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プレイ概要 ※ネタバレ注意


プレイの種類:ちんカリ、吐息責め、玉揉み、ちんキス、ペロフェラ、匂い責め、耳舐め、耳舐め手コキ、玉キス、玉舐め、ハーモニカフェラ、焦らしフェラ、ディープスロート

ジャンルの種類:逆NTR、寸止め、焦らし、調教、誘惑、色仕掛け、連続射精


##P1 禁欲@婚約者が席を外した瞬間に言い寄られる、キス誘惑、キスのからかい、囁き責め、ちんカリ誘惑、吐息責め、玉揉み、おねだりされていたのに立場逆転しておねだりさせられる、ちんキス、裏筋を吸われる、ペロフェラ、寸止め


##P2 婚約者のドレス選び@婚約者が試着している最中の匂い責め、ちん撫で、試着室の前で責められる、耳舐め、脱ぎたてのカーディガンでの匂い責め、婚約者にバレそうな状況で責められる、耳舐め手コキ、寸止め


**サンプルここまで**

**ここからご支援者様向け**


##P3 裏切りのご褒美@密室で玉責め、玉キス、玉舐め、吐息責め、寸止めちんキス、ちんキスをおねだりさせられる、裏筋食み、フェラ誘惑、デートの約束をさせられる代わりに咥えてもらう、焦らしフェラ、好きと言わされる、激しいフェラ抜き、精飲、連続射精、お掃除フェラ、デート確約


<続く>


**********************************


【ボリューム】

・文字数:無料公開分合わせて約6万文字

・AI生成挿絵:なし

・AI生成動画:なし



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##P1  禁欲@婚約者が席を外した瞬間に言い寄られる、キス誘惑、キスのからかい、囁き責め、ちんカリ誘惑、吐息責め、玉揉み、おねだりされていたのに立場逆転しておねだりさせられる、ちんキス、裏筋を吸われる、ペロフェラ、寸止め


