太っている世界 (Pixiv Fanbox)
Content
「せんぱーい、もっとキリキリ働いて下さいよー」
「お前な......それが手伝って貰ってるヤツの態度か......」
そこは総武高校の倉庫
比企谷八幡と一色いろははホコリにまみれながら片付けをしていた
「ったく......何でもかんでも安請け合いするなよな......」
「だってぇ、少しでも内申良くしたいじゃないですか」
「その度に駆り出される俺の身になってくれよ......ほれ、そっちの方の箱片してくれ」
「はーい......ん?何この箱?」
いろはが手にした箱は他の物と比べてかなり古く、破れかけのお札で封がされていた
「先輩......なんかヤバそうなブツが......」
いろはが箱を持ち上げる
すると劣化したお札が破れ、蓋が開き、下に落ちてしまう
「あっ!?」
「ん?どうした?」
八幡が振り返るといろはの足元の箱からドス黒い霧のようなものが出てきている
「い、一色!?」
「せ、先輩!!」
いろはは瞬く間に霧に飲み込まれ姿が見えなくなる
八幡はどうにかいろはを助けようとするが霧に邪魔され、近づけない
八幡はなすすべなく霧が晴れるのを待つしかなかった
そしてしばらくすると霧が晴れ始め、いろはの姿が見え始める
「おい!一色!大丈夫か!?」
「げほっ!ぶほっ!せ、先輩......」
すると薄くなった霧の中からいろはが出てくる
しかしその姿はとんでもないことになっていた
ドスンッ......ドスンッ......ドスンッ......
倉庫の棚が重苦しい足音と共に揺れる
「ふぅ......ぶふぅ......」
辛そうな息切れ
ぶよんっ......どぷぅん......
揺れる贅肉
「い、一色......なのか?」
「んえ?な、何言って......な!?」
その姿はあまりにも大きく肥え太っていたのだ
「い、いやぁぁぁぁ!?何これぇ!?」
いろはは自分の身体を触る
どこもかしこも贅肉まみれで驚くほど柔らかい
顔を触ると以前の倍ほどの大きさになっており、パンパンに膨らんだ頬に二重顎がたぷたぷと揺れてしまっていた
そしてどういう訳か、制服もいろはの巨体にピッタリのサイズになっていたのだ
「な、なんでこんなに太って......いや......いやぁぁ!」
「一色!落ち着け!」
八幡はいろはの肩を掴む
その肩も贅肉で幅が増し、指が沈む
「せ、先輩ぃ......グスッ......」
「泣くな!とりあえず誰かに助けを......」
「おーい、片付け終わったかー?」
「平塚先生!」
そこに現れたのは奉仕部顧問の平塚静だった
「ひ、平塚先生!一色が......!」
「ん?一色?」
静はいろはを目の当たりにする
「一色がどうかしたのか?」
「え?」
「うむ、これだけ片付いていれば大丈夫だろ、ご苦労さん」
「え?ちょ......」
「もう遅いから気をつけて帰れよー」
静はその場を後にする
「......どうなってんだ?」
「私を見ても何も言いませんでしたね......」
八幡といろはは顔を見合わせる
「ひとまず帰るか......」
「そうですね......」
2人は学校を後にする
「ふーっ!ぶふぅっ!せ、先輩......!ふぅ......あ、歩くの......早いですぅ......」
八幡は振り返るといろはが必死に巨体を揺らし歩いていた
「あぁ、すまん......大丈夫か?」
「ぜぇっぜぇっ......つ、疲れた......」
いろはは息も絶え絶えになりながら八幡に追いつく
ぐぎゅううぅぅぅぅぅぅぅ......
するといろはの腹から大きな音が鳴る
「ふぐっ!?」
「ど、どうした?」
「お、お腹が空いて......な、何か食べたい......先輩!何か食べたいですぅ!」
いろはは込み上げてくる食欲に半ばパニックになる
「おい!落ち着け!」
ぐぎゅううぅぅぅぅぅぅぅ......
ぐろろろろぉぉぉぉぉぉぉ......
