生えそろったチン毛だけが、かろうじて大人だと言い張っているだけだった。
───
僕はSさんに近づく。
手のひらを上にして、そっとSさんの金玉に軽く触れる。
親指でSさんのチンコを触る。
軽く弾くと、バウンドもせずに定位置に戻る。
人差し指も使って、小さなチンコをつまむ。
縮こまり、外気で冷えたチンコを指先で温めていく。
引っ込んでいたチンコが普段のサイズに戻っていく。
小指の先ほどしかなかったチンコが4cmないほどのサイズになる。
さらに指先で撫でると、チンコが次第に大きくなっていく。
ムクムクとサイズを増す。
Sさんは手は体の横で、ギュッと握られている。
ギンギンに硬くなったチンコは皮を被ったままだった。
握ったら全て隠れてしまうほどのサイズ。
その小ささが、愛おしかった。
ふとSさんを見る。
Sさんは泣いていた。
僕はSさんの頭を撫でながら、Sさんのチンコを2本指でスライドさせていく。
中の亀頭が少し見える。
皮の口が狭く、剥きづらい。
皮をかぶせたまま、2本指の動きを速くしていく。
皮越しに裏筋のあたりを撫でる。
「ぁ……」
Sさんが声を漏らす。
透明な液体が糸を引いて、床に落ちた。
続けて指を動かしていると、Sさんの体がぴくっと震えた。
ビュッとSさんのチンコから白濁した液体が溢れ出す。
まだ僕の手は疲れを感じていなかった。
それくらいの指の往復でSさんは簡単に果ててしまう。
Sさんの目から涙が床に落ちる。
短髪の頭を撫でながら、Sさんを抱き寄せる。
背中に腕を通して、服を着た僕の体が、全裸のSさんを温める。
───
我に帰ると、Sさんはトランクスを履いていた。
ウインドブレーカーのズボンを履くところだった。
ジーンズの中でボクサーパンツが、先走りでびしょ濡れになっているのがわかる。
Sさんが肌着、トレーナー、上着を着る頃には、もう部屋には僕たち以外誰もいなかった。
「帰るか」
Sさんが言う。
「はい、帰りましょう」
僕は言った。