紗良に太ももで搾り取られた数日後──。


リビングのテーブルには、式場のパンフレットや指輪のカタログなどが広げられていた。

白いチャペル。

花に囲まれたバージンロード。

笑顔で寄り添う新郎新婦の宣材写真と式を上げた夫婦のコメント。

どれも本来なら胸が温かくなるはずのものばかりだった。


「ねぇ悠真さん! ここのチャペルすごく綺麗じゃない?」


綾乃が嬉しそうに一冊のパンフレットをこちらへ向ける。

その横顔は、いつもより少し幼く見えた。

真剣に悩んでいるようで、けれど隠しきれない喜びが滲んでいる。

俺との未来を本当に楽しみにしてくれている顔。


「あぁ……いいと思う」


どうにか笑って答える。


だが、白い紙面に印刷された『誓いのキスを憧れのチャペルで』という文字を見つけた瞬間、腹の奥が熱くなる。


「……」


──誓いのキス。


それは綾乃と二人で永遠を誓う儀式。

清く、尊く、愛に満ちた、幸福の象徴。


だが俺の中では別の光景が蘇っていた。


クローゼットの闇。

柔らかく濡れた唇の感触。

紗良の吐息と、舌の蠢き。

俺から塞いだ唇だったはずが、気づけば吸われて、絡め取られていた。

綾乃への誓いとは全く違う……快楽を目的とした深いキス。

その記憶が、綾乃の言葉に返事をしただけで俺の下半身を疼かせたのだ。

頭の中には紗良の桃色のリップから、ぬめった舌が蠢き出てくるのが映っていた。


──はむっ……♡ ぢゅるるっ……♡ ぢゅぱっ♡ ぢゅるっ……♡ ちゅっちゅっちゅっ♡


「……?」


綾乃が小さく首を傾げる。


「悠真さん? どうかした?」


その声で我に返る。


「い、いや! 何でもないよ……!」

「大丈夫? ぼーっとしてたけど」


「あ、あぁ。悪い……ちょっと考え事してて……」

「ふふっ。式のこと?」


綾乃はそう言って、少し照れたように笑った。


「私もね、最近ずっと考えちゃうの。まだ先なのになんだか緊張してきちゃって」

「緊張?」


「うん。だって……」


綾乃はパンフレットの写真へ視線を落とす。


「誓いの言葉とか、指輪交換とか……それに……ち、誓いのキス……とか」


最後の言葉だけ、ほんの少し声が小さくなる。

その反応が綾乃らしくて、胸が痛んだ。


綾乃はまだ、そういうことを清らかなものとして見ている。

夫婦になるための大切な儀式として。

俺と二人で進んでいく未来の象徴として。

参列者の前で永遠の愛を誓い、指輪を交換し、互いを見つめ合い、唇を重ね合う。

その全てが祝福に満ちている。


──誓いのキス。


それはきっと綾乃にとって特別なもの。

他の誰かの前ですることはない、二人きりで交わす神聖な瞬間。


それなのに俺は……その言葉を聞いた瞬間、別の唇を思い出していた。

俺の中で全く違う意味を持って焼き付いた、唇。


「お姉ちゃん、かわい~~~~」


そこへソファで寝転がっていた紗良の声が割り込んでくる。


「誓いのキスでそんなに照れるんだ?」

「も、もう……からかわないでよ」


「えー? からかってないよ~? お姉ちゃんって純情なんだなって思っただけ~~」


紗良は笑いながら身体を起こす。

ぷるんと胸が弾み、太ももがもちっとソファの座面で形を変える。

その何気ない仕草だけで、俺の身体は嫌なほど反応しそうになってしまう。

慌てて視線をパンフレットへ戻した。


「でも大丈夫だよ、お姉ちゃん」


紗良が明るく続ける。


「お義兄さん、キス上手そうだし~?」

「……ッ!」


胸がきゅっと痛んだ。

綾乃はきょとんとしてから、すぐに顔を赤くする。


「な、何言ってるのよ、紗良!」

「あはは~。だってそうじゃない? お義兄さん、真面目だからちゃんと練習とかしてそうだし~?」


練習。

その言葉が、部屋の日常の空気の中で俺にだけ違う意味を持って響いた。

綾乃は恥ずかしそうに俯いている。

紗良は無邪気な顔で笑っている。

だがその目だけが一瞬、こちらへと向いた。


「ね? お義兄さん」


声は明るい。


「本番でお姉ちゃんを困らせないように……ちゃんと練習できてますよね?」

「……」


言葉が出ない。

綾乃は意味を知らない。

紗良は意味を知っている。

俺だけが二人の間に挟まれて動けなくなる。


「悠真さん?」


綾乃が不思議そうにこちらを見る。

俺は慌ててカップを手に取った。


「あ、あぁ……だ、大丈夫だから……」


何が大丈夫なのかは自分でもわからなかった。

綾乃は少し不思議そうに俺を見つめていたが、すぐにテーブルの上のスマホへ視線を落とした。

スマホが鳴動していたのだ。


──ぶーっ。ぶーっ。


「あ……式場の担当さんからだ」


画面を見た綾乃がぱっと表情を明るくする。


「明日のドレス試着の予約時間の確認の電話かも! ちょっと出てくるね」

「あぁ」


「紗良〜? パンフレットぐちゃぐちゃにしないでよー?」

「わかってるってー、もう子供じゃないんだからさー?」


綾乃が立ち上がり、廊下の方へ消えていく。

扉が閉められた音がする。

リビングに残されたのは俺と紗良だけ。

その瞬間、リビングの空気が変わった気がした。

さっきまで綾乃の明るい声と式場の話で幸せな空気が満たされていたはずなのに、彼女がいなくなっただけで、部屋の温度が少し上がったように感じる。

いや、違う。

温度だけじゃない。

空気が湿って、重くなったような気がする。

喉の奥に絡みつくような、甘く息苦しい熱。

ソファの向かい側に腰掛けた紗良の匂いが、急に輪郭を持ってこちらへ流れてくるような錯覚。


あんなことがあったのだ。

当然二人きりになったため本能が警戒している……そう思いたかった。

身体が危険を察知しているだけだと。

だが、本当は違う。

俺は多分待っていたのだ。

綾乃が何らかの理由で席を外す瞬間を。

そんな自分の浅ましい存在に気づいた途端、胸の奥が急速に冷えていく。

いったい俺は何を考えて……と自問するものの、腹の底はじわりと熱を帯びていく。


「……お義兄さん」


ソファの方から声がした。

それだけで背筋が小さく震える。


「今、ちょっと期待しました?」

「……ッ」


息を飲む。


「お姉ちゃんが電話に行って……二人きりになって……」


紗良はソファの座面に浅く腰掛け、ゆるく脚を組んだ。

ホットパンツから伸びる太ももが、目の前で惜しげもなく晒されている。


「今度はどんなことされるんだろって……」


違う。


「期待しました?」

「ッ……」


違う。

俺は期待なんてしていない。

期待なんてしていいはずがないのだ。

なのに紗良は……ソファから立ち上がった紗良は、確信を持っているかのように、ゆっくりと俺に近づいてくる。


ひたひたと。

少しずつ。

甘い匂いが近づいてくる。

ホットパンツの裾から覗く太もも。

鎖骨が見えそうな緩い襟元。


そしてそのまま、さっきまで綾乃が座っていた場所へと腰を下ろした。

俺のすぐ隣、拳ひとつぶんほどの隙間を開けて。

香水をつけているわけではない。

甘い人工の匂いではなく、紗良自身が持ち合わせている柔らかく仄かに甘い匂い。

綾乃がいなくなった途端に甘酸っぱく濃厚になったその匂いに、頭の芯が痺れる。


俺の隣。

綾乃がいたはずの場所を、紗良の豊かな臀部が占拠していた。

紗良の柔らかな肢体の香りが、隣に座っただけで強く香ってくる。


「……ちょっと、距離近すぎだろ」

「あ、そうですね」


悪びれる様子もなくあっけらかんと言い放つ。


「そこは綾乃が座ってただろ……」

「今はいませんよ?」


「そういう問題じゃ……」

「じゃあ、どういう問題ですか?」


紗良は小首を傾げた。


「お姉ちゃんがいないから、お義兄さんの隣に座りたいなって思ったんですけど……ダメですか?」

「……」


本来であれば当然ダメではないのだ。

別に隣に座るくらいはいい。

普通の友達同士でも、同僚でも、それこそ姉の婚約者相手でも、隣に座るのはおかしなことではない。

だが、今の俺と紗良の関係を考えると……。


「ダメなら向こうに戻りますけど~?」


わざとらしく口を尖らせてそう言い放つものの、紗良はさらに身を寄せてきた。

距離が近くなり、豊かな臀部の膨らみが触れてくる。


「……ッ」


鼻腔をくすぐる、シャンプーと熟れた果実の混じった甘い芳香。

隣に綾乃が座っていた時は、式場のパンフレットを真剣に見ている横顔が目に入った。

だが、今は違う。

自身の太ももに肘をつき、悩ましい視線で見上げてくる紗良の大きな瞳に魅入られる。

そして、ふっくらと盛り上がった胸の谷間には長い線が描かれていた。


「ま、まぁ……」


じっと見つめられるとあの時の記憶が走馬灯のように蘇る。


クローゼットの中の暗闇。

柔らかい太もも。

唇。

舌。

紗良の女体を至近距離で堪能してしまった、あの時の記憶。


何度も忘れようとした。

忘れなければならないと自身を戒めたのに、紗良が近寄ってきただけで身体の方が制御不能になってしまう。


「いい子……♡」


にっこりと笑った紗良の手が背中の方から腰に回される。

そのせいでより密着してしまう。

綾乃のいるときでは考えられないほど近く、温かな紗良の体温が染み込んでくる。


「ぅ……ぁ……♡」


柔らかい女体に迫られ思わず呻く。

しかし紗良はどこ吹く風といった様子で。

テーブルに広げられたパンフレットへ手を伸ばしていた。

白いチャペル。

新郎新婦。

そして、その下に書かれた『誓いのキス』という文字。

細い指先が、その文字をゆっくりとなぞる。


「誓いのキス……ねぇ?」


聞いているだけで喉が渇く。

さっきまで見ていたパンフレットは、綾乃と一緒に真剣に検討していたはずのもの。

だが紗良の手に渡った瞬間、紙面のキラキラとした輝きが、急にくすんで見えてくる。


「これ、どんな感じなんでしょうね?」

「ど、どうって……」


「お姉ちゃん、楽しみにしてるんですよね〜」

「……」


「お義兄さんも?」

「……あ、当たり前だろッ♡」


しっかりとそう答えたはずなのに、脇腹をくすぐる手指のせいで声は少し掠れていた。


「当たり前……かぁ」


彼女が小さく笑った。

それは綾乃の穏やかな笑みとは違う。

無邪気を装った、どこか含みのある笑い。


「じゃあ、どんな感じなんですか? 誓いのキスって」

「っ……」


ぐいっと顔を寄せてくる。

距離が近い。

話題が話題なだけに、どうしても意識してしまう。


「ほら、漫画とかドラマとかで見たことありますけど……実際にするのは違いますよね?」


パンフレットを持っている手。

いつの間にかピンと立ち上がった人差し指が、その字面をつついていた。


「誓いのキスってどんな感じなんですかね?」


その指は止まらない。

まるで何かを確かめるように、『誓いのキス』の文字をゆっくりと指でなぞっていく。

一本の指が紙の上で踊るたび、まるで俺の良心を弄んでいるようだった。


「お、俺にはわかんない……」


適当に誤魔化すように当たり障りのない答えを口にする。

紗良は手を動かしながら目を細めた。


「へぇ?」

「俺だって式場で披露宴もあげるの初めてなんだから……」


「じゃあ誓いのキスの練習も、しときます?」


パンフレットの『誓いのキス』の文字を指先で撫でながら、紗良が囁く。


「何言って……」

「だって、やっぱりちょっと期待してましたよね?」


「し、してない……」

「え~~? 本当ですか~?」


紗良はこの状況を楽しんでいるようだった。

ドギマギする俺を嘲笑うかのごとく、太ももをくっつけたり離したりし、手はまたわざとらしく俺の腰や腹を撫で回してくる。


「期待してないです?」


パンフレットの文字を指でゆっくりとなぞりながら、じっとこちらの目を見てくる。


「ほら、誓いのキ〜〜ス♡」


『ん〜っ♡』と唇を尖らせてキス待ちの顔。

とどめとばかりに人差し指でふにふにと唇に触れて見せびらかす紗良に、俺はたまらず視線を逸らした。


「だ、ダメ……だろ……♡」


太ももを撫でる指先。

目の前にちらつく柔らかな谷間。

匂い。

体温。

突き出された唇は瑞々しく、刻まれた皺のひとつひとつがくっきりと見てとれた。

紗良という存在の全てに意識を集中してしまう。


紗良の唇。

あの情熱的なキス。

潤いたっぷりのうるちゅるリップで、これでもかというくらい食まれた記憶が蘇る。

紗良はこちらを挑発するように、未だ唇を突き出している。


「……ッ♡」


喉が焼けるように熱い。

視線を逸らさなければいけないのはわかっているのに、脳裏に焼き付いたあの唇の感触と粘膜の蠢きが頭から離れない、どうしても目を閉じられない。


紗良の唇。

クローゼットの中で重ねた、あの瞬間の記憶。

何度も何度もしゃぶりつかれた二枚の唇を、忘れることができなくて。

俺は……俺は……俺……は……ッ♡♡


「さ、紗良ッ──……♡」

「やっぱりやーめたっ♡」


しかし、二人の唇の間に、突如紗良の指先が現れたのだ。

結果、俺の唇は紗良の唇ではなく、紗良の細くてしなやかな、それでいてピンっと立ちはだかった人差し指にキスをする形になっていた。


「ふぅ〜〜……♡ 危なかったね〜……♡」

「……ッッ♡♡ な、なんでぇ……♡」


思わず本音が漏れる。

今まさに紗良の唇に吸い寄せられようとしていたのに、あと僅かのところで……紗良の指が割って入ったのだ。

この数日、ずっと紗良との快楽を忘れられずにいたというのに。

あとほんの僅かであの情熱的なキスができたというのに。

二人を隔てた人差し指が邪魔をする。

距離にして数センチも離れていないというのに、どうしようもなく遠く感じる。


「お義兄さんったらぁ……♡」


くすくすと悪戯っぽく笑う声。


「まさか……本気でキスするつもりだったんですか~?」

「な……」


「お姉ちゃんがいない今なら……二人っきりの今なら……♡ チャンスかもって……思っちゃったんですか〜?♡」

「そ、それは……♡」


「唇と唇で『ちゅっちゅっ♡』って……♡」


紗良が見せつけるように、目の前の人差し指に自身の唇を押し付け、二度三度と吸い付いた。


──ちゅっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅぅぅ……♡


「そんな感じですかね……♡ ねぇ、お義兄さぁん?」


『ちゅっ♡ ちゅぅっ♡』と、甘く湿ったリップノイズと共に、桜色の唇とほのかに赤くなった指の腹がしっとりと重なり合っていた。

紗良の気まぐれでオアズケにされたキスを、目と鼻の先で艶かしく再現されて、視線を逸らすことさえ叶わない。

もう少し決心が早ければ……早ければ……あの桃色のリップを再び堪能できたのではないかと考えずにはいられなかった。

忘れようと思っても、決して忘れることのできない紗良との情事を──。


「お姉ちゃんの晴れ姿、きっととっても綺麗だろうな〜……♡」


紗良はパンフレットに目を通しながら、小さくこぼした。

姉への純粋な尊敬や敬愛が込められており、嘘偽りない本心からの言葉なのは明らかだった。

しかし一方で、それは俺の良心を鋭く抉ってくる。


わからない。

紗良の考えていることが全くわからない。


「明日のドレスの試着……あたしもお邪魔させてもらおっかな〜……♡」

「え……」


「式場でなら、今日できなかった続き……♡ シてあげてもいいかな〜〜〜って……♡」

「や……あの、そ、それは……」


「ダメですか?♡」


大きな瞳で、下から掬い上げるように見つめられる。

姉の綾乃にはないあざとさの塊のような上目遣い。

男の庇護欲を掻き立てる甘え上手で甘える才能のある末っ子らしいおねだり。

狙いすぎないように飽くまで自然に、胸の谷間もちらりと覗かせて。


「明日のお姉ちゃんのウェディングドレス試着……一緒に見学に行かせてもらっちゃってもいいかなぁ……?」

「ぅ……ぁ……♡ そ、それは……♡」


「あたしもずっとここに居候させてもらえるわけでもないですしぃ……♡ 旦那さんができた時の参考にしたいなぁ〜って……♡」


──ぎゅぅ……♡ むにゅぅ……♡


近い。

近い近い近い。


甘く漏れ出すような声と共に、紗良の柔らかな肢体がしなだれかかってくる。

キスを拒絶しておいて、今度は抱き合うくらいの距離感。

突き放さなきゃと思う理性とは裏腹に、紗良に手懐けられた劣情は、彼女に寄りかかられただけで簡単に沸騰してしまう。


「ん♡ ふぅぅ〜〜……♡ お〜、ね〜、が〜、い〜……♡」


密着した耳そば。

耳の凹凸を撫ぜるように湿り気たっぷりの桃色吐息を吹きかけられたあと、溶けた砂糖菓子のように甘い声が囁かれる。

見え見えのあざとい誘惑。

今、採ろうとしている選択が間違ったものだとわかっていても……。


「ねぇ~、いいでしょ~……?♡」


──ぎゅぅぅぅ……♡


「ぁっ……♡」


紗良を受け入れたその先を想像し、勝手にいきり立ってしまった肉竿。

そこに、目ざとく気がついた紗良の手指が絡み付く。


「ねぇ、おちんちんさんはどう思う~……?♡」


──かりっ……♡ かりっ……♡ かりかりかり……♡


紗良が耳元へ吐息まじりの湿った声を注ぐとともに、桜色の爪の先で肉竿の先端を引っ掻き始めた。

先端に軽く指をあてがい、ゆっくり、ゆっくりと。

一定のリズムを刻みながら、裏筋やカリの溝を甘く引っ掻き、あの時刻み込んだ快楽を思い起こさせ、増幅させていく。


──かりかり……♡ かりかり……♡ かりかり……♡


「ッ、ぅ……♡」


思わず腰が引ける。

紗良の指先は優しく、そして正確に愚息の弱点を狙っていた。

股間に集中した血液が、紗良の指によってさらに膨張させられていく。


「ほら……♡ おちんちんさんはあたしと一緒にイキた〜い……だってぇ〜?♡」


耳元で囁かれる紗良の声。

しっとりと鼓膜を震わせ、脳髄へと染み込み、意識を揺さぶってくる。


──かりかり……♡ かりかり……♡ かりかり……♡


「はぁ……♡ はぁ……♡ さ、紗良……♡」


クネクネと動く指先の前に腰の奥が疼き出す。

ジンジンと甘い快楽を与えられ続け、我慢できずに右に左にと腰を捩るが、優しく包むように添えられた手のひらからは逃れられない。

そっと寄り添うように、しかして快楽を与えんがために動くのは指先だけ。

甘やかな手指の動きに主導権を握られ続け、みっともなく悶絶しながら、紗良の手ひとつでコントロールされてしまう。


「ん〜? あたしはお義兄さんとじゃなくて、おちんちんさんとお話してるんですけどぉ〜……?♡」


紗良はそう言って、先端を掻く手指にほんの少し力を込めてくる。


「あ"ッッ♡ んおッ♡ お"っ……♡」


裏筋の中心を甘く引っ掻き、カリ首を指の腹で摘み上げ、そのまま溝に沿うようにクニクニと撫で擦り、敏感な箇所を順番にイジメ抜く。

紗良の指の腹で何度も何度も、しつこいくらいに弄ばれ続ける肉竿。


「ねぇ〜、おちんちんさん、あたしも着いてっていいでしょ〜……?♡」


──かりかり……♡ かりかり……♡ かりかり……♡


──クニクニ……♡ クニクニ……♡


「さ、紗良……♡ やめッ♡」

「ふぅ〜ん……お義兄さん……そんなこと言うんですねぇ〜〜……?♡ うるさい上のお口はチャック〜……♡」


──かりかりかりっ……♡ かりかりかりっ……♡ かりかりかりっ……♡


「い"ぃッ♡ あ"ッ♡」


怒鳴りつけて振り払えばいいものの、そんな選択肢など、はなから存在しなかったかのように。

ズボンの布越しという形であれ、無意識のうちに股間を紗良に預けてしまっている状態であり、それが正常な判断ができていないことを如実に物語っていた。

太ももで射精したことを思い出させるように、紗良の手によって愚息が愛でられ続け、それが射精という形で排出される寸前で。

紗良の指がピタリと止まる。


「じゃー、最後に〜……♡ おちんちんさんに聞いちゃいますか〜♡」


股間のファスナーに掛かる指。

そしてそれを止める間もなく下されて。

そのまま手際よくボクサーパンツの中へ滑り込むと、紗良の手が既に張り詰めた肉竿を包み込み、外へと引き摺り出してしまう。

躊躇の欠片もなかった。


「ッ──♡」


紗良の前で剥き出しとなった、充血し怒張して反り返る肉棒。

それをまるで芸術作品でも鑑賞するかのように、紗良はニヤニヤと意地悪そうに見下ろしていた。


「おちんちんさ〜ん……♡」

「あ"ッ♡ あ"ッ♡」


ゆっくりと紗良の顔が肉竿へと降りていく。

それと並行して紗良は右手の指で竿の根元を締め付け左手で陰嚢を支えると、まるで崇めるように肉竿を持ち上げた。


そしてそのままどんどん接近する桃色の柔らかな唇。

あのクローゼットで情熱的に重ねた二枚の唇が、眼前にある肉竿へと寄り添っていくのだ。

微かに漏れた紗良の吐息が肉竿の表面を撫でると、それだけでゾクリとした快感が背筋を突き抜けていく。

肉竿が無意識に飛び跳ね、腰の奥が期待するように甘く疼いた。


「ふぅ〜〜〜……♡」

「あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁ……♡♡♡」


太ももの時と同じだ。

目の前には限界を迎えた肉竿。

そのすぐそばで唇が……紗良の生々しい女の部分が牙を剥こうとしているのだ。

こんな状況、俺の理性が耐えられるはずがない。


唇が触れる。

もう触れそうになる。

だけも触れそうで触れない。

あとほんの少し。

あとほんの僅かで触れるところまで近づいて──。


「──んっ♡ ふぅぅ〜〜……♡ はぁぁ〜〜……♡」

「ん"ぁぁぁぁぁぁ……♡♡♡」


甘く切ない微風が吹き荒れる。

少し開いた唇の隙間からほんの少し、表面を掠めるようにして吐き出される紗良の吐息。

体温と湿気と甘い色を含んだ微風は、全身を際限なく火照らせる。

股間を直撃する生暖かい風。

それは快楽中枢を溶かし、さながら女の蜜壺の中へ招かれたかのように、生殖器に直接絡み付いてくるようだった。


しかして唇が触れるかどうかの境界線にて、紗良は微動だにせず。

微かに湿った息と僅かに開かれた唇は、いつ何時でもこちらを喰らうことが可能だと知らしめるが、そこから一切動くことがなかった。

俺だけが呼吸を乱して、肉竿を脈動させ、全身から汗を垂らし、腰をモゾモゾと落ち着きなく動かすだけ。

一方で紗良は涼し気な顔でこちらの様子を伺い、クスクスと笑いながら肉竿と顔とを交互に見上げているだけ。


「あ"ッ♡ さ、紗良ぁ……♡♡♡」

「ん〜〜? 『ちゅっちゅっ♡』ってして欲しい? それともぉ〜……『ぺろぺろ〜♡』ってして欲しいのかなぁ〜?」


「さ、紗良ぁ……♡」


甘い声で喘ぎながら、紗良の手の中で肉竿を震わせる。

紗良の唇に向かってどれだけ竿を押し付けようとしたところで、根元を指で縛り付けられた哀れな肉竿は、数ミリも距離を縮めることができず。

目の前に美味しそうな唇があっても、決して触れることさえ叶わない。

焦らし尽くされた生殺しのような地獄。


「あたし、言ったよね〜……? おちんちんさんに聞いてるんですよ〜……って」

「あ"……あ"ぁぁ……♡ だッ♡ だけどぉ……♡♡」


「ふぅ〜ん、お義兄さんも……おちんちんさんと意見は一緒ということでいいんですか〜?」

「さ、紗良……♡♡ ぁ"……♡ こんなの……♡ 無理ぃぃ……ッ♡」


「無理って何ですか~……?♡」

「こんなの……ッ♡ こんなのッッ……♡」


もう駄目だった。

紗良の吐息が肉竿の表面を撫ぜるたびに、股間に疼きが広がっていく。


触れてほしくて。

キスしてほしくて。

舐めてほしくて。

しゃぶってほしくて。

射精したくて──。


それら全てを、あの肉厚でぷるっぷるな唇に委ねたくてしょうがないのだ。

いくら腰をくねらせながら求めても、指のリングで戒められた肉竿は目前の唇目指して僅かな距離を詰められず、紗良に媚びへつらうことしかできないでいた。


その間も紗良の手指は肉竿の根元を縛り上げ、反対の手では陰嚢を揉み捏ねしながら、射精するにはあまりにも遠すぎ、そのくせ中途半端な快楽を紡ぎながら、欲と精子だけを睾丸へと募らせていく。

勝手に何度も何度も収縮を繰り返す陰嚢を、紗良は玩具で遊ぶかのように愛おしげにコロコロと掌の中で転がしてみせていた。


「わかったッッ♡♡♡ わかったからぁッッ♡♡♡」

「ん〜? 何が『わかった』んでしょうか〜?」


「ぁ……♡ さ、紗良の同行……を……許可するぅ……♡」

「……ふぅ〜ん?」


紗良はじっと肉竿を見つめながら小首を傾げた。

俺がやっと絞り出した答えに対して目もくれないまま、ただただペニスへと視線を浴びせ続けている。


「だってさ〜? おちんちんさ〜ん? お義兄さんも連れてってあげる〜……? クスっ♡」

「なッッ♡ ち、ちが──……」


──ふぅ〜〜〜〜……♡


「ん"お"ッッ♡♡♡」


紗良の言葉を否定しようと開いた口を戒めるように、紗良は尖らせた唇から裏筋目掛けて長く息を吹きかけた。

そのせいで俺の息は止まり、言葉は喉奥へと引っ込み、肉竿を大きく震わせながら腰の奥から耐え難い疼きがじくじくと湧き上がってくる。


ただの息遣い。

微風でしかないはずなのに、快楽に飢えきった肉竿を征服するには十分過ぎるものであった。


「お、おぉ……♡♡」

「ね? あたしとおちんちんさんが一緒にお姉ちゃんのドレス選びに行くところに……お義兄さんが『お供させていただく』んだよねぇ〜……?♡」


「ぁ……♡ ぁ……♡」

「ふふっ……♡ だって……♡」


紗良の息と熱と唇とが、目の前にあって。

でも絶対に触れてはくれない。

唇の形が僅かに歪み、甘く熱を孕んだ微笑が咲き誇る。


「お義兄さんの意思の決定権は、全部ココに委ねられてるみたいですけど〜?♡」


──ふぅぅ〜〜……♡


「おぉお……♡ うッ……♡ あ"……♡ ぁ"……♡」


今度はより一層弱く、か細い吐息が吐き出された。

紗良の唇から生み出され、湿り気を十分に保った微風が敏感な皮膚を撫ぜ、肉竿へ這うように纏わりつく。


「だからさ〜……♡ お義兄さんがおねだり必要だと思うんですよね〜……♡ 『お供させてくださいっ♡』って……♡」

「お"……ぉ"ぉ……♡ おぉお……♡」


鈴を転がすようなかわいらしくも艶かしい声に乗せられた官能の毒。

それを聞き取った瞬間、脳の奥深くで甘く煮詰まった劣情がとろりと溢れ出す。


腰が疼く。

愚息が疼く。


紗良への服従を心待ちにしているかのように、肉竿が悦びに打ち震え、先端から涎が滴る。


「お"ッ♡ お"ぉぉ……♡ お、おねがッッ♡♡♡」


涙声が漏れる。

惨めすぎる姿だった。

婚約者の綾乃の前ですらこんな声を上げたことはない。

なのに今は、紗良に媚びを売ること以外、何も考えられなくなっていく。


──ふぅ〜〜〜……♡ ふぅ〜〜〜……♡ ふぅ〜〜〜……♡


「んお"ぉ……♡ お"ッ♡ あ"ぁッッ♡♡♡」


しあし婚約者の妹という背徳的な唇は、卑猥な肉棒の先端を熱心に眺めながら、それでも一切の慈悲を与えてくれなかった。

窄まった唇から漏れ出す微風は、まるで気まぐれな女神の悪戯のように肉竿へと吹き付けられ、血管の隆起を愛でながら通り過ぎていく。


──ふぅ〜〜〜……♡


「ん"……♡ あ"っ♡ あ"ぁぁ……♡♡」


紗良の口から吐息が漏れると、俺の口から言葉が漏れる。

唇が触れて欲しいがあまり、俺はただただ肉竿を震わせながら腰を上下左右にクネクネと動かし、情けのない格好を披露し続けていて──。


「ふぅ〜〜〜〜……♡ じゃ、そろそろですかねー……お義兄さん、お義兄さん自身からお姉ちゃんに『紗良も連れていく』って宣言してくれたら、あたしもご褒美あげちゃおっかな〜……♡」

「そ、それって……♡」


「ん〜〜〜?♡ それって、どういうことなんですかねぇ〜?♡」


──ふぅ〜〜……♡


「ッ……♡ ぁ"っ……♡♡♡」


紗良の息遣いのせいで肝心なところの回答を得られないまま、選択に悩み続けること数十秒。

その間、紗良の唇は肉棒の数ミリ前に停止し続けており、俺の肉竿は紗良の吐息のみを当て続けられている状態で。

この生殺しの状態が何よりも苦しくて──。


「ほ、本当に……紗良を連れて行っていいなら……♡♡♡ ぁッ♡ ぁ"ッ♡ お、俺の方からッッ♡ あッ♡ あやのにぃ……ッ♡♡♡」


「ん〜〜〜?」


──ふぅ〜〜〜……♡ ふぅ〜〜……♡


「うぁ"ぁ……♡♡♡ さ、紗良もぉ……着いていきたいッ……♡ ってぇぇ……♡♡♡」


──ふぅ〜〜〜……♡ ふぅ〜〜〜……♡


「ん"お"ぉぉ……♡♡♡ いうッッ♡♡♡ いうからぁッッ♡♡♡ おッ♡ 俺がぁッ♡ さ、さらにもッ……♡ 着いてきてもらいたいってぇ〜ッ♡♡♡」

「ふふっ……♡ こんなとろけちゃったらちょっと信用できませんけど……ま、いいでしょう。そこまで言うなら情けのないお義兄さんのために、あたしも着いて行ってあげますよー……♡」