「あぁぁ、お腹空いたぁ!食べ物ぉ!」
いろはは八幡にすがり付き、食べ物を懇願する
「と、とにかく来い!」
八幡はいろはの手を引き、近くのファミレスに入る
そして適当に頼み、料理が運ばれてくる
「はむっ!あむぅっ!がつがつがつがつがつがつ......ぶほっ!うまぁ!」
いろはは物凄い勢いで食べ始める
ハンバーグプレートとライスが瞬く間に無くなっていく
その様子を八幡は呆然と見つめている
「んぐぅっ!ぶふぅ!足りないぃ......おかわりぃ!」
いろはは更に注文をする
メイン料理を数品に全てライスを付け、サイドメニューのチキンやピザ、グラタンやパスタまで注文した
店員が八幡を見て「本当に......?」みたいな顔をしていた
そしていろはは大量の料理を貪り食べる
「ぶもぉぉ!はぐっ!おぉん!」
美味しいからなのか頬張るたびに野太い声をあげている
「ずぞぞぞぞぉぉぉぉぉ!ぢゅるんっ!んぶぅぅ......食べたぁ......ぶげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぷっ!!」
パスタを一気に吸い込んで完食し、爆音のゲップを吐き出す
「落ち着いたか......?」
「ぐぅぅっぷっ!......え?先輩?......あれ?私......あれ?」
いろははふと今の状況を認識したかのように周りのを見渡す
テーブルの上のからの食器、口の中に残る料理の味、そして大きく膨らみ満腹を訴える腹
「こ、これ......私が?」
「覚えてないのか......?」
「いえ、その......ぼんやりとは......お腹が空いて、とにかくたくさん食べたくなって......ぐぇっぷっ!あ!?すみません!」
いろはは怯えた表情を浮かべる
「とにかく今日はもう帰ろう、ちゃんと休んだ方がいいだろ」
「は、はい......んっ!あ、あれ?」
いろはは立ち上がろうとするが様子がおかしい
「どうした?」
「......か、身体が挟まって抜けなくて......」
座席とテーブルの間にいろはの巨体が挟まっていたのだ
「ふんっ!ふんぬぅ!」
いろはは巨体をくねらせるがほとんど動けない
「ほら、手を掴め」
八幡はいろはに手を差し伸べる
「は、はい、ふんぐぅぅぅぅ!」
八幡はどうにかいろはを席から引っ張り出す
するとどうにかいろはの巨体が席から抜ける
「ふーっ......あ、ありがとう......ございます......」
「あ、あぁ......」
そして2人分とは思えない代金を払い、店を後にする
「じゃあひとまず解散でいいか?」
「は、はい......」
いろはは不安そうな表情を浮かべる
「とにかく明日雪ノ下達に相談してみよう、何か解決策がわかるかもしれん」
八幡はいろはの頭を撫でる
その手触りは汗をかいているせいか妙にベタついていた
「分かりました......ではまた明日......」
いろははいつものような軽口を叩く事も無くその場を後にする
八幡はいろはの広く大きな背中をただ見送る事しか出来なかった
いろはは家に着くと深呼吸をして家族と対面する
「た、ただいまー......」
「いろは?」
母との対面、いろはは唾をごくりと飲み込む
「そんな所に突っ立ってどうしたの?早く着替えてらっしゃい」
「う、うん......ねぇ、お母さん?」
「何?」
「私どこか変わったところ無い......?」
「えー?何何?クイズ?」
「いや、クイズっていうか......」
「うーん......あっ!分かった!」
「!ど、どこ!?」
「あんたまた太ったでしょ?今朝よりお腹大きいわよ?」
「ガーン......!」
「あんたまた買い食いでもしてきたんでしょ?夕飯前だってのに、まったく......」
「そ、それは......」
「で?夕飯はいるの?いらないの?」
「た、食べてきたからいら......」
ぐぎゅううぅぅぅぅぅぅぅ......