「ぅ……♡ ん"お"ぉぉ……♡ ぁっ♡ ぁぁ"あ……♡」


肉竿に吹き付けられていた優しく湿った微風が止んだ。

しかし解放されたわけではない。

依然として目の前には鮮やかな桃色に彩られた情熱的な唇が鎮座し、その数ミリ先に暴発寸前の肉棒がひくひくといなないている。


「じゃー、お約束のご褒美ですね〜……♡」


そう言って紗良は、ほんの少し、ほんの少しだけ身を乗り出した。

まるで蛇のように狡猾な、緩やかで、そして確信に満ちた動き。


桃色の唇が、俺の怒張した肉竿の先端へと近づいてくる。


あと数センチ。

あと数ミリ。


白濁の先走りを滲ませ、ひくひくと脈打つ亀頭のすぐそばへ。

紗良の息遣いが、はっきりと届く距離。


──ふぅ……♡


「ッ……♡」


またもや生暖かい微風が、敏感なペニスの表皮を撫でた。

紗良の吐息。

唇から漏れる甘く湿った呼気。


じわり、と腰の奥が熱を持つ。

ただそれだけの刺激で、肉竿がびくんと跳ね上がる。

先ほどから吐息だけで焦らされ続け、もうこれ以上待つことなんてできない。


「ふふ……♡ すごい反応……♡」


紗良はくすくすと笑いながら、さらに顔を寄せてくる。

長い睫毛が瞬き、大きな瞳が俺の肉竿をじっと見つめている。


「お義兄さん、そんなにあたしと一緒に行きたかったんだ〜……?♡」


唇が動くたび、ほんの少し吐息の角度が変わる。

それが竿の表面を微妙に撫で、快楽神経を逆撫でする。


「お姉ちゃんに、あたしも連れて行くっておねだりしちゃうんだ〜……クスっ♡」


──ふぅ……♡


「ぁ……♡」


また吐息。

今度は少し強く、その分短めに。

亀頭の先端めがけて吹きかけられた。

生ぬるい湿気が、カリの溝を這うように流れる。


「んくっ……♡ あ"ッ……♡」


背筋が痺れる。

ただの息遣いなのに。

唇が触れてもいないのに。

それなのに、身体はもう紗良の唇の支配下にあるかのように反応してしまう。


「ちゃんとなさけな〜くおねだりできましたもんね?♡ えらいです……♡」


紗良の右手指の輪っかが、竿の根元をぎゅっと戒める。

痛みはない。

ただ、確かな所有を主張するような、優しくも逃げ場のない圧迫。


「だから……♡ ご褒美、あげますね……♡」


その言葉と同時。

紗良の唇が最後の距離を埋め尽くした。


──ぴとっ……♡


「ッッ……♡♡♡」


触れた。

紗良の唇がとうとう肉竿の先端に触れたのだ。


──ぬちゅっ……♡


柔らかい。

想像していたよりもずっと。

ずっと……柔らかい。


桃色の、ぷるんとした唇の肉感が、敏感な亀頭の表面に押し付けられる。

ほんの少しの圧迫。

それだけで脳髄を焼くような快感が溢れ出す。


「んっ……♡」


紗良が小さく喉を鳴らした。

押し付けたまま、少しだけ顔を傾げ角度を変えて、裏筋の方へと唇を滑らせる。

湿った唇の柔肉が竿の歪な凹凸に合わせて淫らに形を変える。


──ちゅ……♡


「あ"ッ……♡ くッ……♡」


キス。

それはキスだった。

間違いなく口づけだった。


唇と唇が重なるのではなく唇と肉竿が重なる、背徳的で、歪で、それでいて甘美な粘膜接触。


そんな中、紗良は目を閉じていた。

うっとりと、恍惚とした表情で。

まるで恋人に口づけるかのように、俺の肉竿に唇を押し当てている。


──ちゅっ……♡ ちゅっ……♡


「ッ……♡ ぁ……♡ さ、紗良……♡」


名前を呼ぶ声が震える。

綾乃に対する罪悪感、しかしてどうしようもないほどの快楽が与えられて、喉から漏れる音は情けないほど掠れていた。


──ちゅぅぅぅ……♡


唇が吸い付く。

カリとの合流地点を、そこが最も敏感な部分であると知っているかのように、的確に押し当てられていた。


「あ"ぁぁ……♡ くッ……♡」


そのまま裏筋の敏感な部分を、紗良の柔らかな唇が包み込むように吸い上げた。


──ちゅぅぅぅ……♡


「ッッ♡♡♡」


視界がしらやんだ。

びくんびくんと震える肉竿を、紗良の指輪っかが根元を縛り付けて抑え込む。


「ん〜〜〜……♡」


──はむ……♡ はむ……♡


──ちゅぷ……♡ ぬちゅ……♡


上下の唇を開閉し甘えるように啄み、繰り返し裏筋へと吸い付いてくる。

柔らかくも弾力のある唇。

それがまるで生き物のように蠢いて、肉竿を丹念に味わっていく。


──はむ……♡ はむ……♡


──ちゅぷ……♡ ぬちゅ……♡


「紗……ッ……♡ あ……♡ ちょ……♡」


声が出てこない。

喉が詰まり、腰の奥がずんと重くなって、脳の回路で火花が散る。

ただ唇が押し当てられるだけで、それ以上のことはされていない。

しかし柔らく粘液を纏った唇に何度も何度も啄まれて、肉竿には電気を流されているかのような衝撃が襲いかかってくる。


──ちゅ……♡ ちゅぷ……♡ ちゅぅぅ……♡


唇が裏筋を甘く食む。

唾液のぬめり気が加わるたび、柔らかな粘膜の感触が倍増する。

唇の輪郭が敏感な器官に貼り付き、口腔内部の熱がダイレクトに染みてくる。


「お……ぁ……ッ……♡♡」

「ん〜……♡」


こうなると是が非でも口の中へ飲み込まれたいと願ってしまう。

唾液で濡れた唇の肉輪に締め付けられながら、ぬめりを帯びて熱を持った粘膜の洞穴の中を突き進みたい──。

そんな淫らな妄想が脳裏をよぎり、無意識に腰を押し出してしまう。

しかし──。


「だーめ♡」


紗良は許してくれなかった。

唇を離さないままそう短く漏らし、自身の口腔内へは招き入れない意思を伝えてくる。

俺が口に出していないのに、ただ頭の中で思い浮かべただけなのに……紗良に思考を読み取られたかのようだった。


なのに……なのに……ッ♡


──れろ……♡


「ん"ッ……♡♡」


突如として、包皮小帯の凹凸を湿った熱が這っていく。


舌だ。

紗良の舌だ。

僅かに開いた唇と唇の隙間から、ぬるりと這い出た紗良の舌が、丁寧な舌先遣いで裏筋を舐め始めていたのだ。


最初はほんの少し、ゆっくりと。

先端だけで触れ感触を確かめると、そのまま柔らかな舌の腹を軽く押し付け、裏筋のラインをなぞり始める。


──れろ……♡


「ッ……♡♡♡」


頭の中で快楽の華が咲き誇る。

太ももでされた時とも手で扱かれた時とも違う。

舌の感触は、もっと繊細で、ねっとりとして、それでいて生々しい熱を孕んでいた。


──れろ……♡ れろ……♡ れろぉ……♡


「さ、紗良……♡ そこ……♡」


裏筋のラインを舐め上げる舌先が、今度は敏感なカリの段差を舐め回し始めた。

細く尖った舌先がカリの窪みを丹念に愛撫し、一度丁寧に一周する。

舌の表面を彩る無数の凹凸──味蕾が敏感な性感帯の山を越え、窪みをなぞり、溝を這う。

亀頭周辺が紗良の唾液の薄膜で、ねっとりとコーティングされていく。


──れろぉ……♡ れろぉ……♡


「ッ……♡ く……♡ あ"ッ……♡」


声を殺せない。

快感が強すぎる。

亀頭のすぐ下をねっとりと舐められただけで、肉竿はびくびくと跳ね、睾丸は紗良の指のリングが戒める根元に向けて精液を押し上げようと収縮していた。

しかし根元を縛り付けられているせいで射精には決して至らない。

行き場を失い、ただただ下腹部に快楽が滞留していく。


「あ"……♡ さ、紗良……♡ も、もう……♡」


──れろ……♡ れろ……♡ れろぉ……♡


「ん〜〜……♡」


紗良は答えない。

答えないままに、唇と舌とで肉竿を弄ぶ。


「ッ……♡ あ……♡ さ、紗良……ッ♡」


腰が揺れる。

自分の意志とは無関係に肉竿が振り回され、目の奥が白黒する。


「ッ……♡ くっ……♡ ん"ッ……♡」


声が出る。

抑えきれない喘ぎが喉から漏れる。

綾乃には聞かせたことのない、情けない、雄の声。

唇と舌だけで男の理性を容易く崩壊させる快楽刺激。

それを紗良は、何の苦もなく与えてくる。

理由がわからない。

出させてもらえない理由が、まるでわからない。


理性も、罪悪感も、何もかもが快楽の前に溶けていく。

紗良の舌と唇に溶かされていく。

頭の中が桃色に染め上げられて、どんどんおかしくなっていく。


もう、綾乃に何を言うのかも、これからどうなるのかも……何もかもどうでもよくなってしまう。

ただ、紗良の唇で、一刻も早くこの苦しみから解放されたい──。


その時だった。


キッチンの方からパタンとドアの閉まる音が響いた。


まずい。


綾乃が戻ってくる──。

だから早く──ッッ♡♡♡


と、言いかけるよりも早く、紗良は素早く顔を離した。

唇が肉竿から離れると同時、根元を戒めていた指の輪も解かれる。


「ッ……♡」


急激な喪失感。

呆気なく消えた温もりと圧迫。

身体の芯が震え、肉竿がビクンビクンと弱々しく反応してしまう。

反面、何事もなかったかのように立ち上がり、背伸びをした紗良の姿が目に入る。


「ご褒美はここまで〜♡」

「ッ……♡ さ、紗良……♡」


「はい?」

「こ、これ……♡ これで……♡ 終わりなのか……♡」


「そうですが?」

「だって……♡ もう……♡ イキ……そう……♡ だったのに……♡」


惨めな声が漏れた。

紗良に与えられた至高の快楽を知った肉体は、一転して放つことの許されない日常という渦中へと投げ出され、満たされぬ欲の前に飢えが止まらなかった。

耐え難いほどの疼きがジクジクと腰の奥で鳴り止まず、射精の衝動を限界点まで高められてしまっただけ。


そうして紗良は最後の最後に俺から快楽を取り上げ、孤独の淵へと突き落とし、ペニスへの口付けというご褒美のみを報酬として与えたのだ。


「さッ……紗良ぁ……♡」

「ん〜?♡」


しかし……これでは……これでは……ご褒美どころか、生殺しの罰でしかない……。


睾丸はパンパンに張り詰め、肉竿は硬く反り返ったまま。

射精する手段を奪われて、下半身は雄の本能を満たす術もなく下着の中へと涙目敗走。


紗良はズボンを直す手伝いさえしてくれなかったのだ。


俺は自分で、震える手で……下着を整え、ズボンを引き上げ、ベルトを締めた。

そのままファスナーを閉め、違和感のないように生地の皺を整える。

その間、紗良はソファの上で膝の上に肘を置き、頬杖をついて俺を見ていた。

まるで珍獣でも眺めるかのような目。


「ふふっ……♡ そんな顔しないでくださいよ? お義兄さん」

「……ッ」


己の愚かさが身に染みる。

口では如何に紗良を拒絶しようと、身体は彼女が手放したその温もりに縋りつかんと微かに震えてしまう。


「ほら。お姉ちゃん、もう戻ってきますよ?」


廊下から、綾乃の足音が近づいてくる。

俺は慌ててソファの背に深く腰掛け直し、背筋を伸ばし、呼吸を整えようとした。

だが心臓の音はちっとも落ち着く気配を見せない。

速まる鼓動。

身体中に張り巡らされた神経がどくんどくんと疼き、肉竿は下着の中で結局のところ解決を見出せないまま、未だ鎮火しない欲望の炎を燻らせている。

パンツの生地に先走りが滲み、内ももに熱がこもる。

これが……俺の選択の代償なのだろうか──。


「悠真さーん、紗良ー? 電話終わったよー」

「あ、あぁ……こっちは……問題なし……」


「そう? じゃあ悠真さん、そろそろお茶淹れ直そっか。悠真さんのコーヒーも冷めちゃってるだろうしね〜」

「……あぁ……頼む……」


俺は虚ろな目でパンフレットを拾い上げた。


式場のチャペル。

バージンロード。

誓いのキス。


全部が遠い。


こんなことになってしまった今でも、綾乃は何もかもを疑わない。

俺の横に座る、俺の隣に立つ……未来を共に誓うはずの大切な存在。


綾乃は何も知らない。

知らないまま、今日も俺の隣で笑っている。


「悠真さん、コーヒー淹れ直したよ。あったかいから飲んでね?」

「あ、あぁ……ありがとう」


カップを受け取る指先は、まだわずかに震えていた──。


………

……

…

##P2 婚約者のドレス選び@婚約者が試着している最中の匂い責め、ちん撫で、試着室の前で責められる、耳舐め、脱ぎたてのカーディガンでの匂い責め、婚約者にバレそうな状況で責められる、耳舐め手コキ、寸止め


翌日──。

天気は晴れ。

湿度は低く空気は乾燥していて、初夏の陽射しというにはまだ少し早いような爽やかさがあった。

しかし俺の心には湿った熱がこびりついたままだった。

昨晩綾乃が席を外している間に、紗良に口づけられた感触。

まるでマーキングするかのように、熱烈でかつ優しく食まれたせいで、今もなお股間に残るのは解放されなかった熱の疼き。

そして今日、綾乃と一緒に紗良を連れて、式場へ向かっているという事実──。


………


行きがけの車内。


「悠真さん、こっちの道で合ってるよね?」


助手席に座った綾乃が、スマホの地図とフロントガラスの向こうを交互に見ながら尋ねてくる。

何度も下見に訪れたはずの式場であったが、未だに綾乃は道を把握しきっていないらしく、自信なさげに眉を下げて見せる。


「あぁ、ここで曲がればすぐだよ」

「よかった。思ったより早く着きそうだね」


綾乃は嬉しそうに笑い、膝の上に置いていたバッグを抱き直していた。


今日のために少しだけ気合いを入れたのだろう。

淡い色のブラウスに膝丈のフレアスカート。

肩口で整えられた髪からは、朝に使ったシャンプーの穏やかな香りが漂っている。


こうして隣に座る綾乃を見ていると、これからこの人と本当に結婚するのだという実感が少しずつ込み上げてくる。

いつか大勢の人たちの前で夫婦になることを誓う──。

つい先日まで何も疑うことなく描いていた幸福な未来。

だが今は、その白く清らかな未来のすぐ傍らに、落としきれない染みのような記憶がこびりついている。


「楽しみだなぁ」


綾乃が呟く。


「何が?」

「ドレスに決まってるじゃないの~。実際に着てみたら写真で見てた時とは全然違うんだろうな~って」


「そんなものか?」

「似合わなかったらどうしよう」


「そんなわけないだろ」


思わず即答した俺。

同時に綾乃が目を丸くした。

それからゆっくりと頬を赤く染める。


「……まだ見てもないのに?」

「見なくてもわかるよ。綾乃なら何を着ても似合う」


「もう……悠真さんは時折そうやって……♡」


口では困ったように言いながら、綾乃は嬉しそうに窓の外へ顔を向けた。

その横顔を見て胸の奥が温かくなる。

それと同時にじくじくと苦しくなる。


この人を裏切っている──。


そんな当たり前の事実が、今さら胸へと突き刺さり、抜けないトゲのようにずきずきと疼いていた。

思わずハンドルを握る手へ力を込める。


「──いいなぁ、お姉ちゃん」


後部座席から間延びした声が聞こえた。

ルームミラー越しに視線を向ける。

後部座席でシートベルトをしっかり締めた紗良が窓側へ身体を預け、スマホを片手に流れていく街並みを眺めていた。

薄手のカーディガンの下には、身体の線を拾う白いトップス。

短いスカートから伸びた素足を組んで、時折手持ち無沙汰のように膝を揺らす。

何事もなかったかのように澄ました顔で座っている彼女が、昨晩俺をあれほど弄んだ女と、とてもではないが同一人物には見えなかった。


「何がいいの?」


綾乃が振り返る。


「そんなに褒めてもらえて。あたしなんか彼氏もいないし、ウェディングドレスなんていつ着られるかわかんないも~ん」

「紗良ならすぐにいい人が見つかるでしょ」


「そうかなぁ」

「そうよ。もう少し落ち着きさえすればね」


「出た。お姉ちゃんのお説教」


紗良が頬を膨らませる。

姉妹らしい、いつもの何気ないやり取り。

だが俺はその会話を聞きながら妙な違和感を覚えていた。

紗良がこちらを一切見てくれないのだ。

昨日の約束を持ち出すわけでもなく、意味深な笑みを浮かべることもなく、俺を困らせるような言葉を投げかけてくることもない。

それどころか、式場へ向かう車へ乗ってから一度もまともに目が合っていなかった。

本来ならその方がいいことに間違いはない。

何もされない。

何も起こらない。

綾乃と一緒に普通にドレスを選んで帰ってくる……それがあるべき姿。


なのに、運転を続けるうちに、俺は何度もルームミラーを確認してしまっていた。


紗良が何をしているのか。

どんな顔をしているのか。

こちらを見ていないか。


気づけば後部座席の様子ばかりが気になっている。


「──悠真さん?」


突然、綾乃に呼ばれてビクリと震える。


「な、何?」

「さっきからミラーばっかり見てるけど……後ろの車、何か変なの?」


「いや……安全確認してただけだよ」

「そう?」


綾乃は不思議そうに首を傾げた。

その直後。

ルームミラーの中で、紗良と目が合う。


「……ッ」


ほんの一瞬。

紗良はスマホから顔を上げ、ミラー越しにじっと俺を見ていた。

こちらが気づいた途端、その大きな瞳が楽しげに細められる。

当然、語られる言葉はない。

声を出すわけでも、目配せをするわけでもない。

ただ、唇をすぼめて、ちゅっと軽く息を吹き出すように動かす。

たったのそれだけ。

だが、それだけで昨日の記憶が鮮明に蘇る。


顔を寄せてくる紗良。

肉竿の間近で窄められた唇。

触れそうで触れない距離を保ちながら、延々と吹きかけられた湿った吐息。

最後にようやく与えられた、柔らかな口づけ。

下腹部に熱が集まりかけ、慌てて前方へ意識を戻す。


「……」


バレていたのだ。

俺が何度も紗良を確認していたことを。

紗良の様子が気になって仕方なかったことを。

全部、気づかれていた。


「どうしたの、お義兄さん?」


背後からあっけらかんとした声が届く。


「さっきから落ち着かないみたいですけど?」

「べ、別に……」


「運転、緊張してるんですか?」

「何度も走ってる道だから緊張なんか……」


「ふぅん」


それきり紗良は何も言わなかった。

再びスマホへ視線を落とし、細い指で画面を滑らせ始める。


この車内で俺だけが動揺していた。

紗良は昨日のことなど、もう忘れてしまったかのように平然としている。

その態度に安堵する一方で、胸のどこかがざわついていた。


俺は何を期待している──。


式場へ着いたら、紗良が何かシてくれるとでも思っているのか?

昨日言っていた『続き』を……果たされるべき約束のように、心待ちにしているとでもいうのか?


違う。


そんなはずはない。

そんなはずないんだ……ッ。


「悠真さん、次の信号を右だよ」

「あぁ、わかってる」


ウインカーを出し大通りから並木道へ入る。


高い建物が減り、道の両側に整えられた樹木が並び始める。

その先に目的地である式場が見えてくる。


白い壁と大きなガラス窓で構成された、明るく開放的な建物。

敷地の奥には尖塔を備えたチャペルがあり、青空を背景にして白い輪郭をくっきりと浮かび上がらせていた。


「わぁ……!」


綾乃が感嘆の声を漏らす。


「写真で見るよりやっぱり綺麗……」

「ほんとだな」


「紗良も見て。私と悠真さんの式のチャペル、あれだよ!」

「うん。すごいね~」


紗良も窓越しに建物を眺めていた。

その横顔には昨日までの意地悪な笑みはなかった。

純粋に姉の晴れ舞台を楽しみにしている妹の顔。

だから余計にわからなくなる。

紗良は本当に綾乃のことを大切に思っている。

幸せになってほしいと願っている。

その気持ちに嘘はない。

嘘はないはず……。

それなのにどうして俺に……。

どうして姉の婚約者である俺へ、あれほど躊躇なく触れられるのか──。


駐車場の案内表示に従い車を地下へ進める。

薄暗い駐車場へ入ると、フロントガラスを照らしていた陽射しが途切れた。

代わりに等間隔に並んだ照明が、車内を明るくしたり暗くしたりしながら後方へ流れていく。

空いている区画を見つけ車を停める。

エンジンを切った途端、車内が静まり返った。


「着いたね」


綾乃がシートベルトを外しながら微笑む。


「あぁ」

「なんか急に緊張してきたかも」


「ドレスを着るだけだろ」

「悠真さんに見られると思うと緊張するの」


「……楽しみにしてるよ」


そう答えると綾乃はまた嬉しそうに笑った。

ドアを開けて車外へ出る。

俺が運転席のドアを閉めた時、反対側から降りた紗良と目が合った。

今度は鏡越しではない。

正面から。

誰にも遮られない距離で。


「……」


紗良は何も言わなかった。

ただ俺の横を通り過ぎる直前、足を一瞬だけ止める。

肩が触れそうな距離。


「お義兄さん」


綾乃には届かないほど、小さな小さな声。


「楽しみですね……♡」


鼓膜を震わせる囁き。

その言葉だけなら妹として何もおかしくない。

だが紗良は俺から離れる直前に、ほんの少しだけ唇を舐めた。

湿った舌先が桃色のリップをなぞる。


──ちゅぱ……♡ れろぉ……♡


俺が息を飲んだ時には、紗良はもう綾乃の方へ駆け寄っていた。


「お姉ちゃん、行こっ! 予約時間ギリギリになっちゃうよ」

「紗良が朝からのんびり準備してたんでしょ~~?」


「え~、あたしのせい!?」


二人の明るい声が駐車場に響く。

俺はその後ろを歩きながら、知らず知らずのうちに拳を握り締めていた。


『楽しみですね』


それはどういう意味だったのか──。

結局答えのわからないまま、俺は二人のあとを追って式場の入口をくぐった。


………


──ウィーン。


自動扉が開いた瞬間、外とは異なる涼やかな空気が肌を包んだ。

高い天井。

白を基調とした壁。

磨き上げられた床に反射する柔らかな照明。

受付の奥には季節の花が大きく飾られ、華やかでありながらも落ち着いた香りが漂っている。

休日ということもあり、ロビーには何組かの男女がいた。

担当者とパンフレットを囲むカップル。

両親らしき年配の男女と一緒に歩く二人。

壁際に設置されたソファでは、ドレス姿の写真を見ながら幸せそうに笑い合う男女もいる。

誰もがこれから始まる人生を楽しみにしているように見えた。

そんな場所へ、俺はどんな顔をして入っていけばいいのだろうか。


「白百合様、お待ちしておりました」


受付へ近づくと、品のよいスーツを着た女性スタッフが笑顔で迎えてくれた。


「本日ご案内を担当いたします、衣装スタッフの宮原です。どうぞよろしくお願いいたします」

「よろしくお願いします」


綾乃が丁寧に頭を下げる。

俺もそれに倣った。


「本日は妹も一緒なんですけど……大丈夫でしょうか?」

「もちろんでございます。ご家族様にも、ぜひご覧いただければと思います」


「よかったね、紗良」

「うん。楽しみ~」


紗良は姉の腕へ抱きつきながら、嬉しそうに式場の内部を見回した。


「それでは衣装サロンへご案内いたします」


スタッフのあとに続き、長い廊下を歩く。


壁には実際にこの式場で挙式した夫婦の写真がコメント付きで並べられていた。

純白のドレス。

黒いタキシード。

花びらの舞う中で微笑み合う新郎新婦。

その一枚一枚を、綾乃は足を止めそうになるほど熱心に眺めている。


「悠真さん、見て? こっちのブーケのデザインも綺麗~~」

「あぁ」


「こういう淡い色もいいよね~~」

「お姉ちゃん、白いドレスならもう少し色のあるブーケでもいいんじゃない?」


「そうかな?」

「うん。お姉ちゃんは肌が白いし、華やかな色も似合うと思う」


姉妹は楽しそうに話しながら歩いていく。

俺は少し後ろから二人の背中を眺めていた。

綾乃の未来を真剣に考える紗良。

姉の美しさを誰よりも知り、似合うものを選ぼうとする妹。

その姿だけ見れば、どこにでもいる仲のよい姉妹だ。

これまでの出来事など存在しなかったかのように──。


やがて廊下の先にガラス張りの大きな扉が現れた。


扉の向こうには何着ものウェディングドレスが並んでいる。


レースやシルク、そして繊細な刺繍。

柔らかな照明に照らされた純白の衣装が、まるで雪原のように視界を埋め尽くしていた。


「こちらが衣装サロンになります」


扉が開くと同時に、綾乃の口から感嘆の息が漏れていた。


「わぁ……」


スタッフに促され綾乃が一歩踏み入れる。

その瞳は子供のように輝いていた。


「すごい……こんなにたくさんあるんですね」

「はい。本日は事前に伺ったご希望に合わせて、何着か候補をご用意しております。もちろん、他に気になるものがございましたら追加でお試しいただけますよ」


「ありがとうございます」


綾乃は並んだドレスを見ながら、ゆっくりと奥へ進んでいく。

俺もその背中を追いかけようとした。


その時。


──さわっ……♡


隣を歩いていた紗良の指先が、ほんの一瞬だけ俺の手の甲へ触れた。

偶然を装うような、僅かな接触。

反射的に振り向く。


「……」


紗良はまるで素知らぬ顔でドレスを眺めていた。

だが、その唇には微かな笑みが浮かんでいる。


「お義兄さん」


顔を向けないまま小さく囁く。


「……やっぱり楽しみですね?」


何が──。


喉から言葉が出かけたものの、ついぞ聞くことはできなかった。

目の前では綾乃が最初のドレスをスタッフから見せてもらっている。

ドレスを持ち上げたスタッフが、ドレスの裾を大きくたなびかせた。


「まずはこちらのプリンセスタイプをご覧ください。胸元は繊細なレースで覆われており、バストラインは控えめな立体感。ウエストはスッキリと締めていますので、メリハリのあるシルエットとなります。スカート部分はシフォン素材を幾重にも重ねてふんわりと広がり、裾には小さなビジューを散りばめております。全体的に柔らかく、上品な印象を与える一着です」


綾乃はそのドレスをまじまじと見つめ、少し首を傾げた。


「すごく素敵ですね……でも、私には少し可愛すぎませんか?」

「そのようなことはありません。綾乃様の雰囲気によく合うと思いますよ」


スタッフが微笑みながら答えると、綾乃も少し乗り気になったようだった。


「これ……ちょっと着てみたいです……!」

「もちろんご案内できます。試着室はこちらになります」


スタッフの案内でドレスがいくつか吊るされたスペースへ移動する。

二人のあとについていく俺と紗良。

入り口以外の三方向をミラーで覆われた試着ルームの前で、綾乃が靴を脱ぎ、スタッフとともに準備を整え始める。

紗良はドレスの裾を手にとって、興味津々に見ていた。


「すごいね〜。こうして見ると、お姉ちゃんも結婚かぁ」

「うん。なんだか私も実感が湧いてきた……かも……」


「大丈夫? 別に今日決めなくていいんだからね? 迷ったり悩んだりしたら、いつでも相談して? あたしはいつでも相談に乗るよ」

「ありがとう。でもどれか一つに選ばなきゃ。今日は楽しみにしてたし」


「うん。お姉ちゃんが納得できるドレス、きっと見つかるよ~!」

「ふふっ、ありがと」


そう言って笑う綾乃が、スタッフと共にカーテンの向こうへと消えていく。

俺はその後ろで何か言葉をかけようと思ったけれど、何を言えばいいのかわからなかった。


綾乃は綺麗だ。

純白のドレスを纏えば、きっと誰よりも美しい花嫁になるだろう。

その事実が何故か今は少し重苦しく感じる。


「悠真さ~ん、ちょっと来てくださ~い」


紗良の声がした。

振り返ると、試着室前の待ち合いスペースの一角に紗良が座っていた。

ドレスを選ぶ姉を待つ間、暇を持て余しているようだった。


「な、なんだよ……」


わざと少し低い声を出す。

内心の動揺が悟られないように。


「ん〜? 呼んだだけですよぉ♡」


紗良は無邪気な顔で笑う。


「だって、お義兄さん? そこでぼーっと立ってるのもなんだし〜? こっち来て座れば? お姉ちゃん、ドレス着せてもらうのに時間かかるみたいだし~……?」

「……」


試着室のカーテンの向こう側。

綾乃が宮原さんと一緒にドレスの調整を始めている声が聞こえてくる。


「ね? まだ時間かかりそうだし~……? あたし退屈だよ~」


そう言って紗良はソファの背もたれに身体を預け、大きく伸びをする。

サマーニット越しの豊かな膨らみが強調され、真っ直ぐに伸ばされた長い脚が桃色のペディキュアの揃った爪先までピンと伸びる。

無防備に見せられた女体にゴクリと唾を飲み込んだ。


「別に疲れてるわけじゃないし……」


必死で冷静さを取り繕おうとする。

紗良はそんな俺の努力を面白そうに眺めながら、『まぁまぁそう言わずに~』とソファをポンポンと叩いた。


──誘われている。


その事実に身体の芯が火照り始める。

カーテン越しとはいえ綾乃がいるのだ。

だが、昨日の続きを期待していたことも事実で……。


「……座ればいいんだろ」


俺は観念して歩み寄った。

紗良の隣。

距離感ゼロの、紗良の空間に──。


「ほら〜~、やっぱり来てくれると思ってましたよ~?」


そう言って紗良は笑う。

朗らかに。

それこそ、仲睦まじさの感じられる、兄妹とでも言うかの如く。


「……綾乃が出てくるまでの少しだけな。それに……下手に近いと怪しまれるだろうから……」


ソファの端に浅く腰を下ろす。

適度に距離をとりたいという魂胆で紗良に釘を刺す。

今の俺と紗良の位置関係であればまだ誤魔化しが効くように思う。


「それにしても……今日は暑いですね~~……♡」


セルフうちわのようにパタパタと掌で仰ぎながら、羽織っていた薄手のカーディガンを脱ぐ。

露わになった素肌。

剥き出しの肩の部分には薄っすらと汗が滲み、額には一滴の雫が光っていた。

その汗は照明の光を受けて煌めいており、白磁のような陶器肌がしっとりと濡れる様は異様なまでに扇情的であった。


「ッ……♡」


甘いシャンプーの匂いに混じって、ツンと鼻をつく酸っぱい汗の匂いが届く。

シャンプーとフルーツが混じったような、若い女特有の芳香。

手放しでいい匂いと形容できるわけではないが、どこか雄の獣欲を刺激するような、雌の匂い──。


「──持っててくれます?」

「え? あっ? あぁッ……♡」


少しぼーっとしていた俺の手に、紗良が自身の脱いだカーディガンを手渡してきたのだ。

慌てて受け取ったカーディガンの内側から一気に猛烈な雌の香りが湧き上がってきて、鼻腔を刺激する。


この匂いは危険だ──ッ♡


理性が警鐘をかき鳴らす。

先日、クローゼットの暗闇に充満していた匂い。

それよりもっと前、紗良の太ももに顔を埋めた時に嗅いだ匂い──。


一瞬で股間が熱を持つ。

条件付けられていたのだ。

この匂いを嗅ぐだけで、勃起してしまうように。

脳裏に焼き付いた快楽の記憶が、匂いをきっかけに蘇るように──。


太ももの肉感。

唇の柔らかさ。

そして昨晩の、性器へのキス──。


「ぁっ……♡」

「ふふっ♡ どうしました?♡」


「ッ……別に……」


慌ててカーディガンを膝の上に置いて距離を取る。

しかし鼻腔に入り込んだ紗良の匂いは簡単に消えてはくれず、身体の奥底で燻ぶる劣情の燃料になっていく。


あまりに強い匂い。


理性は蝕まれ、思考力は低下。

その代わりに、股間には血流が集まっていく──。


「お義兄さん?」


紗良の声音に含まれる蠱惑的な響きが俺の名を呼ぶ。

俺の心の弱い部分を暴き、操ろうとする声色。


「……な、何だ」


カーディガンを持つ手に汗が滲む。

声が震えている。

これが恐怖からなのか快楽に対する期待なのか、俺自身にもわからない。


「や〜……なんだかとっても大事そ~~にあたしのカーディガンを抱えてるので〜……」


『んーー』と紗良が伸びをする。

剥き出しとなった脇から、ふわっと匂いが漂ってくる。

甘く、そして少し酸っぱく、若い雌の体臭。

それは明らかに人為的な香りなどではなく、女の身体から湧き出した蒸れた香りそのもの。


──とくんっ……♡


「いや……別に……お前が持っててって言ったから……」

「ふぅ~ん……♡」


やばい。


血の気が引く。


「どうしてあたしの顔を見て目を逸らすんです?」

「ッ……♡」


鋭い。


「しかも変な汗までかいてますよ?♡」


返答に窮し、乾いた咳払いをしてごまかす。


「ま、まあ汗ぐらい誰だって──」

「嗅ぎたかったら別に嗅いでもいいですよー♡」


「ッッ♡」


言い訳をあっさりと遮られた。

しかも、それだけではなくよりによってそんなこと……!


「あたしの匂い……好きでしょ?」

「なッ……!」


「この前もいっぱい嗅いでましたもんね〜♡ 太ももの匂いとか……お股の匂いとか……♡」


脳裏に焼き付いている光景。

紗良の太ももに顔を埋めさせられ、舐めるように匂いを嗅がされながら、足で射精させてもらった記憶。

その時の匂いと今鼻をくすぐる匂いが混ざり合い、腰の奥がドクンと脈打った。


「い、今は……その話は……」

「はいはい♡ 今はお姉ちゃんの晴れ舞台ですもんね~」


紗良は屈託のない笑顔で頷く。

そしてふいに身体を寄せてきた。


「でもさ〜? お義兄さん……♡」


耳元に吐息がかかる距離。

甘く湿った空気が耳の穴を弄ぶ。


「んっ……♡」

「お姉ちゃんの匂いより……あたしの匂いの方が……好きですよね?♡」


「ッ……♡」

「嘘つかなくてもわかりますよ〜?♡ だってほら……♡」


紗良の手が膝の上のカーディガン越しに俺の手に触れる。


「また……こんなになっちゃってる……♡」


その指先は迷うことなく、俺の膝の上から股間へと移動し、脹らみ始めた中心部へと触れた。


──さわっ……♡


「ッ……♡ な、何を……ッ♡」

「しー♡ 大きな声出さないでくださいよ〜? お姉ちゃんに聞こえちゃいますから〜♡」


カーテンの向こう側。

かすかに綾乃の声が聞こえる。

宮原さんと話しているようだ。


声を出してはいけない。

バレてはいけない。


そう思うのに、紗良の指先が布越しに愛撫を始めると、喉の奥から変な声が漏れそうになる。


「ふふっ……♡ お義兄さん、昨日の続き……シたくなっちゃいました?♡」

「ち、違ッ……! こ、これは……ッ♡」


「違わないですよね?♡ だって……♡」


布越しに肉竿の形をなぞる指先が、先端のあたりで円を描くように動く。


──くるり……♡ くるり……♡


「昨日あたしのお口でいっぱいいっぱい気持ちよくなったのに、結局出せませんでしたし?♡」


図星を突かれ息が詰まる。

昨日の夜。

紗良の唇によって与えられた快楽。

幾度となく寸止めされ、出せないまま放置された熱。

それが今もまだ下腹部に燻っていることを……紗良はわかっている。


「可哀想なお義兄さん……♡ ずっと我慢してたんでしょ?♡」


耳元に吐息がかかる。


「さ、紗良ッッ♡♡ こ、こんなところでぇッッ♡♡」

「こーゆーところだからいいんじゃないですか〜?♡ ほら、それよりも……いいんですか? 声我慢しなくて……♡ カーテンの向こうのお姉ちゃんに聞こえちゃいますよー?♡」


クスクスと笑う紗良の手が股間の中心部を優しく包み込む。

手中に収めた獲物を愛でるような、慈しむような手つきで布越しに形をなぞる。


──さわさわ……♡ さわさわ……♡


「ん"ッッ……♡ くッ……♡」


股間の中心に血液が集まる。

下着の中で肉竿が急速に勢力を拡大していく。


「あはっ♡ また大きくなっちゃった……♡ やっぱりお義兄さん、あたしにいじめられるのが好きなんですね〜?♡」

「ッ……♡」


否定しなきゃいけないのに、否定できない。


「昨日あたしの唇でいっぱいいっぱい気持ちよくなったから……またしてほしいって……♡」

「ち、違──……♡」


「違わないですよね?♡ お義兄さん?」


耳元の吐息がふいに熱を持つ。


「んっ……♡」


唇が耳の縁に触れた。


──ちゅっ……♡


「ッッッ……♡♡♡」


耳の裏側を舐め上げられて。

尖った舌先がくるりと回り、穴の方へと入り込んでくる。


──れろっ……♡


「んッ♡ あッ……♡ さ、紗良っ……♡」

「しー♡ お姉ちゃんに聞こえちゃいますよ〜?♡」


穴の中を奥の方へと蠢く舌が掻き回す。

耳穴の内側に生えた産毛を、ぬるついた筋繊維が押し潰し、びっしりと敷き詰められた味蕾のツブツブが、ぞりぞりと快楽神経を舐っていく音が頭蓋の中に響き渡る。


──ぬぢゅぢゅぢゅぢゅ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ ぁッ……♡」


耳の奥へ送り込まれる唾液の粘り気。

人間の体温。

生々しく脈打つ肉の塊。

それら全てが鼓膜を直接震わせ、脳髄へと快楽信号を送り込んでくる。


(だめだ……これ以上は……)


強く拒絶しなければならない。

今すぐ紗良を突き飛ばし、立ち上がってこの場から離れなければならない。

しかし紗良は、俺の苦悶など全く気にも留めず、耳の中へと舌を侵入させたまま激しく掻き回し始めた。


──んぢゅんぢゅんぢゅッ♡♡♡ ぬぽぬぽぬぽッッ♡♡♡


「ん"お"ッッ……♡♡♡ ん"う"ぅ"……♡♡♡」


口から漏れる声はもはや言葉の形を為していない。

それでも紗良は舌での蹂躙を辞めてはくれなかった。

耳の内側の神経に直接吸い付くような粘膜と粘膜の摩擦音、唾液の混ざり合う湿り気の音。

俺の耳を犯す音だけが生々しく反響し、全身を粟立たせ、耳の外側を撫でる紗良の紗良の鼻息が、生々しい距離感を伝えてくる。

それに加えて紗良は手中に収めた肉竿の先端あたりを、指の腹で執拗にくすぐり続けていた。


──くにくにくに……♡ くにくにくに……♡


「んッ♡ あッ♡ ん"ッ♡ あ"ッ……♡」


声を殺そうとすればするほど、変に裏返った情けない声となって喉から押し出される。

いよいよ強く拒絶しなければならない。

乱暴を働いてはいけないなどと言っている場合ではない。

今すぐ本当に紗良を突き飛ばしてでも立ち上がって、紗良という女の生み出す快楽沼から抜け出さなければ──ッ♡


「……ほら、さっきから声が漏れちゃってますよ? あたしのカーディガンで口を塞いだ方がいいんじゃないですか?♡


口を塞ぐ?

カーディガンで?


意味がわからなかった。

この状況でそんなことをすればどうなるか。

布越しとはいえ、紗良の匂いが染み付いたカーディガンを口に当てるということは、俺が自分から匂いを嗅ごうとしていることと同じ。

ただ手に取っただけでふわりと香った紗良の匂い。

それを直接口元に当てれば、呼吸のたびに肺の奥底まで紗良を吸い込むことになる。


違う。


これは俺が嗅ごうとしてるんじゃない。

声を漏らさないためだ。

綾乃にバレないためだ。

だから仕方がないんだ。

頭の中に次々と理由が浮かんでくる。

だがその全てが言い訳に過ぎないのだと頭のどこかで理解していた。


「ッ……♡」


震える手で膝の上のカーディガンを持ち上げる。

躊躇いながらも口元に当てた瞬間、濃縮された紗良の匂いが鼻腔から脳髄まで直撃する。


「ん"ッッッ♡♡♡」


──むわ……♡♡♡


世界が甘酸っぱい匂いに塗り潰された。

カーディガンの生地越しに紗良の体温を感じ、一呼吸ごとに肺胞のひとつひとつに紗良を吸い込んでいく。

布地にしみ込んだ汗の匂い。

微かに漂う甘い体臭。

紗良という女の生み出す芳香。

その全てが鼻腔を通じて頭の中へと流れ込み、紗良という女の匂いを脳回路に刻み込んでいく。


──すんすん……♡ すんすん……♡


「ん"ッ……♡ くッ……♡」


我慢できない。

匂いを嗅がないと呼吸ができない状況の中で、深く息を吸えば吸うほど、ますます匂いが脳を侵食し、身体の芯を桃色に染め上げていく。

理性を溶かし、綾乃への恋慕を一時的に焼却するほどの強烈なフェロモンの暴力。

まるで紗良という女に足りない酸素を求めて喘ぐ亡者のように、俺は鼻呼吸を繰り返し、彼女を体内へと取り込んでいた。


「ふふ……♡ いいですねぇ……♡」


吐息と共に侵食してくるしっとりと艶めいた言葉。

紗良が喋っている間のみ、舌のうねりはなりを潜め、代わりに吐き出された紗良の声が鼓膜を震わせる。


「お義兄さんの脳みそ、ぜーんぶあたしで染まってく感じ……♡」


その言葉の意味が喉の奥まで浸透し、身体の芯まで響いてくる。

女の匂いを直に嗅いでいるせいで、甘い毒霧のような芳香に全身を侵食されていた。

そこに俺の意思が介在する余地はなかった。

紗良という女が鼻の穴を介して中枢神経を支配し、肉体を桃色の快楽で執拗に塗り潰していく。


このままではいけない。

このままではいいわけがない。

警鐘を鳴らす理性が徐々に正気を取り戻していく。

カーディガンを握る力に力がこもる。


「……んッ♡」


だが、紗良は俺の抗いを許さなかった。

俺がカーディガンを鼻から離そうとした瞬間に、紗良は自らの舌を穴の中へゆっくりと差し込み、最奥にある神経を吸い上げるかのように舌をうねらせたのだ。


──ちゅぱぁ……♡ れろぉ……♡ ぢゅるぢゅるぢゅる……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡」


破壊的な刺激が耳の穴から全身を駆け抜ける。

しかし紗良は一切の抵抗すら許さないとでも囁くように、今度は舌の腹を耳の凹凸の上からべったりと押し付け、全体を味わうようにゆっくりと舐め始めた。


「ん"っ……♡ さ、紗良……ッ♡ そ、そんなに……ッ♡」


──んぢゅっ……♡ れろぉ……♡ にゅぷっ……♡


「んっ……♡ あ"ッ……♡」


身体中の力が抜けていく。

強いて言えば、下半身だけが生意気にも強靭な勃起を紗良の手の中で誇示し主張している以外は、俺の身体は紗良の甘い快楽による支配に再び委ねられていた。


全てを舐め取っていくかのような耳舐めに全身の力が抜け、俺は口元を再び強くカーディガンで塞ぐより他なかった。


──すんすん……♡ すんすん……♡


耳の中をねっとりと嫐る粘膜。

俺は変な声を漏らしながら紗良のカーディガンを口に当て、濃厚な女の匂いを吸い込み続けてしまっていた。

すると、体の芯からむくむくと湧き出してくるのは背徳のスリルと淫猥な劣情。

手の中のカーディガンは、カーテンの向こうの綾乃の存在と、その匂いと対極にある女の証であり、カーディガンに染み込んだ匂いは、洗濯用洗剤のそれではなく、紗良の部屋の空気そのもの。

甘く、すえたような、若い女特有の体臭。

シャンプーの芳香に混じった女の汗の匂い──。


「──悠真さん? 聞こえてる?」


カーテンの向こうから綾乃の声が聞こえた。

近い。

非常に近い。

空気を通じて伝わってくる優しい声。


「さっきから反応ないなーって思って……もしかして、そこにいない?」


いつから声をかけられているのだろうか。

綾乃の声には多少の不安が混じっているようだった。


声を出そうとする。

しかし俺の口が開く瞬間を見計らうかの如く、紗良の手が強く肉竿を握り締めた。


──ぎゅっ……♡


「ッ……♡」


声が出ない。

反応できない。


「悠真さん?」


綾乃が再び俺の名を呼ぶ。

名前を呼ばれるたびに、罪悪感が胸をチクチクと痛めつける。

俺は今、綾乃のすぐ傍で……その妹に耳を舐められ、妹の匂いを嗅がされ、柔らかな手によって股間を触られている──。


「ん、お姉ちゃん、あたし達はここにいるよー」

「あ、紗良。悠真さんも一緒?」


「はーい♡ お義兄さんも一緒に待機中で〜す♡」

「そっか、よかった。てっきり出て行っちゃったのかと思って……何も反応なかったから……」


「あはは~、お義兄さん、もしかしてドレスの話に興味ないとかー? ……なんてね♡」

「えー? 悠真さん、私せっかく楽しみにしてたのにー?」


綾乃の明るい声がカーテンの向こうから聞こえてくる。

俺の名前。

俺を呼ぶ声。

何も知らずに、俺を信頼してくれている声。


「……あ、あぁ……たっ……楽しみ……ッ♡」

「悠真さん? 声小さくない? 何か言った?」


「お義兄さーん? ちゃんとお姉ちゃんに答えてあげてくださいよ〜♡」

「ッ……♡」


紗良の手が股間を揉みしだき、耳の中で舌が蠢く。


──ぢゅぢゅぢゅ……♡ にちゃにちゃ……♡


「ん"ッ……♡ くッ……♡」


紗良は俺が綾乃へ返答に窮しているのを楽しんでいるようだった。

耳の中をねっとりと嫐り、緩慢に往復する粘膜の感触に全身が震える。

一方で紗良の手は執拗に布越しの肉竿をいじり続け、強弱のリズムを刻みながら愛撫を加え続けていて。


──ぬぢゅっ……♡ ぢゅるっ……♡ ぬちゅぬちゅぬちゅ……♡


──さわさわ……♡ さわさわ……♡ くにくに……♡ くにくに……♡


「悠真さん? どうしたの? 具合悪い?」

「あ、あぁ……ッ♡ ご、ごめんッ……♡ だ、大丈夫ッ……♡ だから……ッ♡」


「そう? なんだか声が震えてるみたいだけど……」


紗良の手が布越しの亀頭部分を摘み上げ、指の腹でカリの溝を優しく撫で擦る。

肉竿の弱いところを熟知した的確な愛撫。

布越しでありながら、確かな快感が腰を砕き、声を裏返らせていく。


「ん"ッ……♡(き、気づかれる……ッ)」

「ふふっ♡ 大丈夫? お義兄さん……♡」


「ッ……♡」

「ほら……ちゃんとお姉ちゃんに返事してあげてくださいよ〜♡」


紗良の囁きに促される。

声を出さなきゃいけない。

綾乃にちゃんと返事をしなきゃいけない。


なのに紗良は……紗良は……ッ♡


しっとりと柔らかなリップスタンプを耳の凹凸に押し付けながら、執拗に耳の穴を舐っていた。


「か、考え事してて……ッ♡」

「考え事? 結婚式の?」


「あ、あぁッ……♡ そんなところ……ッ♡」

「嘘つき〜……♡」


「ッ……♡」


紗良が俺の耳元で小さく笑った。

吐息が耳の穴に流し込まれる。


「考えてたのは……お姉ちゃんのことじゃないですよね?♡」


図星。

紗良の甘酸っぱい匂い。

紗良の柔らかな身体の感触。

紗良の淫靡な手つき。

今、頭の中で大きなウェイトを占めているのは……紗良の方だ。


「っ……♡」


否定しなきゃいけない。

否定しなきゃいけないのに……。

肉竿を包み込む紗良の手が、先端をいじるのをやめて今度は緩やかに上下に動き始める。


──しこ……♡ しこ……♡ しこ……♡


「ぁ……♡ あ……♡」


声が出る。

抑えきれない吐息が漏れる。


「ふふ……♡ また声が出ちゃってますよ?♡」

「やっ……♡ やめ……ッ♡」


「やめませんよ? お義兄さんが気持ちよくなっちゃってる限りは……♡」


──しこ……♡ しこ……♡ しこ……♡


布越しの摩擦。

緩やかな手つき。

ただただ丹念な上下運動によって確実に快楽が高まっていく。


「ほら、お口はちゃんと塞いでてくださいね?♡ 声出しちゃったら、さすがのお姉ちゃんでも気づいちゃいますよ〜?♡」


──ぬぢゅぢゅぢゅ……♡ ぬぽぬぽぬぽ……♡


──しこ……♡ しこ……♡ しこ……♡


「ん"ッ……♡♡♡ ん"あ"ッ……♡♡♡」


全身に甘い痺れが走る。

呼吸は浅く、心拍は速く。

そして肉竿は硬く反り返り、紗良の手の中で早くも限界を訴える。


昨日、寸止めされた熱が再び首をもたげ始める。

身体の芯から湧き上がってくる背徳感とスリル。

分厚いカーテンを一枚隔てた向こうで、婚約者の妹に耳を舐められ、匂いを嗅がされ、股間をまさぐられているという淫猥な事実が、俺を追い込んでいく。


「ねぇ、悠真さんはどんな感じのタキシードにしたいと思ってるのー?」

「ッ……♡ た、タキシード……ッ♡」


「そう。やっぱり白? それともちょっと落ち着いたシルバーっぽい感じー?」


紗良の手がふいに止まる。

肉竿を握り締めていた掌が離れた。

ほっとしたのも束の間、指先がファスナーの金具に触れ、おもむろに下ろし始めた。


──ジ〜〜〜……♡


「やっ……♡ そ、それは……ッ♡」

「しー♡」


あっという間にファスナーが下ろされ、下着の布地が露わになる。

カーテンの向こう側で話す綾乃の声が遠く聞こえる。

再び『悠真さん?』と名前が呼ばれた。


「あ、あぁ……♡ し、白……かな……ッ♡」

「白か〜。やっぱり王道だね〜。確かに今試着させてもらってるこの衣装もパールホワイトだから多分悠真さんも白の方が合うんだろうけど、私が少し落ち着いたオフホワイトのドレスとかにしたら、悠真さんも落ち着いたグレーみたいなシルバーも似合うかも……? とか思っちゃって〜」