いろはの腹の虫が鳴り響く
あれだけ食べたにも関わらず店から家までの間で消化が進み、空腹を促したのだ
「なんだって?」
「......食べる」
「はい了解、でもその前にあんた汗臭いから先にシャワー浴びてきなさい」
「は、はーい......」
「あ、浴槽には入っちゃダメよ?この前抜けなくなって大変だったんだから」
「マジで!?」
「どうしたのよ?」
「い、いや!うん、分かった......」
いろははそそくさと浴室に向かう
「お風呂にハマるってどんだけデブなの......」
いろははぶつくさ言いながら制服を脱ぎ始める
汗でじっとりとしていて、さらに贅肉にも引っかかるため脱ぎにくい
上着を脱ぐとむわっと汗の臭いが広がる
「臭っ!?」
いろはは自身の臭いに驚愕する
そして腹の贅肉に食い込むスカートのホックを外すと巨大なスカートが床に落ちる
そして贅肉に阻害されながらも巨大なブラを外す
すると寄せ上げられていた胸は八の字に分かれ、重力に負けて垂れ下がる
そして手にしたブラはホックの爪が5つもある特大サイズで頭がすっぽり入る特大サイズだ
そして贅肉を掻き分け、パンティに手をかける
しかし極太の太ももや巨大な尻に引っ掛かり上手く脱げない
仕方ないのでいろはは腰を振って贅肉を揺らし、その反動でパンティを下ろしていく
そしてようやくパンティが足から抜ける
「ふぅ......疲れた......」
いろはは服を脱ぐだけでも体力を消耗し、全身から汗が噴き出す
そしていろははふと姿見に目をやる
「ひっ!?」
そこに映る姿を見ていろはは小さく悲鳴をあげる
どこもかしこも贅肉まみれ
汗でテカテカと鈍く光る巨体はグロテスクなものだった
思い返せば今の身体になってから鏡を初めて見たいろはは恐る恐る身体を動かす
動く度に贅肉が波打ち、贅肉同士がぺちぺちとぶつかる
そのあまりにも変わり果てた姿を見ていろはの目に涙が浮かぶ
「ぐすっ......なんで......こんな事に......」
いろはは逃れられない現実に首を垂れると二重顎がぶにゅんとせり出す
「はぁ......シャワー浴びよ......」
浴室に入るといろはは浴槽に目をやる
見慣れた浴槽だが自身の巨体と見比べると絶対にハマってしまうと本能的に分かってしまう
その事実にげんなりしながらシャワーを浴び始める
汗のベタつきがお湯で流れていくのが気持ちいいのかいろはは大きく息を吐く
そしてタオルにボディソープを付けると身体を洗い出す
「あれ?中々泡立たない......」
ボディソープがほとんど泡立たず流れ落ちる
いろはは不思議そうにタオルを見る
すると白かったタオルは茶色く汚れていたのだ
「えっ!?何これ!?」
いろはは肌を手で擦ってみる
すると無数の消しカスのような垢がどんどん出てくる
「き、汚い!」
いろははタオルで必死に全身をゴシゴシ擦る
すると全身からボロボロと垢が落ち、タオルにも大量に絡み着く
そして何回か垢を洗い流すとようやく泡が立ち始めた
ようやくまともに身体が洗い終わると髪を洗い始める
その手触りもどこかゴワゴワしており泡立ちが悪い
頭皮の脂や汗の汚れが邪魔しているのだ
そしてシャワーで頭を洗い流し、髪をオールバックにする
ふと鏡を見ると髪で隠れていた顔の肉が前面に押し出された見事なデブ顔が目に入る
その顔を見ていろはは深いため息をつく
そしていろはは湯船を名残惜しそうに見つつ浴室から出る
すると脱いだ制服は片付いており、部屋着が畳んで置いてあった
母親が準備してくれたのだろう
いろはは苦戦しながらも身体を拭き、部屋着を着る
それはシンプルなTシャツと半ズボン、タグを見るとそこには10Lの表記
「デカ過ぎでしょ......」
ぼやきつついろはは袖を通す
しかしかなり大きいと思ったTシャツはいろはの巨体をピチピチと締め付ける
そして短パンも太ももと尻がパンパンに張り詰める
しかもTシャツは丈が足りないのか下腹の贅肉がはみ出してしまう
短パンで隠そうとするがウエストのゴムを限界まで伸ばしても腹が入らなかった
仕方なくいろはは下腹をはみ出させたままリビングに戻るしかなかった
「あら?上がったの?ほら、ご飯にするから座ってなさい」
母親はいろはの格好になんら言及する事も無く、用意を続ける
いろはは慣れた手付きで椅子を3つほど並べるとゆっくりと腰を下ろす
「ぶふぅぅ......」
ようやく一息つけたいろはは太い足を浮かせ、パタパタと揺らす
「はい!今日は唐揚げよ!」
いろはの目の前に山のような唐揚げとどんぶりご飯が置かれる
「えっ、こ、これ全部私の......?」
「そうよ?はい、あとこれ」
母親はいろはの隣に炊飯器を置く
「5合炊いてあるからおかわりは自分でよそってね」
まさかのいろは専用炊飯器の登場である
いろははあまりの量に狼狽える
ぐぎゅううぅぅぅぅぅぅぅ......