綾乃の無邪気な声が聞こえてくる。

しかし意識は完全に紗良の手に囚われていた。

ファスナーを開けた紗良の手が、今度は下着の中へと滑り込んでくる。


「ッ……♡ やっ……♡」


勃起し限界まで張り詰めた肉竿。

下着の中で窮屈さを訴えながら布地を押し上げていた。

その生々しい膨らみを、紗良の細くしなやかな指が直接掴み取った。


──ぎゅむっ……♡


「ん"ッ……♡♡♡」


布地の拘束から解放された肉竿を再び拘束したのは、紗良の柔らかな掌だった。

肉を舐めるように、滑らかな手のひらが張り付く。

指先が脈打つ硬度と温度を確かめるように、優しく何度か握り直す。


──にぎにぎ……♡


「んッ……♡ くッ……♡」


快感の波が腰から脳天を突き抜け、思わずカーディガンを握る力が強くなる。

紗良のカーディガンがなければ間違いなく甘い悲鳴が口から漏れていた。

女の匂いと手コキの刺激による二重の追い込み。

身体の芯からドクンドクンと脈打ち、股間に集まった熱が掌に包まれて逃げ場を失っていく。


「……ふふっ♡ お義兄さん? ……返事♡」


紗良の囁き声に我に返る。


「……あ"ッ♡ あ"ぁ……♡ に、似合う……かもな……ッ♡♡」

「よかった〜♡ じゃあ、ドレスに合わせて悠真さんのタキシードの色も考えようね〜」


綾乃はカーテンの向こう側で明るく笑っているようだった。

何も疑うことをせず。


「はい、悠真様、もうしばらくお待ちくださいねー。お衣装の調整が終わりましたら、ドレス姿をお見せしますのでー。綾乃様は美人さんなので、きっととってもお綺麗ですよ? ふふっ」

「もう〜、宮原さんったらお上手なんですから〜!」


「いえいえ、事実をお伝えしてるだけですよー?」

「あはは、じゃあ悠真さん、ドレス姿見るの楽しみにしててね〜!」


──にゅく……♡ にゅく……♡ にゅく……♡


「ッッ♡♡♡ お"ッ♡ お"ぉッ♡」


肉竿を握り締めた紗良の手が、上下にゆっくりと動き出す。

しっかりと根元から握り込みつつカリの段差部分に指が差し掛かった瞬間、握力を調節し。

ただただ単調な上下の動きにならないようにと、五本の細長い指の腹がバラバラと不規則に蠢き、性感を際限なく高めていく紗良の手淫。


「お姉ちゃんがすぐそばにいるのに、その妹のあたしのお手々でちんちんいじめられちゃうの、きもちぃですかぁ〜……?♡」


──にゅく……♡ にゅく……♡ にゅく……♡


そこへ、紗良の甘い誘惑の言葉が耳の中をしっとりと侵入し、鼓膜を震わせば、脳髄に甘美な毒が浸透していく。


「ん"ッ……♡ ッ……♡」


俺はカーディガンを口元に強く押し当てる。

女の匂いに塗り潰されながら、紗良の手の中でのたうつ肉竿に与えられる直接の愛撫に翻弄される。


──にゅち……♡ にゅち……♡ にゅち……♡


「お義兄さん? 返事♡」

「ッ……♡ あ、あぁ……♡ き、きも……♡ ち……ッ♡」


「ん〜? 聞こえなーい♡」

「あ"ぁぁぁぁ……ッッ♡♡♡ き、きもち……ッ♡ いぃ……ッ♡♡♡」


「なにそれ〜? きもちいいの〜?♡」

「ん"……♡ う"……♡」


「じゃ〜、もっときもちよくしてあげるね〜……? ん〜……れぇ〜……♡」


──ぬぷぬぷぬぷ……♡


耳元に寄せられた紗良の唇。

その隙間からぬるりと這い出てきた真っ赤な舌が、穴の中へと差し入れられていく。


「ッ……♡ あ"ッ……♡♡♡」


──ねぢゅねぢゅねぢゅ……♡ ぬぢゅぬぢゅぬぢゅ……♡


「あ"ッ……♡ ん"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡」


ぬめりを帯びた舌肉が、耳の最奥を目指してねじ込まれ。

嬉しそうに笑った紗良が、耳の神経を掻き出すかの如く、舌先で抽挿を開始する。


──ぢゅ、んぢゅ、にぢゅ、ぬぢゅ♡


鼓膜を震わす淫靡な水音。

俺は最早抵抗も拒絶も忘れ、紗良のカーディガンに口を埋めて、甘い匂いを吸い込みながら耳の穴を犯され続けた──。


カーテンの向こうで綾乃の楽しげな声が響いている。


何も知らない。

何も疑っていない。


純粋に結婚式を楽しみにしている、俺の愛する人。


そのすぐ傍で、俺は婚約者の妹が紡ぐ快楽の沼に沈んでいた。


カーディガンから漂う甘酸っぱい香り。

掌の中で脈打つ淫らな硬直。

耳の穴を侵食する粘膜の蠢き。


全てが重なり合い、俺の理性を一欠片ずつ剥ぎ取っていく。


──ぬぢゅ……♡ ぬぢゅ……♡ ぬぢゅ……♡


──にゅく……♡ にゅく……♡ にゅく……♡


「悠真さーん? もう少しでドレス見せられるかも〜……!」


──ぬぢゅぢゅぢゅ……♡


「ん"ッ……♡♡♡ あ"ッ……♡♡♡」

「悠真さん? いないの?」

「ほら、お姉ちゃんにちゃんと応えてあげて下さいよ〜? あたしのお手々がいくら気持ちよくても、きちんと夫婦としての務めを果たさないと〜?♡」


──にゅくにゅくにゅくにゅく……♡

──れろぉ〜〜〜……♡ ぬぷぬぷぬぷ……♡


「ッ……♡ あ、あぁ……♡ た、楽しみに……してるッ♡♡♡」


カーテンの向こうから綾乃の声が届くたびに、紗良の愛撫の激しさは増していく。

耳の穴の中で蠢く舌が一際激しく動くと同時に、

掌の中で脈打つ肉竿を握りしめる掌の力が強まり、上下の動きが速くなっていく。


「ッ……♡ くッ……♡ ん"ッ……♡♡」


声を出すまいと必死で耐えるが、与えられる快感は強烈で、俺の全存在を快楽に向かわせようと容赦がない。

全身の神経が耳と股間に集中する。

綾乃の声が届くたび背徳感が増す。

紗良の誘惑が深まるたび理性が削がれる。

甘い快楽の沼。

そこへ沈んでいく俺の全身。

俺はもう……抗えなかった。


「ん"ッ……♡ ん"ッ……♡ ん"あ"ッ……♡♡♡」


──にゅくっ……♡ にゅくっ……♡ にゅくっ……♡


──ぢゅぢゅぢゅぢゅ……♡ ぬちゅぬちゅぬちゅ……♡


「さ、紗良ッッ♡ も、もうッッ♡♡」

「ん〜〜〜?♡ もう? もうどうしたんですか〜?♡」


耳元で悪戯っぽく弾んだ声。


「だ、だめだ……ッ♡ もう……限界……ッ♡♡」

「限界って? どこが限界なんですか〜?♡」


紗良の手が肉竿を握り締める力を強めた。


──ぎゅむっ……♡


「ッ……♡♡」

「あたしの手が気持ちよすぎて限界? それとも〜……♡」


そのまま竿を扱き、容赦なく絞り上げて。


「お姉ちゃんにバレちゃうかもしれないスリルが限界?♡」

「ッ……♡ ち、ちが……♡」


「じゃあ〜? なぁに〜?♡」


──にゅくっ……♡ にゅくっ……♡ にゅくっ……♡


「だ、だからぁッッ♡♡♡ で、出るッッ♡♡♡ 出るからぁッッ♡♡♡」

「あはっ……♡ 最低〜……♡ こんなところで出そうになっちゃうんだ……♡」


「だ、だってぇッッ♡ お前がぁッッ♡ そ、そんなことぉッッ♡♡」

「あたしが? あたしが何ですか〜?♡」


「あ、煽るからぁッッ♡♡ で、出ちゃう……ッッ♡♡」

「あたしのせい? またそうやって自分は悪くないってことにしたいんですか〜?♡」


「ッ……♡」

「わかりました♡ じゃあやめてあげますよ〜?♡」


──すっ……♡


紗良の手が肉竿から離れる。

耳の穴から舌が引かれ、カーディガン越しに鼻を撫でるような吐息だけが残る。

留められていた刺激が失われたことによる喪失感。

中途半端に煽られた熱が解放されず、股間の奥にどす黒く燻り続けていく。


「や……♡ やめ……♡ な、なんでぇ……♡」

「だってお義兄さんがあたしのせいだって言うから〜♡」


「っ……♡」

「『違う、俺のせいなんだ〜〜』って言ってくれたら、続けてあげたのに〜♡」


「ッ……♡ い、いやっ……♡ ぅ……ぁ……ち、ちが……♡」

「ん〜……? どうしたんですか? サイテーなお義兄さん?♡」


昨日から続く一連の寸止めによる精神的苦痛。

限界まで高められた射精の衝動は今にも弾けそうになっていた。

だが紗良の手が離れたことで刺激が停止し、焦燥感だけが全身を駆け巡っていく。

あまりに残酷な仕打ち。

腰の奥が悲鳴を上げる。

このままでは終われない、終われるはずがない。

ここまで追い込んでおいて放置するなんて……そんな……そんな……ッッ。


「……お、俺のっ……♡ せ、せいだッッ♡♡」

「ん〜〜?♡ 何ですか〜? 聞こえなーい♡」


「俺のせいだッッ♡♡ 全部、俺が……悪いんだッッ♡♡♡ 俺が……紗良に……シてほしいって……お、おねだりしたからッッ♡♡♡ ……だからお願いだッッ♡♡♡ 出るまで続けてぇッッ♡♡♡」

「ふふっ♡ 上手におねだりできました〜……♡ だけど、もう時間切れみたいですよ〜……?」


「え……♡?」


紗良のその言葉のすぐ後に、目の前のカーテンの向こう側がにわかに騒がしくなる。

綾乃だ。

綾乃の試着が終わり、姿を現そうとしているのだ。


──まずい。


下半身には丸出しの竿が。

下着の隙間からはみ出して、ファスナーは全開のまま。

ズボンの中から堂々と主張したまま、グロテスクなそれがビクビクと震えている。

到底普通の状態ではない。

しかし、とてもではないが、すぐに正せるものでもない。


「あ"ッ……♡ ま、待って……♡ まだ……♡」

「あはっ♡ もうお姉ちゃん来ちゃいますね〜♡」


素早く離れた紗良。

俺の手からカーディガンを奪い去り、元のように肩へ羽織ると、何食わぬ顔でソファに座り直した。


「なっ……♡ 紗良……♡ こ、これ……♡」

「さぁ? 何のことですか〜?」


「あっ……くっ……うぅ……ッ」


パニックだ。

必死に肉竿をパンツの中へと押し込み、ファスナーを上げようとするが、硬く張り詰めたそれは言うことを聞かない。

狭いパンツの中で暴れまわる肉竿。

パンパンに張り詰めたパンツの生地がきつく食い込む。

それでもなんとかファスナーを上げつつズボンの上から何度も強く押さえつけてやると、なんとか元の位置へと戻すことに成功したのは、カーテンが開かれる直前だった。


──ガサガサ……。


カーテンが開く。

ゆっくりと。

白いレースが舞うように裾を広げて、純白の衣装が淡い光の中から現れる。


「──悠真さん……♡」

「……ッ♡」


思考が止まった。

美しかった。

本当に、美しかった。

白い光に包まれながら、綾乃はそこに立っていた。

真っ白なドレス。

純白のウェディングドレス。

光を浴びて淡く輝きながら、まるで聖女のように佇んでいる。


「お待たせ! 悠真さん……どうかな?」

「あ……♡」


言葉が出ない。


純白の花嫁。

その姿は圧倒的に美しかった。

光の中に立つ綾乃。

ドレスのレースが淡く煌めき、広がるスカートが光を反射して輝いている。


誰よりも愛しいはずの人が、永遠を誓う姿でそこにいる──。

本来なら胸が張り裂けるほどの愛おしさと幸福を感じるはずだった。


だが今、俺の全身を満たしているのは、幸福ではなかった。

焦燥感。

行き場を失った下半身の熱。

限界まで昂り寸止めされた、行き場のない欲望。


何か言葉を発しなきゃ──そう焦る俺よりも先に、立ち上がった紗良が黄色い歓声を上げた。


「きゃーーーー! お姉ちゃん、綺麗〜〜〜〜〜〜♡」


俺の視線を遮るように、俺と綾乃の間に立った紗良。

その手に握られたスマホの画面を俺に向けてくる。

綾乃には見えない位置。


「すっごいすっごい! お姉ちゃん、白雪姫みたい〜〜〜♡」

「もう……紗良ったら、大げさだよ〜……」


綾乃のドレス姿より、その画面に表示された文字に釘付けになってしまう。

だってそこには、そこには……──。


………

……

…


##P3 裏切りのご褒美@密室で玉責め、玉キス、玉舐め、吐息責め、寸止めちんキス、ちんキスをおねだりさせられる、裏筋食み、フェラ誘惑、デートの約束をさせられる代わりに咥えてもらう、焦らしフェラ、好きと言わされる、激しいフェラ抜き、精飲、連続射精、お掃除フェラ、デート確約


スタッフに案内されたのは、披露宴会場の奥まった場所にある一室だった。


「こちらが新郎新婦様の控室でございます」


重厚な木製の扉が開かれる。

広々とした空間。

中央にはふかふかのソファが配置され、壁際には大きな鏡とドレッサー。

天井から吊り下げられたシャンデリアが、部屋全体を柔らかなオレンジ色に染めている。


「綾乃様がエステのご利用中、こちらでお待ちいただけます。ご自由にお過ごしくださいませ」

「はーい、ありがとうございます」


紗良が明るく返事をする。


「それでは、何かございましたら内線でお知らせください」


スタッフが一礼し、扉が閉められる。

パタンという軽い音を最後に、部屋の中は静寂に包まれた。

二人分の呼吸音だけが聞こえる静けさ。


「……ふぅ」


ソファに腰掛けた紗良が、わざとらしく息を吐く。


「やっと二人きりになれましたね、お義兄さん」


その言葉だけで心臓が跳ねた。

先ほどスマホの画面で俺にだけ見せられたあのメッセージ。


『二人きりになれたらお口で抜いてあげるよ〜♡』


試着室の前であれだけ焦らされ、寸止めされた身としては、その言葉の意味が頭から離れなかった。


「……あぁ」

「あれ? もしかして期待してました?」


期待していないと言えば嘘になる。

しかし、はいそうですと素直に認めることもできない。

俺はただ黙って、紗良の次の言葉を待った。


「そんな怖い顔しないでくださいよ〜? あたし、お義兄さんにご褒美あげるって言ったじゃないですか」


紗良はソファから立ち上がると、つかつかと俺の前まで歩み寄ってきた。


「それに……さっきは途中で終わっちゃいましたしね?」

「ッ……♡」


「お姉ちゃんのドレス姿、とっても綺麗でしたね〜」


突然、綾乃の話を持ち出されて戸惑う俺。

しかし紗良は何事もなかったかのように淡々と口を開く。


「それなのに……お義兄さんったら、あの時……」


紗良の指先が俺のズボンの前面をそっと撫で上げた。

柔らかな指先が膨らみの上を滑り、裏筋のあたりを軽く引っ掻く。

子猫の顎下をくすぐるような手つきに思わず腰が浮いてしまう。


「こんなに大きくしちゃって……♡ 私のお姉ちゃんが一生懸命綺麗にしてもらったのに、目の前で他の女に……しかもあたしにシてもらうことしか考えられなくなってたなんて……♡」