しかしいろはの胃袋は大喜びである
「い、いただきます!はぐっ!あむっ!がつがつがつがつがつがつ......」
いろはは飛び付くように食べ始める
唐揚げは一つ一つがボリューム満点でにんにくと醤油の風味が食欲を加速させる
そうなるとやはり米も進む
いろははあっという間に一杯目を完食するとすぐさま炊飯器を開ける
どんぶりにまるで昔話のようにご飯を山盛りにする
「がつがつがつがつがつがつ......はふぅはふぅ......うんまっ!がつがつがつがつがつがつ......」
唐揚げを頬張りひたすら米をかき込む
その結果、普通の量の母親と大差無い時間で完食してしまった
「うぅぶ......ご、ご馳走様ぁ......お腹ぱんぱん......ぐおぉぉぉぉぉぉっぷっ!!」
いろはの腹は大きく膨らみ、パツパツだったTシャツは捲り上がり、まん丸な腹が丸出しになる
その腹をさすると食事と共に飲み込んだ大量の空気が逆流し、爆音のゲップをしてしまう
「はいはい、お粗末さま、炊飯器も空っぽね」
満腹になった事でいろはは多少冷静さを取り戻す
食べ物を見ると我慢が効かなくなり、限界まで食べてしまう
自身の置かれた状況に改めて恐怖を覚える
「じ、じゃあ、うっぷ......部屋に戻るね......よっこいしょぉ......!」
いろははテーブルに手を付き、のっそりと立ち上がり、リビングを後にする
ごぽんっ......どぽんっ......
歩く度に胃の中身が揺れる
「げぷぅ......ぐおぉっぷっ!」
その度にいろははゲップを漏らしてしまう
「はぁ......階段かぁ......」
いろはの部屋は2階にあるため階段を登らなければならない
「いくぞぉ......よいしょっ!」
いろはは足を階段に乗せる
しかし足が予想以上に重いのと垂れた腹の贅肉が太ももに乗るためかなりの重労働だ
「ふんっ!ふぅ......ぶふぅ......ふんぎぃっ!」
一段ずつ休憩を挟みながら登っていく
そして数分かけてやっと登り切れた
「ぶはぁっ!はぁ......はぁ......疲れたぁ......!」
全身から汗が噴き出し、Tシャツがじっとりと湿る
そしてようやく部屋に入るとベッドに腰掛ける
そのベッドはいろはの巨体に合わせたキングサイズで多少軋むものの潰れることはないだろう
「ん?これ何だろ.......」
いろははベッドの脇に見慣れないボックスがある事に気がつく
開けてみるとそこには大量のジュースやアイス、ケーキや菓子パンなどがギッシリ詰まっていた
それはいろは専用の冷蔵庫だった
それを見るといろはは生唾を飲み込む
2Lコーラを手に取るといろはは慌てて栓を開ける
いろはの頭の中は唐揚げの脂をコーラで流し込む事でいっぱいだった
「ごきゅっ!ごきゅっ!ごきゅっ!ごきゅっ!」
炭酸の痛みなど関係なく一気飲みしていき、ものの数秒で飲み干してしまう
「ぶはぁっ!ぐふぅ!ふぅ!ふぅ!ぶげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぷっ!!げえぇぇっぷっ!!ぐえぇぇぇぇぇぇっぷっ!!」
とんでもない量のゲップを放ついろは
腹の中がごぽごぽと音を立てている
「うぐぅ......ゲップやばぁ......ぶごぉぉっぷっ!お腹くるじぃ......」
いろははそのまま身体を倒す
すると血糖値が爆上がりしたことにより強烈な睡魔が襲う
「うぁ......ヤバ......眠い......」
いろはは半ば気絶するように意識を手放すのであった
翌朝
ぶごごごごぉぉぉぉぉぉぉぉ......
ぶがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ......
一色家に響く爆音
それはいろはのイビキだった
ピピピッピピピッ......