その声には咎めるような響きは一切なかった。

むしろ愉しげで、嬉しそうで……それ以上に妖艶だった。


「お義兄さん、お姉ちゃんとのドレス姿、ちゃんと忘れないでくださいねー?」


そう言いながらも紗良の目は俺のズボンのファスナーの金属部へと向けられていた。

俺は頷くことも謝ることもできず、ただ息を飲み続ける。

非現実なことが起ころうとしているのに、紗良があまりにも当たり前のようにするもんだから、おかしいことの境界線が曖昧になってくる。


「まだこんなに硬いし……♡」


ベルトの金具にかかる紗良の手。

カチャカチャという金属の鳴る音が妙に生々しく耳に残る。


「えっちなことするために来たわけじゃないんですよ〜? 式場見学ですし……」


そんな建前を口にしながらも、その指先は既にファスナーを捉えていて。


「……ッ♡ 紗良……ここだと……」

「ここだと?」


「その……誰が来るか……」

「来ませんよ。当分は。さっきの人も言ってたじゃないですか。お姉ちゃんのエステが終わるまではご自由にって」


「じ、自由ったってっ……!」

「それとも、誰かに見られたいんですか? お姉ちゃんの妹に、こんなことされてるところ」


「そんなわけ……ッ」

「じゃあ、いいじゃないですか」


紗良は悪戯っぽく笑うと、ゆっくりとその場に膝をついた。


「……ッ!」


見下ろす形になった紗良の姿に、思わず息を飲む。

白いブラウスから覗く鎖骨。

短いスカートから伸びる太もも、白くてムチムチと張った脚。

そして何より、俺の股間を見上げる大きな瞳。


「これから、昨日のご褒美の続きをしてあげますね……♡」


──ジー……♡


指に摘まれたファスナーが下ろされる。


「あっ……♡」

「ふふ……♡ もうこんなに濡らして……♡」


下着の上からでもわかるほど、先走りで湿った染みが広がっていた。

紗良は指の腹でその染みをなぞりながら、クスクスと笑う。


「ずっと我慢してたんですね〜……♡ えらいですよ〜……♡」


そう言って紗良は、下着越しの先端にそっと唇を落とした。

その動きに迷いなんてものはない。

拒絶する間もない。


──ちゅっ……♡


「ん"ッ……♡♡」


布越しに伝わる唇の感触と温もり。

それだけで、腰が砕けそうになる。


「いい子いい子……♡ 苦しかったね〜……でも……まだ出しちゃダメですからね?♡ お義兄さんの射精はあたしがお世話してあげるんですから〜……♡ クスっ」


そのまま『脱がせますね』と呟いた紗良が、俺のスラックスと下着を一緒くたに、ゆっくりと膝まで下ろした。

そして、改めて飛び出してきたものを見て、目を細める。


「うわぁ……♡ もうこんなにもおっきくなってる……♡」


肉竿に突き刺さる紗良の視線。


「お姉ちゃんのドレス姿見てる下でこんなにしちゃって……サイテーですね?♡」

「……ッ♡」


紗良の声の振動が、生暖かい吐息の空気の動きが、張り詰めた肉竿の先端を撫でる。


「昨日はここにキスしただけで終わっちゃいましたけど……今日はもっと……♡」


唇が触れるほどの距離まで顔が近づく。

柔らかそうな唇。

鼻先をかすめる紗良の匂い。


「いっぱいお世話してあげますからね……♡ あたしがちゃんと、お義兄さんのわるいの、ぜーんぶ吸い出してあげますから〜……♡」


一通り竿に語り掛けた紗良が、まずは肉竿の根元にある陰嚢に手を伸ばす。


「まずはたまたまさんを気持ちよくしてあげますね……♡ いつも我慢ばっかりさせてごめんね〜……って……♡」


──むにゅ……♡


「お"っ……♡」


掌に二つの睾丸を乗せられた瞬間、温かい紗良の熱が伝わってくる。

そのまま玉袋を汗ばんだ掌で優しく包み込まれ、指の腹でゆっくりと揉み解されていく。

張り詰めていたものが、少しずつ解されていくような感覚。


「きもちぃ……?♡」

「あっ……♡ うっ……♡」


「さすがにタプタプ……♡ いっぱい溜まってますね〜……♡ お義兄さんのせーし……♡」


紗良の指先が精巣の表面を転がすように愛撫する。

優しく、丁寧に、まるで赤子をあやすような手つきで揉み解し続ける。


「ん"ッ……♡ くッ……♡ さ、紗良……♡」

「ふふ……やっぱりここは男の子の弱点なんですね〜♡」


──ころころ……♡ くにゅくにゅ……♡


「あ"ッ……♡ ♡ ♡」


陰嚢の皮膚を擦る紗良の指先。

表面の皺と皺が指によって引き伸ばされて、指紋の凹凸が敏感な皮膚を擦り、熱と疼きを与えてくる。

睾丸そのものを包み込む掌の温もりが、『こんなところで射精していいわけがない』という正論を溶かしていく。


「お義兄さんのこと、もっといっぱい知りたいです〜♡ 弱いとこも、きもちぃとこも、ぜーんぶ……♡」

「さ、紗良……ッ♡」


「お姉ちゃんには見せないような顔も、声も……出しちゃっていいですよ……♡」


紗良は玉袋を揉む手を止めないまま、今度は顔を近づけてきた。

そして、睾丸の表面にそっと唇を押し当てる。


──ちゅっ……♡


「ひぁっ……♡♡」

「たまたまさんにも、ちゅーしてあげます……♡」


──ちゅっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅぅ……♡


柔らかな唇が、敏感になった陰嚢の表面に吸い付く。

そして、ちゅぱちゅぱと甘く音を立てながら、紗良はその感触を楽しむように、何度も口づけを繰り返した。

紗良の唇が、睾丸にくっついては離れるたびに、ヌルヌルとした感触が睾丸に移っていく。

背筋がジンジンと痺れていく。


「ん"っ……♡ さ、紗良……そこ……♡」

「ここがいいんですか……?♡」


──ぢゅるっ……♡


今度は、玉袋の皺を伸ばすように、舌全体で舐め上げられる。

生暖かくて、ぬるぬるでざらざらの舌の感触が、敏感な部分を這いずり回る。


──ぢゅるぅ……♡ れろぉ……♡


「あ"あ"っ……♡♡♡」

「ふふ……かわいい声……♡ もっとしてほしい?」


「……うっ……♡」

「してほしいなら、ちゃんと言ってくださいよ?」


紗良が睾丸を責める手を止め、俺を見上げてくる。

吸い込まれそうなほど大きな瞳が収められた目の部分は、弓なりに細められ、艶やかな唇は唾液で濡れていっそう淫らに輝いていて。

半開きの口からだらんと垂れ下がった長い舌が、何もない空中をゆっくりと一回舐め上げた。

そんなエロい催促に、散々お預けにされた俺が抗えるはずがない。


「……して、ほしい……」

「何を?」


「……もっと……」

「もっと、何を?」


「たまを……もっと、舐めて……ほしい……ッ♡」

「はい、よく言えました……♡」


紗良は満足そうに微笑むと、再び陰嚢に顔を埋めた。


──ぢゅるるるっ……♡ ぢゅぷっ……♡ れろれろぉ……♡


先ほどよりも更に激しく、ねっとりと、睾丸全体を唾液で濡らしながら、舌を這わせていく。

時折、口に含んで吸い上げられたり、舌で転がされたりするたびに、腰の奥がきゅうっと締まるような快感が走る。


「あ"っ……♡ やば……っ♡ それ、出る……ッ♡」

「ん〜? もう出ちゃいそう? でもダメですよ? まだおちんちんさんには何もしてないのに……♡」


陰嚢から口を離した紗良が笑いながら、今度は天に向かってそそり立つ肉竿へと視線を移した。


「お待たせしました、おちんちんさん……♡」


ひくひくと震える竿に語り掛けた彼女はまず、顔を近づけ、その匂いを嗅ぐように、鼻先をすり寄せてきた。


「ん〜……♡ おとこのひとのにおい……♡」


鼻から息を吸い込み、うっとりと目を閉じる紗良。

すんすんと鼻を鳴らし、俺の男を嗅ぐ姿を目の当たりにして、股間がますます熱くなる。


「お義兄さんの匂い……♡ すき……♡」


好きと言われていい気のしない男なんていない。

殊更、紗良のような誰もが羨む美少女に言い寄られ、あまつさえ男としての勲章の匂いが好きとまで言われて仕舞えば、湧き上がる劣情は理性のタガを外しかねない勢いとなる。


その香りは……あくまで綾乃の夫になる男の香り。


それを……俺は……紗良に嗅がせているのだ。

しかしてその禁断の香りを嗅ぐことに、紗良は確かな優越と所有の悦びを噛み締めているようで。


「……で、でも……」

「ん?♡」


「それ……それ以上は……ッ♡」

「ん〜……?♡」


──ふぅ〜……♡


唇が触れるか触れないか。

肉竿に熱っぽい吐息がかかる。

先端から根元へ。

根元から先端へ。

ゆっくりと。


「あ"ッ……♡ くッ……♡」

「あははっ♡ 女の子の吐息にも勝てないくらいの抵抗なら、大人しくした方がいいんじゃないですか?♡」


紗良の唇が窄まる。

これはキスだ。

キスの形だ。

紗良がペニスにキスをしようとしているのだ。


「ねぇ……、どうして欲しい……?♡」


──ふぅ〜……♡


なんで今更そんなことを聞くんだ……ッ♡


「ッ……♡」


答えられない。

いや、答える必要なんてないはずだ。

ただキスしてくれればいい。

その唇を押し付けてくれればいい。

それだけでいいのに。


──ちゅっ……♡


「ん"ッ……♡」


触れた。

柔らかな唇が、カリの溝に触れた。

ほんの少し。

触れただけ。

それだけで背筋が焼けるような快感が走る。


だが、紗良の唇はすぐに離れてしまう。


──ぬちゃっ……♡


「あッ……♡」


離れる。

唇が離れる。

触れたかと思えば、すぐに離れてしまった。

もっと触れてほしい。

もっと強く触れてほしい。

そう思った瞬間には、紗良の顔は届かないところで俺を見上げていた。


「ふふ……♡ 反応すごいですね〜♡」


紗良が笑う。

唇が触れるか触れないかの距離で、俺を見上げながら。


「もっとシてほしいんですか?♡」

「……ッ♡」


「シてほしいんなら、ちゃんと言ってくださいよ?♡」


また近づく。

唇が近づく。

カリのすぐそばまで。

息がかかる距離まで。

唇の熱が感じられる距離まで。


──ふぅ……♡


「んッ……♡」


吐息がかかる。

生暖かい湿気が、敏感な先端を撫でる。

それだけで腰が揺れる。

触れてほしい。

早く触れてほしい──。


だが、思惑に反して、紗良の唇はまた離れていく。


「あぁ……♡」


届かない。

唇が届かない。

もどかしい。

ただキスしてくれればいいだけなのに。

それなのに、紗良はまるで俺の反応を楽しむかのように、近づいては離れてを繰り返す。


「お義兄さん……♡」

「……♡」


「おちんちんさん勝手に震えて……あたしの唇におねだりしてますよ?♡」

「……♡♡」


「ほら、先っぽからあま〜い汁が溢れてきて……♡ あたしの唇で拭いてあげないと……♡」


また近づく。

そして今度は少し長く触れる。


──ちゅっ……♡ ちゅっ……♡


「ん"ッ……♡♡」


二度、三度と軽く啄まれた。

亀頭の先端を、柔らかなリップで何度も吸うようにキスされる。

強烈な快感。

だけど紗良はすぐにまた顔を離してしまう。


「どうですか?♡ きもちぃですか?♡」

「あ……♡ う……♡」


「もっとシてほしい?♡」


するりと手が伸びて、竿の根元を軽く握られる。

指先が裏筋をなぞりながら、唇を一番敏感な場所へと導いていく。


「ここ……♡ お義兄さんの一番弱いとこ……♡」


紗良の唇が、カリと裏筋の境目──包皮小帯の上へと近づいた。

一番敏感で、一番気持ちがいい場所。

そんなところに吸い付かれたら──。

そう思った瞬間、期待で肉竿がビクンと跳ねた。


だが……。


唇がピタリと静止する。

あと数ミリというところ。

触れない。

触れてくれない。


「あッ……♡ な……♡」


なんで。

なんでキスしてくれないんだ。

そこまで来て、どうして止まるんだ。

自分勝手な欲求で頭の中が埋め尽くされる。

紗良の唇が欲しくて欲しくてたまらない。


「ふふっ……♡ お義兄さん……♡」

「……♡」


「動いちゃダメですよ?♡」


紗良の目が笑う。

触れるか触れないかの距離を保ったまま、俺の弱点をじっと見つめながら。


「あたしからはキスしてあげませんよ?」

「……ッ♡」


「お義兄さんが、シてほしいって言わないと……♡」


言え。

言わなきゃいけない。

でも、そんなこと……。

婚約者の妹に、ペニスへのキスを懇願するなんて……。


だが、紗良の唇は待ってくれない。

ゆっくりと離れていく。


「あ……♡ まっ……♡」


待って。

待ってくれ。

行かないで。


俺の腰が勝手に動く。

紗良の唇を追って、肉竿の先を伸ばすように腰が震える。

止められない。

触れたい。

触れたいのに、届かない。


「ふふ……♡ かわいい……♡ お義兄さん、腰動いてますよ?♡」

「……ッ♡」


「そんなにあたしの唇にキスしてほしいんですか?♡」


また近づく。

今度はさっきよりも近く。

包皮小帯のすぐそばまで。


──ふぅ……♡


「あ"ッ……♡♡」


吐息がかかる。

弱点に直接。

唇の熱が伝わる。

あと少し。

あとほんの少しで触れる。


だが、触れてくれない。


「ん〜……♡ ここ、すごく熱くなってますね〜♡」

「……ッッ♡」


「お義兄さん、ここ弱いんでしょ?♡ お姉ちゃんに見せられないような声、出しちゃうとこ……♡」


言葉とともに、紗良の唇がゆっくりと動く。

左右に。

弱点を避け、カリの溝をなぞっていく。


──ぬち……♡ ぬちゅ……♡


「あ"ッ……♡ くッ……♡」


唇が触れるか触れないかの絶妙な距離で、ふわふわでぬるぬるの膨らみにカリの溝をなぞられる。

あからさまな接触ではない。

なのに、この焦らしさが俺を狂わせる。


触れてほしい。

触れてほしい。

どうか触れてほしい。


「言ってくださいよ……♡」

「……♡」


「キスしてほしいって……♡」


紗良の目が俺を見上げる。

挑発的で、享楽的で、それでいてどこまでも甘く、深い瞳。


「お義兄さんの弱いところに……ちゅ〜〜って、シてほしいって……♡」


馬鹿げた提案だった。

しかし同時に限界でもあった。

焦らされ続けた臨界点。

爆発しそうな理性。


「……キス……♡」

「ん? 聞こえな〜い♡」


「……キスして……♡」

「どこに?♡」


「……そこ……♡ 弱いとこ……♡」

「ここですか?」


唇が近づく。

弱点のすぐそばまで。


「ここに……キスしてほしいんですか?♡」

「あ、あぁ……♡ ほしい……♡」


「へぇ〜〜〜〜……ここにシてほしいんだ?」


紗良が笑う。

そして──。


──ちゅっ……♡


「ん"ッッ……♡♡♡」


触れた。

ようやく触れた。

紗良の唇が裏筋とカリとの合流地点に触れた。

柔らかくて、温かくて、唾液で濡れてぬるついた唇が、一番敏感な場所に押し付けられる。


──ちゅぅ……♡ ちゅぱ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡」


そのまま紗良は吸うように何度か唇を開いては閉じ、包皮小帯を優しく喰んでいく。


──ちゅぱっ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅぱっ……♡


「ん"お"ッ……♡♡♡ さ、紗良ッ……♡♡♡」


余りの快感に言葉にならない声が漏れる。

昨日のちんキスはただ触れるだけの軽いものだった。

しかし今は違う。

吸われている。

唇の肉感で敏感な包皮小帯を揉みしだかれている。

それがもたらす快感は強烈で、脳みそに直接吸い付かれているかのような快楽を伴っていた。


──んちゅっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅぅ……♡


紗良は唇を離さない。

弱いところを吸い上げるように、執拗かつねっとりとキスを続ける。


──ちゅぱっ……♡ ちゅぱ……♡ ぢゅっ……♡


「ッ……♡♡ くッ……♡♡♡」


吸われる。

粘膜ごと吸い上げられるような感触。

ビクビクと震える俺を見上げ、薄目で紗良が笑う。

舌先が唇の隙間から覗いて。


──れろっ……♡


「あ"ッッ……♡♡♡」


今度は舌が触れた。

包皮小帯を、ざらついた舌の表面が撫で上げたのだ。

それだけで視界が白やむ。

腰の奥が熱くなる。


──れろぉ……♡ れろぉ……♡ ちゅぱっ……♡


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ ♡ ♡」


紗良は執拗にそこばかりを責め始めた。

舌で舐めつつ唇で吸い、時折ハムハムと唇を上下に。

強弱をつけながらの集中口撃。


「ん"ッ……♡ だ、だめ……♡ そこ……♡」

「んちゅっ……♡ ここがいいんでしょ? お義兄さんの、んはぁ♡ ちゅっ♡ いちばん……れろぉ……♡ はぁ……♡ きもちいいとこ……♡ ちゅぅぅ……♡」


「ん"ぁぁぁぁ……♡♡♡」


頭がおかしくなりそうだった。

紗良が口づけながら喋ることで、その振動が肉竿へと伝わり、新たな快感を生んでいく。

さらに紗良は、まるで極上の甘味でも舐めるかのように舌の腹を押し付けて、美味しそうに舐めるものだから男としてはたまらない。


──れろっ♡ れろっ♡ れろっ♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"あ"ッ……♡♡♡」


ただ舐められているだけではない。

紗良は舌の腹で男がより感じるを探り、舌の表面にびっしりと敷き詰められた味蕾のツブツブが、敏感な神経を無数に刺激するようにして舐め回していく。

その執拗な舌の動きが、数多の快楽信号を肉竿から脳天へと送り込んでいく。


俺の声はもう言葉の形を成していない。

他人の前では到底見せられない惨めな雄の声が、喉の奥から勝手に溢れ出していく。


──れろぉ……♡ ちゅぱっ……♡ れろっ……♡


紗良は笑みを浮かべていた。

俺が苦しげに悶えているのを見て、嬉しそうに目を細めていた。

そんな目で見つめられると余計に我慢が効かなくなって──。


「ん"ッ……♡ さ、紗良……♡ も、もう……♡」

「もう? もう何ですか?」


──ぬちゃっ……♡


離れていく唇。

途端に全身を襲う喪失感。

触れてほしくてたまらない場所から、温もりが消え失せる。


「あ……♡ いかないで……♡」


口から思わず漏れた声はか細く、頼りないものだった。

それを聞いた紗良が俺を見上げる。

細められた目。

歪んだ唇。

余裕たっぷりの表情。

自分の唇に一人の大人が夢中になっていることの愉悦。


「ふふっ……♡ 何、いかないでって……♡」

「……ッ♡」


「お義兄さん、そんなにあたしの唇と離れ離れになるの嫌だった?♡」

「……♡」


「もっとあたしにキスしてほしいんですか?♡」

「……ッ……あ、ぁ……♡」


言えない。

言いたくない。

でも、言わなきゃ触れてくれない。

触れてほしい。

触れてほしいから……。


「……キス……♡ してぇ……♡」

「あはは、いいですよ?」


笑った紗良が顔をずらす。

最も弱い部分から今度は竿の根元、玉の部分へ。

今すぐにでも精を吐き出したくて、必死に浮き上がった睾丸。

今度はそこへ──。


──ちゅ……♡


「んッ……♡♡♡」


唇が落ちる。

そしてそのまま。


──ぬりゅぅ〜……♡


唇が這う。

玉袋から裏筋のラインへ、ぬるりと唇が這っていく。

硬く芯の通った竿の表面、浮いた青筋──血管を、ふわふわでぬるついた唇がちょうど挟み込むように、ゆっくりと這い上っていく。


──はむ……♡ はむ……♡ ちゅ……♡ ちゅっ……♡ ぬりゅぅ〜……♡


「あッ……♡ あ"ッ……♡ さ、紗良……♡」


接触は浅い。

だけど敏感になった竿は、自身の歪な凹凸に合わせて淫らに形を変える柔らかな唇の感触をつぶさに拾う。

丁寧なキス。

先端から根元まで、張り巡らされた血管の一つ一つが、無数の唇に同時に吸い付かれるような錯覚に見舞われる。


──ちゅっ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅぅ……♡


「……ッ♡♡♡」


──ちゅぱっ……♡ んふぅ……♡


そしてようやく戻ってくる。

紗良に植え付けられた弱点。

ここが最も男の気持ちがいい場所だと教えられた、カリと裏筋の集合地点。

そのすぐそばで、紗良の唇がまた止まる。


──ふぅ……♡


「あ"ッ……♡♡♡」


吐息がかかる。

昨晩と同じ、さっきと同じ。

肉竿の間近で窄められた唇。

触れそうで触れない距離を保ちながら、湿った吐息が吹きかけられる。

先端から溢れた先走りが、紗良の吐息の熱で温められ、竿の表面を滴っていく。


「……あぁぁ……♡♡♡」


腰が勝手に揺れる。

紗良の唇へ。

触れたい。

触れてほしい。

このまま吸い付いてほしい。

本能が紗良を求めて、腰を揺らす。

止められない。


「どうしました?」

「き、キス……♡」


「キス? さっきしましたよ?」

「もっと……♡」


「もっと?」


紗良が笑う。

意地悪な笑み。

触れるか触れないかの距離で、俺の欲望を弄ぶ。


「ここに……ですか?♡」


唇を窄める。

弱点の目の前で。

上唇と下唇をむにむにと

動かす。

キスの形。

ちゅっと吸い付く仕草。

それが俺の目の前で行われている。


「あ"ッ……♡♡♡」


肉竿が跳ねる。

紗良の唇へ向かって。

吸い付いてほしくて。

キスしてほしくて。

腰が勝手に動く。


「はぁ……♡ はぁ……♡」


呼吸が荒い。

汗が滲む。

全身の神経が股間に集中している。

紗良の唇だけが世界の全てになっていく。


「さ、紗良ぁ……ッ♡」

「ん〜……?」


「キス……してぇ……ッ♡」

「キスだけでいいんですか〜?」


「えっ……♡ あっ……♡ やっ……♡」

「ふふっ……じゃあ……♡」


──ちゅぱぁっ……♡


「ん"お"ッ……♡♡♡」


唇が触れる。

ただ触れるだけじゃない。

唇と唇の間に、裏筋が挟まれる形で強く吸い上げられた。


──ぢゅぱっ……♡ ぢゅぱっ……♡ ぢゅぱぁっ……♡


「あ"ッ……♡♡♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


ふわふわの唇で裏筋を挟み込んだまま、紗良の顔が上下に動く。

そういう動画でしか見たことのない動き。

いわゆるハーモニカフェラという類の口淫。

唾液のぬめりを纏った唇が、裏筋をぬるぬると扱き上げる。

そして。


「んふっ……もう一回ちゅーしちゃおーっと……♡」


──ぢゅぱっ……♡ ちゅぅぅぅ……♡


「ああぁぁぁ……♡♡♡」


ふわふわの粘膜が、また弱点に触れた。

横向きになった唇が押し付けられ、ゆっくりと吸い出されるように吸われていく。

弱い部分を唇で包み込まれて、はむはむと下唇の柔らかな肉で何度も、何度も。


──ちゅぱっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅぅ……♡


「ん"ッ……♡ お゙ッ……♡」


根元を握っていた手が離れ、掌で肉竿が支えられる。

ビクビクと震えることで幾らか快感が逸れていたのに、紗良の掌が竿の震えの軌道上に現れ、震えを抑制することで、逃げ場を失った肉竿に快楽のみが叩き込まれる。


──はむ……♡ はむ……♡ ちゅぱ……♡


「あ゙ッ……♡♡♡ さ、紗良……♡ そ、そんなとこ……♡」


唇が包む。

上下の唇を開閉し甘えるように啄み、繰り返し裏筋へと吸い付いてくる。

柔らかくも弾力のある唇。

それがまるで生き物のように蠢いて、肉竿を丹念に味わっていく。


──はむ……♡ はむ……♡

──ちゅぷ……♡ ぬちゅ……♡


「ん"っ……♡♡♡ さ、紗良……♡♡♡ も、もう……♡♡♡」


限界が近い。

昨日からの焦らしの責めで限界まで高められた射精感が、腰の奥で暴れ始めている。


「んふふ……♡ 限界……ですか?♡」

「あ"ッ……♡ 限界……♡ 限界だ……♡」


「じゃあ……♡」


──ぬちゃっ……♡


また離れた。

唇が離れた。

またしても。


「あッ……♡ なっ……♡」

「だって、もうイキたいんですよね? なら、いいのかなー? あたしに咥えてもらわなくて……♡」


「ッ……♡♡♡」


咥える。

そうだ。

咥えてほしい。

唇で触れてほしいだけじゃない。

温かい口の中に包み込んでほしい。

吸い上げてほしい。

搾り取ってほしい。


「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡」

「はい?」


「……咥えて……♡」

「ん〜?」


「お口で……♡ おねがい……♡」

「ふふっ……♡ かわい〜……♡」


紗良の目が細められる。

勝利を確信したような目。

俺の全てを手に入れた女の目。

しかし、婚約者の妹は思っている以上に貪欲だった。

咥えてほしいという俺の懇願だけでは足りないらしい。


「ただ咥えるだけじゃつまんないですよ〜?」

「ッ……♡」


「もっと気持ちよくなりたいんでしょ?」

「あ……♡ あぁ……♡」


「だったら、約束して欲しいな〜……♡」

「や、約束……?」


「はい、そうです♡ 約束です♡ デートのお約束♡」

「え……」


「今度の日曜……や、平日お休みとってもらってもいいですけど、お姉ちゃんには内緒で、二人きりで会ってください♡」

「さ、紗良と……?」


「はい♡ あたしと♡」

「そ、そんなの……♡」


「約束してくれたら、気持ちよくシてあげます♡ あたしのお口で、いっぱい気持ちよく搾り取ってあげますし、デートの時だって……んふっ♡」

「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡」


「お姉ちゃんに内緒のデート♡ 約束、してくれますよね?♡」

「あ"ッ……♡ く……♡」


紗良の大きく開いた口が近づく。

口という暗い洞穴の奥で真っ赤な舌がうねうねと蠢き、口蓋から垂れ下がった唾液が洞穴内部にキラキラと銀糸を滴らせ。

見ているだけで、口腔内部の熱と粘膜が肉竿を扱き上げる感触が想像できてしまうようだった。

紗良みたいな可愛らしい女の子が、大口を開き、ペニスを咥え込もうとしているなんて。

姉の婚約者のペニスを口の中へ頬張ろうとしているなんて、俺の中の倫理観は既にぐちゃぐちゃだった。


だけど……だけど……俺は……俺は……ッ♡♡♡


俺は、その温かくて熱くて、ぬるぬるで、ざらざらの舌や粘膜で、ぎゅうっと包まれて搾り出されたいと熱望し、切実な思いで紗良の口に吸い込まれんとしている。


「約束、してくれますよね?♡」

「あ"ぁ……♡ は、はい……♡ 約束……します……♡♡」


「えらいです……♡ じゃ、約束、守ってくださいね〜……♡」


──はぁぁぁ〜……♡


口が迫る。

肉竿の直上まで。

大きく開き、一息に飲み込まんと、真っ赤で淫らな洞穴がその入り口を俺に見せつけるように近づいてくる。


「ん"ッ……♡♡♡」


口腔内の生暖かい空気が肉竿の表面を撫でた。

湿り気を帯び、仄かに果実のような甘い香りのする呼気。

キスの味、紗良の唾液の匂い。

そして湿った熱気。

それが肉竿に向かって吐き出される。

肉竿の先端が口腔内の温度に触れたか触れないかのところで。


「はぁむ……♡」


──ぱくり……♡♡♡


「あ"ッッッ……♡♡♡」


咥えられた。

温かい口内に肉竿が飲み込まれた。

濡れた粘膜が、竿全体を包み込む。

唾液のぬめり。

舌の蠢き。

生々しい口腔の感触。


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡」

「ん〜〜〜……♡」


全てが包まれる。

弱く感じやすい部分も、硬く張り詰めた部分も、全部が紗良の口の中に収められてしまう。

たまらない快感。

脳が溶け出すようなような悦楽。


だが──。


動かない。


「……んふっ?♡」


紗良は咥えたまま動かない。

口の中でただただ包容し、目線だけを送ってくる。

行き場のない熱が口内に閉じ込められ、動きがないため摩擦も起きず、広がるのはどこまでも焦れったい快楽のみ。

それ以上の刺激が来ず、当然射精には至れそうにもない。


「ん"ッ……♡ さ、紗良……♡」

「ん〜?♡」


問いかけるような目、試すような目つき。

さも不思議そうに見上げるだけで、紗良は何もしない。

口に含んでいるだけ。

咥えているだけ。

舌の動きもなければ、頭を動かす気配もない。

動画で見るような熱烈な口淫の気配はどこにもなかった。


ただ、肉竿が紗良の口内の体温に晒され、内壁の生々しい熱に包まれ、口中の湿り気で優しく包まれている。

それだけ。

動かない。

ただ包まれている。

絶妙な安らぎと、どうしようもない焦燥感が同時に押し寄せてくる。


「さ、紗良……♡」

「んふ……?♡」


「動いて……♡」

「ん〜?♡」


「お口で……♡ して……♡」

「んふふ……♡」


唇が微かに歪み、口内の空気が動く。

それだけで肉竿が震える。

だが、紗良の頭は動かない。

動かないまま、俺を見上げてくる。


「お口でシて……って何ですか〜?♡」

「ッ……♡」


「ちゃんと言ってくださいよ?♡」

「……♡」


「じゃないと、動きませんよ〜?♡」

「あ"ッ……♡」


「ほら……♡」


紗良が少しだけ頬を窄める。

口内に軽い吸引圧が発生し、肉竿の先端が優しく吸い上げられる。


──ちゅぽ……♡


「ん"ッ……♡♡♡」

「ね?♡ 動いてほしいなら……♡」


「おねだり……♡ してください……♡」

「ッ……♡」


「あたしのお口で……♡ 気持ちよくしてほしいって……♡ ちゃんと……♡ おねだり……♡」


──ちゅぽ……♡ ちゅぽ……♡


「ん"ッ……♡♡♡ さ、紗良の……♡」

「ん〜?♡」


「お口で……♡ 気持ちよく……♡ して……♡」

「して?」


「してください……♡」


精一杯の言葉。

しかし紗良は動かなかった。

むしろ何か考え事をするように、口の中の肉竿を味わうように、舌先で先走りを転がしただけだった。


──れろぉ……♡


「へぇ……♡ 言えちゃいましたね……♡」


口に含んだまま紗良が笑う。

喉の奥が振動し、その振動が肉竿に伝わる。

くぐもった声。

だが、その意味ははっきりとわかった。


「お義兄さん、お姉ちゃんに内緒であたしとデートするって……約束しちゃいましたしね〜?♡」

「ん"ッ……♡♡」


「お姉ちゃん、知ったら悲しむでしょうねぇ〜……♡ せっかくお義兄さんと結婚するっていうのに〜……♡」

「あ"ッ……♡♡」


「でも、知らなくていいんですよ〜?♡ ずっと知らなくて……♡」

「さ、紗良……♡」


「あたしとお義兄さんの秘密……♡ お姉ちゃんには言わないって……♡」

「ッ♡♡」


「約束……ですよ?♡」


──ぢゅぽッ♡


そして、紗良の頭がゆっくりと動き出す。


──ぬぷ……♡


「ん"ッ……♡♡」


動いた。

やっと動いてくれた。

ゆっくりと、だが。

紗良は肉竿を唇の輪で締め付けながら、口内から抜き出すように顔を離す。

柔らかな紗良の唇が、肉竿の凹凸を締め付けながらゆっくりと引き抜かれていく。

口の中に生々しい吸引力が生じ、張り詰めた血管の一本一本を唇が擦り上げていく。


「あ"あ"あ"ぁぁぁぁ……♡♡♡」


腰が抜けそうな快楽。

魂ごと引っこ抜かれてしまいそうな心地。

そのまま今度は口腔内へと再び迎え入れられるものとばかり思っていたが、紗良はカリの溝に唇の輪を引っ掛けたまま、その場で小刻みに頭を動かし始めた。

もちろん、緩慢な速度で。

先端を咥えたまま唇の肉の輪がぬぷぬぷと行き来する。

柔らかくてぬるついた唇がカリの段差を何度も何度も捲り上げれば、背筋がピンと張り詰めて。

裏筋の集合地点である包皮小帯を口の奥から舌でかき出されてしまえば、痺れるような快感が断続的に駆け抜けていく。

目の前がちかちかする。


──ぬぷぬぷ……♡ ぬぷぬぷ……♡ ちゅぽ……♡ ちゅぽ……♡


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡」


紗良は咥えたまま俺を見上げる。

薄目を開け、愉しそうに。

先端を舐め回し、唇で吸い上げ、舌でからかう。

視線が交錯する度に、背徳感と征服感とが混ざり合い、息をするのも忘れてしまう。


「んふふ……♡ おいし〜……♡」

「ッ♡♡」


「お義兄さんの……んちゅっ♡ あま〜いの……んちゅっ♡ いっぱい……れろぉ……♡ 出てきてますよ?♡」

「さ、紗良……♡」


「んちゅっ……♡ ここ……れろっ♡ すごく……んちゅっ♡ 熱くなってる……れろっ♡」

「あ"ッ……♡ くッ……♡」


「ふふっ♡ もっと……んちゅっ♡ 気持ちよくなってくださいね~♡ ちゅぱぁっ……♡」


哀れな肉竿は、紗良の口腔内で完璧にコントロールされていた。

出したくて出したくて堪らないのに、紗良の口が与える快楽はあまりに繊細で、優しく、口淫は確実に気持ちがいいものの、射精には至らない絶妙なラインを保っていた。


もどかしい。

もっと激しく扱いてほしい。

強く吸ってほしい。

もっと気持ちよくなりたい。


全身でそう訴えているはずなのに、紗良の頭の動きは相変わらずゆっくりで、もどかしく、焦れったい。


「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡ もっと……♡」

「んふふ……♡ もっと? もっと何ですか〜?♡」


唇を窄めての浅いストロークは止まらない。

カリの段差を優しく、ねっとりと、何度も往復する。

その間に紗良は、舌先で尿道口をチロチロと舐めては、出てきた先走りを啜り取っていく。


──れろっ……♡ ちゅっ……♡ れろぉ……♡


「ん"ッ……♡♡♡ も、もっと……♡ き、きもちよく……♡」

「ん〜♡ きもちよく〜?」


「お、お口で……♡ きもちよくしてぇぇッッ……♡♡♡」


叫びにも似た悲鳴を上げる俺を見上げ、紗良の目が弓なりに歪んでいく。


「じゃ、あたしのこと、好きって言ってくれたら〜♡」

「えッ……♡」


「あたしのこと、好きって言ってくれたら、気持ちよくしてあげま〜す♡」

「そ、それはッ……♡ や、約束とッッ……♡ ち、ちがっ……♡ あ"ッ♡♡♡」

「じゃあ、このまま止めますよ〜?♡」


──ぬぽっ……♡


「あッ……♡♡♡」


また離れた。

またしても。

唇から離れた肉竿が、外気に晒されて震えている。

温もりが消え、代わりに冷たい空気が張り付く。

限界寸前で止められた刺激。

行き場のない熱が下腹に凝縮され暴れ狂う。

出したい。

今すぐ出したい。


「いや……♡ やめ……♡ やめないで……♡」

「やめないで……?」


「やめないで……くれ……♡」

「ふふっ……♡」


「お義兄さんのちんちんかわいそ~~~♡ 婚約者の妹とデートの約束もさせられちゃったのに、ちんちん中途半端にオアズケされちゃってさ~~~♡ あたしのこと、好き~~って言ってくれたら、気持ちよくしてあげるのに〜♡」


紗良の顔が近づいてくる。

唇が近づいてくる。

再び肉竿の先端へと。


「じゃあ……♡」

「あ"ッ……♡♡」


「あたしがのことが、好き……?♡」

「……♡」


「それとも、やっぱりお姉ちゃん……?♡」

「ッ……♡♡♡」


「どっち……?♡」

「……ッ♡ あ、あやののことはぁ……♡」


──ちゅぅぅぅ……♡


「あ"あ"あ"ッッッ♡♡♡」

「……んはぁ♡ 他の女の名前出さないで♡」


必死にかき集めた理性の欠片も、紗良のリップにひと吸いされただけで霧散する。

綾乃の名を呼ぼうとした瞬間、竿の先端に唇が吸い付き、呼ぶべき人の名を吸い出していくようだった。


「お義兄さんのちんちんは……んちゅっ♡ お姉ちゃんじゃ……れろっ♡ ダメなんでしょ?♡」


──み、見るなっ♡ そ、そんな目で……ッ♡


「だって……んちゅっ♡ あたしのお口で……れろぉ♡ こんなに……♡」


──や、やめろッ……♡ それ以上はッ……♡


「んちゅっ♡ 気持ちよく……れろっ♡ なっちゃってる……れろぉ♡ ん〜♡」


──い、言うな……ッ♡ 俺は……俺は……ッ♡♡♡


何度も何度も裏筋に押し付けられる唇。

そしてその隙間から這い出てきた舌が『ぺろぺろ♡』と敏感な部分を舐め回し、絶妙な刺激を送り続けてくる。


口の中の熱。

唇の感触。

舌の蠢き。


全てが俺の理性を溶かしていく。


「お義兄さん……んちゅっ♡ あたしが……んちゅっ♡ 好き……?♡」


──ちが……♡♡♡


「あたしより……んちゅっ♡ お姉ちゃんが……れろっ♡ 好き……?♡」


──あぁぁぁ……♡♡♡


「答えてくださいよ〜♡ あたしとお姉ちゃん……れろっ♡ でもまあ答えによっちゃ……ちゅっ♡ このまま止めますよ〜♡ ちゅぅぅぅ……んはぁ♡」


だ、ダメだ……♡♡♡ ここで止められたら……♡♡♡

ちが……♡ ちがう……♡ ちがうんだ……♡♡♡

綾乃を愛している……♡ そのはずなのに……♡♡♡

紗良の口の中の熱……♡ 舌の感触……♡ 唇の柔らかさ……♡♡♡

全部が……♡ 全部が……♡♡♡

綾乃とは全く違う……♡♡♡ 全く違う世界の快楽……♡♡♡

紗良はなんでこんなに……♡♡♡ なんでこんなにぃ……♡♡♡

エロいんだよ……♡♡♡

いや、それだけじゃない……♡♡♡

なんでこんなに気持ちいいんだよ……♡♡♡


あ"ッ……♡♡♡ あ"あ"あ"ッ……♡♡♡


「あ"あ"あ"あ"ッ……♡♡♡」

「んちゅっ♡ どうしたんですか〜?♡」


「やめ……♡ やめないで……♡♡♡」

「え〜?♡」


「いや……♡ やめないで……♡♡♡」

「やめないで? じゃあ……♡」


「さ、紗良のこと……♡♡♡」

「ん〜?」


「すき……♡♡♡」

「えへへ……♡ あたしも大好きです……♡」


──ぢゅぽぉぉぉっっっ……♡♡♡



「ん"ッッ……♡♡♡ あ"ッ……♡♡♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


一気に根元まで咥え込まれた。

喉の奥の窄まりが亀頭を締め付け、口腔内の粘膜が竿全体に吸い付く。

生温かい唾液が肉竿をコーティングし、べたりと張り付いた舌のざらつきが裏筋を擦り上げる。


一瞬のうちにシンボルを包み込んだ紗良の口内。

奥の奥へと導かれていくあまりにもリアルな感触が、時間差で押し寄せ、視界が白濁し、思考が消し飛んだ。


「んふぅぅぅ……♡」


──ぢゅぽぉぉっっ……♡♡♡


鼻腔から漏れる紗良の吐息。

満足げで、喜びに満ちた音が、耳の奥で反響する。


「ん"ッ……♡ さ、紗良……ッ♡ あ"ッ……♡」


紗良は答えない。

代わりに、喉の奥でくぐもった声を響かせながら、ゆっくりゆっくり、ぬろぉ〜〜〜と頭を引いていく。

唇の輪が肉竿の凹凸をなぞり、カリの段差を越えるあたりで背筋が痺れるような快感が走る。


──ぬぷぅ……♡ ちゅぽっ……♡


「あ"ッ……♡♡♡」


そのまま引っこ抜かれるのかと思いきや。

先端だけを残して唇が離れかけた瞬間、紗良は再び一気に咥え込んだ。


──じゅぷっ……♡♡♡


「お"ッ……♡♡♡」


今度はさっきよりも深く。

喉の奥まで。

先端が喉の奥を押し広げ、食道の入り口が亀頭を締め付ける。

凄まじい圧迫感と、裏腹に腰の奥から突き上げてくる強烈な快感。

一度離れかけた紗良の口内へと再び迎え入れられた悦びとが混ざり合って、涙が出そうになってしまう。


「あ"ッ……♡♡♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


これがフェラチオか。

こんなに気持ちいいのか。

これが紗良の口の中なのか。


その全てが快楽となって肉竿を浸して脳髄へ伝えんと作用する。


今まで体験した口での行為なんてただのお遊びでしかなかったと思わされるくらい。


口で咥え込み扱かれることがここまで凄まじい悦楽を与えられることなど俺は知らなかった。

いや。

俺と綾乃の行為は確かに拙いところもあり、なおかつ安全志向なのが原因なのかもしれないが、それ以上に紗良の男を悦ばせる技術が桁違いだったのだ。


「んふ……♡ おいし〜〜……♡♡♡」


楽しげに笑った紗良が口腔内の壁に亀頭を擦り付けながら、竿の根本から亀頭の先端部に至るまでを口内の往復運動によって刺激し始める。


──ぬぷ……♡ ぬぷ……♡ ぬぷ……♡ ちゅぱっ……♡


紗良の頭が揺れる。

先程までの焦らすような浅いストロークではない。

しっかりと深く沈み込みながら、ねっとりと唾液を纏った唇が肉竿を扱いていく。


──じゅぷっ……♡ じゅぷっ……♡ じゅぷっ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


声が止まらない。

自分でも情けないと思うほど、甘い声が喉から溢れ出る。

紗良の口の中は、綾乃のそれとは比べ物にならないほど、熱く、淫らで、そして何より気持ちが良かった。


──ぬぽっ……♡ ぬぽっ……♡ ぬぽっ……♡


「ん"ッ……♡ くッ……♡ あ"ッ……♡」


限界だった。


これ以上ないほど焦らされ、寸止めされ、『好き』という言葉まで搾り取られてしまった肉竿がもう耐えられるはずがなかった。

射精したい。

今すぐ。

紗良の口の中で。

熱くてぬるぬゆの粘膜の中で。


「あ"ッ……♡♡♡」


──ぢゅぷっっっ♡♡♡


腰が揺れる。

抑えられない。

紗良の口内へ自ら進んでしまう。

より深く。

より強く。

紗良に気持ちよくしてもらいたいという欲望だけで腰が動く。


「ん〜〜……?♡」


それを見た紗良がシンボルを頬張りながら、上目遣いで俺を見上げてくる。

目尻がかすかに下りて弧を描き、薄く開いた目蓋から覗く瞳は妖しく潤んでいた。


その目だ。

その目で見つめられると体の中心の棒の根元が疼き出す。

心の奥底で燻る欲望の火種が燃え盛り、身体を内側から炙るように熱くする。


紗良の目。

俺の反応を愉しんでいるかのような目。

獲物を狩る獣のような獰猛さではなく、甘く甘く誘い出し、欲に釣られて快楽という沼に嵌っていく愚かな雄の姿を慈しんでいるかのような目。


そんな目に見つめられると、どうしようもなくなっていく。

紗良という存在に振り回されて、破滅の悦びを享受してしまいたくなってしまうのだ。


「あ"ッ……♡♡♡」


紗良の目が笑う。

勝ち誇ったかのように。

そして。


──ぢゅるるっ……♡ ぬぽっ……♡ ぢゅっぢゅっぢゅっ……♡


頭が前後に揺れる。

速い。

さっきまでの緩慢な焦らしとは全く違う、容赦のない動き。

紗良の髪が揺れ、唾液が飛び散り、男性自身が口内で滅茶苦茶に扱き上げられる。


「ん"ッ……♡♡♡ あ"ッ……♡♡♡ お"ッ……♡♡♡」


そして紗良は右手で肉竿の根本を支え、左手で陰嚢を包み込み、ぐにゅぐにゅと揉みしだいていく。

ポンプ代わりとばかりに陰嚢を揉みしだく掌の感触が、腰の奥に溜まった熱を強制的に先端へと送り出していく。


限界だった。


もう何も考えられなかった。


綾乃のことも。

結婚式のことも。

倫理観も。

罪悪感も。


ただただ快楽だけが俺を支配していた。


紗良の口内の熱。

紗良の舌の蠢き。

紗良の喉の奥の締め付け。


それら全てが混ざり合い脳髄を焼き尽くしていく。


「あ"ッ……♡♡♡ さ、紗良……♡♡♡」


呼びかける声にも力が入らない。

ただただ絶頂に向けて突き進む。

いや、己の意思ではなく紗良に導かれ突き進んでいく──他者にコントロールされるということが、あまりにも心地がいい。


──ぢゅぽっ……♡ ちゅぽっ……♡ ちゅぽぽぽっ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"あ"ッッ……♡♡♡」