アラームの音にいろはのイビキは鳴り止み、目を覚ます
「ふぐぅ......朝......?んん......身体重......」
いろはは自分の身体に視線を向ける
「はぁ......夢じゃなかったかぁ......」
もしかしたら夢なのではという儚い希望はあえなく砕かれ、いろはは反動を付けて巨体を起こす
「ふぁぁぁぁ......」
あくびをすると二重顎がぶにぃぃっと歪む
いろははのっそりと立ち上がるとクローゼットに向かう
開けるとそこには制服と私服
その私服もとんでもない大きさのものだった
「うわ......デカッ......」
ほんの数着並べただけでベッドが埋め尽くされる
いろははスマホで写真を撮る
「あとで先輩に見せよ......そうだ、待ち合わせして学校一緒に行こうかな」
いろはは八幡に待ち合わせのメッセージを送る
すると短く「了解」と送られてきた
いろはは少し嬉しそうにすると制服に着替える
相変わらずパツパツの制服に苦戦しながらもどうにか着替えるとリビングに向かう
「うわっ、足元全然見えない......怖っ!」
いろはは突き出た腹のせいで足元が見えず、恐る恐る階段を降りていく
そしてリビングに入る
「ふぅ......おはよぉ......」
「おはよう、って、あんた顔酷いわよ?先に顔洗ってらっしゃい」
「えっ?顔?」
いろはは洗面所に向かう
そして鏡を見るといろはは小さく悲鳴を上げる
いろはの顔は寝起きのせいか物凄く浮腫んでおり、デブながらもパッチリしていた目は半分も開いていない
頬もパンパンで唇まで圧迫しており、口角が垂れてしまっている
「もぉぉ!なんでぇ......」
いろはは化粧水を手に取り、顔をマッサージする
脂肪でぶよぶよの顔をぶにぶにと揉み込み、血流を促す
すると顔がポカポカと温まってくるとようやく普段のいろはの顔に戻った
「はぁぁ......良かった......」
いろははリビングに戻ると席に着く
「あら、顔戻ったわね、はい朝ご飯」
するとテーブルに山盛りのスクランブルエッグにソーセージ、そしてボウルになみなみとコーンフレークが入っていた
「いただきます!」
いろははコーンフレークを物凄い勢いでかき込んでいく
さらに他のおかずも合間につまみつつ、最後にボウルに残った牛乳を一気に飲み干す
「ぶはぁっ!ご馳走様ぁ!ぶげぇっぷっ!」
牛乳ひげを拭いながら満足そうな表情を浮かべる
「ほら、早く行かないと遅刻するわよ?あんた歩くの遅いんだから」
「わ、わかってるよぉ......いってきまーす......」
いろはは八幡との待ち合わせに向かった
八幡はいろはからメールを貰い、指定の場所で待ち合わせをしていた
しばらく待っているといろはがやってくる
「もぐもぐ......あっ!せんぱーい!」
いろはの手にはパンパンのレジ袋と菓子パンが握られていた
「おっす」
「先輩聞いてくださいよぉ......ウチのお母さんにこの身体のこと聞いたら元々太ってたとか言ってきてぇ......」
八幡は昨日の静の反応を思い出し、やはりかと納得する
「それに私の服も全部大っきくなってて......」
いろははスマホの写真を見せる
そこにはまるでカーテンのような大きさの服が何着か写っていた
「一体どうなってんだ......?」
「それにこれ......」
いろはは自身の生徒手帳を八幡に見せる
そこにはいろはの名前と顔写真
しかしその顔写真はまん丸のデブ顔だったのだ
「私......子供の頃からずっと太ってた事になってるみたいなんです......」
八幡は頭を抱える
事態は思ったよりも深刻なようだ
「とにかく学校に行くぞ......放課後、奉仕部で今後の話をしよう」
「は、はい......」
八幡はいろはの歩くスピードに気を遣いながらゆっくり学校へ向かった
昇降口で八幡と別れたいろはは緊張しながら教室に入る
「お、おはよー......」
「あ、いろはおはよー」
「おっすー」
クラスの人達はいろはを見ても全く狼狽えたりはしない
両親同様今のいろはに全く違和感は無いようだ
「よっこいしょ......」
ギシィ.......
いろはが席に着くと椅子が嫌な音で軋む
バギィッ!!
「うぶぉぉぉ!!?」
するといろはの体重に耐えられず椅子が潰れ、盛大に尻餅をついてしまう
「あはは!いろはヤバー!」
「椅子潰すとかどんだけ重いのよー」
「いろはデブ過ぎー!」
クラスから笑いが起きる
いろはは顔を真っ赤にしながら太い手足をバタつかせる
どうにか身体を回転させ四つん這いになるとどうにか起き上がる事ができた
「いろは、空き教室に余ってる椅子あるから3つくらい持ってきなよ」
「う、うん......そうするね......」
いろはは巨体を揺すりながら椅子を3つ持ってきて並べると恐る恐る座る
すると軋みはするものの重さが分散され、潰れる恐れはなさそうだ
「ふぅ......良かったぁ......」
いろはは一安心し、授業が始まる
「えー、であるからして......」
ぐぎゅううぅぅぅぅぅぅぅ......