もう無理だ。

限界だ。

これ以上耐えられるはずがない。

腰の奥から湧き上がる射精感が、暴走した機関車のように加速していく。

止まらない。

止められない。


「でッ……♡ でるッ……♡ でるぅぅぅッッ……♡♡♡」


──ぢゅぽぽぽぽぽぽっっっ……♡♡♡


紗良は止まらない。

むしろ、俺が限界を告げたことで、さらに激しく頭を振る。

根元まで咥え込み、喉奥で亀頭を締め上げ、激烈な抽挿で搾り上げる。

口内の圧迫感。

逃げ場のない粘膜の檻。

その全てが俺を追い詰め、射精へと突き落とす。


「ん"ッッッ……♡♡♡ あ"あ"あ"あ"あ"ッッッッ……♡♡♡」


──びゅくっっっ……♡♡♡ びゅくっっっ……♡♡♡ びゅるるるるるっっっ……♡♡♡


爆ぜた。

脳が白濁し、視界が明滅する。

身体の芯から全てが絞り出されるような、強烈な射精。

紗良の口の中に、大量の精液が吐き出されていく。


──どぷっ……♡ どぷぷっ……♡ びゅくびゅくっっ……♡♡♡


「ん"ッ……♡ ん"くっ……♡ ん"くくくっ……♡♡♡」


紗良が嬉しそうに喉を鳴らす。

嚥下する音だ。

俺の放った精液を、紗良が喉を鳴らして飲み込んでいるのだ。


生々しい音。

喉の動き。


それが肉竿に伝わる。

口の中の奥の奥へと精を注ぎ込み、紗良はそれを拒絶するでもなく、むしろ喜んで体内へと迎え入れている事実。

綾乃との記念となる場で放出する背徳の悦び。

男としての征服欲と、自分の全てを紗良に受け入れられているという被征服感とが奇妙に混ざり合って頭の芯を痺れさせる。

それらが合わさって、さらなる快感を呼び、射精を長引かせる。


──びゅくっ……♡ びゅくくっ……♡ どぷっ……♡


──ごくっ……♡ ごくっ……♡ んくっ……♡


「ん"ぁ……♡ ん"くっ……♡ ん"くぅぅぅ……♡♡♡」


脈動が止まらない。

身体の奥から最後の一滴まで、放出するそばから紗良の体内へと取り込まれていく。


しかし、それでも紗良は唇を緩めなかった。

喉奥で亀頭を締め上げ、舌で裏筋をなぞり、唇で根元を締め続ける。

徹底的な搾取。

容赦のない吸い上げ。


「ん"ッ……♡ くッ……♡ あ"ッ……♡♡」


……ようやく、脈動が収まった。


肉竿の震えが止まり、脱力した身体が倒れることを紗良の頭に手を置くことでなんとか回避する。


息が荒い。

心臓が早鐘を打っている。

全身の力が抜け、虚脱して天井を見上げる。


──ぬぷっ……♡


だが、紗良の口は、まだ離れてはくれなかった。


「ん"っ……♡」


口の中で舌が動く。

射精後の過敏な肉竿を、舌先が丁寧になぞる。

先走りと精液が混ざった粘り気のある液体を、舌が掬い取るように舐め回す。


──れろっ……♡ れろっ……♡ ちゅぱっ……♡


「ッ……♡ あ"ッ……♡」


再び声が漏れる。

出したばかりなのに──。

それなのに紗良の舌は俺の身体から快楽を完全に奪い去ってはくれない。


むしろ。

さらに敏感になった箇所を舌先で嫐ることで、再び熱を灯そうとしているかのようだった。


──れろぉ……♡ ちゅぱっ……♡ ぬちゅっ……♡


「あ"ッ……♡ くッ……♡」


肉竿がまた硬さを取り戻し始める。

紗良の口の中で再び勃起していく。

身体中の血液が股間に集まる感覚。

頭の中がまた白濁し始める。


「んふっ……♡ まだ……出ますよね?♡」


くぐもった声。

口に一杯含んだまま、紗良が俺を見上げる。


妖艶な瞳。

潤んだ目。

頬を汚す唾液。


その全てが、淫らで、美しかった。


「や……♡ さ、紗良……♡ もう……♡」

「んふ……♡ もう……? 何が?♡」


答えられない。

答えさせない。

紗良の口が俺の意思を無に帰す。


──ちゅぽっ……♡


唇が窄められ、強く吸い上げられる。

萎えかけた肉竿に、再び血が流れ込む。

口の中の圧倒的な温もりと粘膜の感触が、俺の身体を無理やり立ち上がらせる。


──ぬぽっ……♡ ちゅぱっ……♡


「あ"ッ……♡♡♡」


再び頭が揺れる。

口の中で肉竿が扱かれる。

出したばかりなのに。

硬くなりかけた竿へ、とどめとばかりに咥え直して。


──ぢゅぽっ……♡ ぢゅぽっ……♡ ぢゅぽっ……♡


「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡ や、や、……♡ イッたばかり……♡♡♡」

「んふふ……♡ イったばかりだから? だから何ですか?♡」


言葉と共に舌が裏筋をなぞる。

敏感な部分へ的確な刺激。

チロチロと舌先で煽るように舐め上げられれば、肉竿がヒクヒクとそれに応えてしまう。


──れろっ……♡ れろっ……♡ ちゅぱ……♡


「あ"ッ……♡ くッ……♡ くぁっ……♡♡♡」


絶頂の余韻に浸る間もなく再び快楽の波が押し寄せてくる。

先ほどの射精で研ぎ澄まされた快楽神経が紗良の舌の動きひとつひとつに反応し、電流のような快感信号が腰から脳天へと突き抜ける。


──ぢゅっぢゅっぢゅっ……♡ ぬぽっ……♡ ちゅぽっ……♡


「ん"あ"あ"あ"ッ……♡♡♡」


紗良の頭が小気味よく前後する。

射精したばかりの肉竿が、みるみるうちに硬さを取り戻し、『出したばかり』という言い訳を反するだけでなく、主人を裏切り紗良の側へと加担する。


──ぢゅぷっ……♡ ぢゅぷっ……♡


「あ"ッ……♡ くッ……♡♡♡」


再び限界が近づいてくる。

さっきよりもはるかに早い。


紗良の口の中は、一度俺の精を受け入れたことでより一層熱を持ち、ぬめりを増していた。

更に粘度を増した唾液が肉竿をコーティングし往復運動の摩擦を減らす代わりに吸い付きを強め、肉竿に絡み付く粘膜の密着度を増幅させて。

純粋な快感のみで言えば、紗良の口の中は最初よりも今の方が遥かに気持ちがいい。


「ん"ッ……♡♡♡ さ、紗良……♡♡♡ ま、また……♡♡♡」


二度目の射精が近い。

一度絶頂を迎えた身体は快楽に順応しやすくなっている。

紗良の与える快楽に対して、身体がもっと欲しいとねだり始めている。


──ぢゅぽっ……♡ ちゅぽっ……♡ ちゅぽっ……♡


紗良は止まらない。

頬を窄め口腔内の圧力を高め吸引しながら亀頭を吸い上げ、真空ポンプのように吸い付いた先端を口腔内の壁に押し付け、ぬるついた粘膜組織を肉竿でこそぎ落とすかの如く頭を振る。


「あ"ッ……♡ くッ……♡ だ、だめ……♡ ま、またッッッ♡♡♡」

「んふっ……♡ だめ? なにが?♡」


口に含んだままの問いかけ。

肉竿に伝わった振動が新たな刺激となり快感を加速させる。


「い、イ"グつッ……♡♡♡ ま、また……♡ イくッ……♡♡♡」


──ぢゅるるるっ……♡ ぢゅるるるるっ……♡


「あ"あ"あ"あ"あ"ッッ……♡♡♡」


二度目の絶頂。

一度目よりもさらに強く。

さらに深く。

身体の奥底から全てが搾り出されるような感覚が、腰から脳天へと突き抜けていく。


──びゅくっっ……♡ びゅるっっ♡♡ びゅるるるっっっ♡♡♡


またしても紗良の喉奥へ。

吐精させられた欲望の塊に紗良が喉を鳴らす。


──んくっ……♡ んっ……♡ ごくっ……♡


「あ"あ"あ"ぁぁぁ……♡♡♡」


喉奥まで咥え込んだまま、紗良は一切離れようとしない。

口の中で精液を受け止め、嚥下する動きが亀頭を締め上げ、肉竿の先端から精液が送り出される脈動に合わせて紗良は喉を動かす。


逆らえない。

抗えない。


ただただ紗良の口淫に身を委ねるしかない。


「ん"ッ……♡♡♡」


ようやく二度目の脈動が収まる。

だが紗良はまだ唇を離さない。

むしろ射精の余韻に浸る間も与えずに。

口の中で肉竿を愛で始める。


──れろっ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅっ……♡


「あ"ッ……♡♡♡」


三度目の硬直が始まろうとしていた。


「んふふ……♡ まだまだ……出ますよね?♡」


頬を窄め紗良が上目遣いで俺を見つめる。


「あ"あ"あ"ッッ……♡♡♡ さ、紗良……ッ♡ もう無理ッッッ♡♡♡ 何も出ない……ッ♡」


限界だった。

これ以上出るわけがない。

身体の中身が全部抜け落ちてしまいそうだった。


しかし紗良は止まらない。

止まってくれない。


「んふふ……♡ んちゅっ……♡」


──ぢゅろろろろっ……♡♡♡


笑っている。

俺が快楽に喘ぐ様を見て悦んでいる。

そしてその悦びを口の中の動きで表現し、更なる快楽を送り込んでくる。


──れろっ……♡ れろっ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅぱぱぱっ……♡


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


声が止まらない。

言葉が出ない。

ただ快楽の波に飲み込まれ、紗良の口の中で翻弄される。


「あ"ッ……♡♡♡ さ、紗良……ッ♡♡♡ ま、またッ……♡♡♡」


三度目の勃起。

三度目の限界。


紗良は三度目の吐精を引き出そうと唇の輪で強く締め付け頭を激しく上下させる。


──ぢゅぽっ♡♡♡ ぢゅぽっ♡♡♡ ぢゅぽっ♡♡♡


「ん"お"お"お"お"ッッ……♡♡♡ あ"あ"あ"ぁぁッッ……♡♡♡」


感度が限界突破していた。

ただでさえ2回連続で吐精した直後だというのに、まるで容赦のないピストン運動。

口の中全体で搾り取られ責められ犯される感覚。


頭の中が真っ白になっていく。

綾乃のことなんてどうでもよくなっていく。

ただ紗良の口の中にある快楽だけが全てになっていく。


──紗良……ッ♡ 紗良……ッ♡ 紗良……ッ♡


名前が頭の中を反響する。

快楽と共に刻み込まれていく。

この口の感触。

この舌の蠢き。

この喉奥の窄まり。

そして淫らに嗤う紗良の顔。

全てが脳裏に焼き付いていく。


──びゅくっ……♡


三度目。

最早精液など出るはずもなかった。

それなのに身体は射精の反応を起こし肉竿は痙攣し腰は大きく跳ねた。


出るものがない射精。

迸った快感だけが全身を駆け巡り精神を白濁させていく。


「ん"ッ……♡ ん"ぅぅぅぅぅっっっ……♡♡♡」


紗良はそれすらも飲み込もうとするかのように強く吸引し、決して竿から口を離すことはなかった──。


………

……

…


静寂が訪れる。


激しい動きが止んだ。

紗良の頭の動きが止まる。

ただ口の中に肉竿を含んだまま動かない。


「ん"ッ……♡ はぁ……♡」


荒い息遣いだけが部屋に響く。

俺の息か紗良の息か区別もつかない。


紗良はゆっくりと顔を離していく。

名残惜しむかのように、唇で喰み、舌を這わせて。


──ぬちゃぁ……♡


「ん"ッ……♡」


唇から肉竿が抜かれる音がやけに大きく響く。


「ふぅ……♡」


冷たい空気に晒される肉竿。

ぐったりと力なく首を垂れる惨めな姿。

紗良はそれを見つめながらゆっくりと、自身の唇をひと舐めした。


「ふふっ……♡ いっぱい出ましたね〜♡」


口の端についた液体を指で拭いながら、紗良が囁く。


「お義兄さんのこと……♡ ぜーんぶあたしが吸い取ってあげました……♡」


勝利宣言だった。

完全なる征服宣告だった。


紗良は俺を見上げる。

潤んだ瞳で。

口元には白濁した痕跡が未だに残っていた。


「お掃除……♡ してあげますね?」


そう言うと再び顔を近づける。

だが今度は激しさはない。

ただ優しく労わるように舌先で舐め、舌の腹を押し付ける。


──れろぉ……♡ れろぉ……♡


「あ"ッ……♡♡」


過敏になった肉竿に舌が触れるだけでピクピクと震えてしまう。

だが紗良はそれを押し留めるように手で根本を支え、優しく舐め続ける。


──ぺろぺろ……♡ ぺろ……♡


残滓を舐め取っていく。

優しく丁寧に。

まるで傷口を癒すかのように。

先端から根元へ、根元から先端へ。

舌先で這いずり回り汚れを落としていく。


「ん"ッ……♡ さ、紗良……♡」

「ん……♡ きれいになりましたよ〜♡」


半勃ちになりかけたところで、紗良の口がゆっくりと離れていく。

そのまま立ち上がった紗良と反対に、支えを失い立っていられなくなった俺は、膝を床につけてしまう。


見上げた紗良の顔が部屋の明かりの逆光でよく見えない。

ただ口元がゆらりと歪み、暗闇の中で艶めく唇がさっきまでそこで何が行われていたのかを物語るようだった。


「あたしのこと……すきって言ってくれましたね〜♡」


囁き。

耳元に吐息がかかる距離。

屈んだ紗良の豊かな胸元が目の前で揺れていた。


「……っ」


答えられない。

言わされたのだ。

好きだと言えば気持ちよくしてくれるから。

射精させてくれるから。

だから言った。


それだけだ。

それだけなのだ。


……そう言い聞かせる。


自分の口から出た言葉ではないかのように。

自分の意思ではないかのように。


けれど身体は正直だった。

紗良の匂いが鼻腔を満たすだけで腰の奥が疼く。

紗良の吐息が耳元を掠めるだけで身体が震える。


ああ。

俺は。

俺は──。


「嬉しかったです……♡ あたしもお義兄さんのこと……♡ すきですよ……♡」


嘘だ。

そんなはずはない。

紗良は俺のことなんて──。

でもその言葉は甘く俺の耳の奥を撫でていった。


「ふふ……♡ あたしとお義兄さんだけの秘密……♡ 大切にしますね……♡」


耳元に寄せられるた唇。

触れそうな距離。

そして囁かれた言葉は、まるで呪いのようだった。


「お姉ちゃんにも……♡ ぜーったい言わないでくださいね?♡」


そう言って紗良は屈んだ腰を上げた。

髪を揺らしスカートの裾を整えながら、何事もなかったかのような顔で笑う。

さっきまで俺の股間に顔を埋めていた女とは思えないほど、涼しい顔。


「ご褒美……♡ これでおしまいです♡」

「さ、紗良……俺は……」


「お義兄さん? 約束守ってくださいね?♡」


指先で唇をなぞりながら悪戯っぽく笑う紗良。

俺の話なんてまるで聞く耳を持っていない。


「デート……♡ ですよ?」


その瞳には確信犯的な色があった。

俺がもう逃げられないことを知っている目。


──ぐいっ。


紗良は俺の手首を掴むと強引に立たせる。


足元がおぼつかない。

膝が笑っている。

まるで生まれたての子鹿のような状態だ。


「ほら♡ 早くズボン履いてください? お姉ちゃん戻ってきちゃいますよ〜?」


その言葉で我に返る。

綾乃だ。

エステが終われば戻ってくる綾乃だ。


慌ててズボンと下着を引き上げファスナーを閉めベルトを締める。

震える手で必死に身なりを整える。


鏡に映った自分は酷い顔だった。

顔は赤く息は荒く目は虚ろ。

とてもじゃないが綾乃と向き合える顔じゃない。


「ふふっ、お義兄さん? お顔がぼろぼろですよ〜」


紗良がハンカチを取り出し俺の顔を拭ってくれる。

そして綺麗に整えてくれた後──。


──ちゅっ♡


唇にキスを落とした。


「なっ……♡」

「今更キスくらいで驚かないでくださいよ〜♡」


冗談めかして笑う紗良。


「お姉ちゃんが戻ってきたら、ちゃんと迎えてあげてくださいね?」


ほんのりと残る紗良の匂い。

唇に残る紗良の感触。


そして深く刻まれた紗良の存在。


俺は。

もう──。


その瞬間扉がノックされた。


『悠真様? 妹の紗良様? エステのお時間が終わりましたのでお迎えに参りました』


スタッフの声だ。


心臓が跳ねる。


バレるだろうか?

汚れは拭えたか?

匂いは残っていないか?


パニックになりかけた俺の耳元に紗良が囁く。


「大丈夫ですよ……♡ 鈍感なお姉ちゃんには絶対にバレませんから……♡」


耳元を掠める吐息だけで腰が砕けそうになる。


「あたし達の秘密……ですからね?♡」


紗良はそう言って扉の方へ歩いていく。


俺はその背中を見送りながら深く息を吐いた。


新郎新婦控室。

永遠を誓う場所で俺は何をしてしまったのか。


綾乃への罪悪感と紗良への背徳的な快楽が入り混じり頭の中はぐちゃぐちゃだ。


だが一つだけ確かなことがあった。


俺はもう紗良という甘い毒抜きでは生きていけないかもしれないということだった──。


【続く】


Comments

0siruko

最高でした 続きも楽しみです