「おいおい、誰だ?一限目から腹鳴らしてるのは?」
「ぷっ!」
「ふふふ!いろはったらぁ」
授業中、いろはの腹の虫が教室に響く
「うぅ......」
いろははあまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にする
「ていうかいろは、いつも何か食べてるのに今日は食べてないね?」
「えっ?」
「そういえばそうだね、お菓子とかパンとか」
「そ、そうだっけ......?じ、じゃあ食べようかな?」
いろははしめたと思い、荷物から食べ物を取り出すと口にする
「んふっ!おいしっ!」
菓子パンをいくつか食べると腹の虫は大人しくなる
結局毎時間食べ物を片手に授業を受けることになった
そして昼休み、いろはは大きな風呂敷を取り出す
それは大きな三段重ねの重箱だった
開けると大量のおにぎりに茶色一色のおかずがギッシリと詰まっていた
「はむっ!あむぅっ!がつがつがつがつがつがつがつがつがつ......」
いろはは相変わらずの食欲で特盛弁当を平らげていく
「ごきゅっ!ごきゅっ!ごきゅっ!ぶはぁっ!んぶぅ!ご馳走様でしたぁ......ごぶっ!ぶごぉっぷっ!」
いろはは弁当を完食し、炭酸ジュースを一気に飲み干すとゲップを漏らす
「もう!いろは汚いよー?」
「ご、ごめっ、ぶげえぇぇぇぇぇぇぇっぷっ!!」
「だから臭いってば!」
いろはは手で口を押さえるが結局出し切るまでゲップは止められなかった
放課後
いろはと八幡は奉仕部に来ていた
そこには雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣の姿があった
「それで比企谷君?一色さんも、話とは何かしら?」
「これから話す事は昨日俺と一色に起こった本当の出来事だ......」
八幡は自分達に起きた出来事を雪乃達に説明をした
それを聞いて雪乃は頭を抱え、結衣は頭の上に?を浮かべていた
「比企谷君......あなた本気で言ってるのかしら?」
「本気だし本当の事だ」
「それを信じろと?何か証拠は?」
「さっきも言ったが一色が痩せていた証拠は何も無い、他の人間の認識も服や写真も一色が昔から太っていたと言っている、お前らの認識もそうだろ?」
「そうね、一色さん、私の記憶では初めて会った時からあなたは太っていたわ」
「うん、私もおんなじ......」
2人は困ったように顔を見合わせる
「だから正直お手上げなんだ......頼む、力を貸してくれ」
八幡は頭を下げる
その光景に女性陣は驚きの表情を浮かべる
「わ、私からもお願いします!助けて下さい!」
いろはも顎肉を歪ませながら頭を下げる
「はぁ......分かったわ、その依頼、引き受けましょう」
「すまん、恩に着る」
「まず、可能性を整理しましょうか」
「可能性?」
「そう、もちろんあなた達を疑う訳ではない事は頭に置いておいて貰えると助かるわ」
「分かった」
「まず一つ、比企谷君と一色さんの記憶が混乱している場合、私はこれが一番可能性が高いと思っているわ、例の霧のようなもののショックで記憶の混乱が起きている」
「なるほど......」
「次にあなた達の言うように一色さんの存在が書き換わっている場合ね、正直これはやはり有り得ないと思うわ」
「どうしてだ?」
「一色さんの体型、そして写真や服などの物品、そして認識まで変わっている、私はオカルトの類は詳しくはないのだけれどいわば世界中の認識が変わってしまっているのよ?それだけの改変が起きる事はまずあり得ないわ」
「だが一色は実際に......」
「話は最後まで聞きなさい、そこである仮説を立ててみましょう、あなた達並行世界って聞いた事あるかしら?」
「並行世界?」
「いわゆるパラレルワールドってやつだな」
「そう、この世には無限に近い地球と同じような世界が存在しているという話があるの、でもそこは同じようで同じではない、同じ人間でも育ちや人間関係が違えばもはや別人と言ってもいいでしょうね」
「は、はぁ......」
「私の仮説はこうよ、比企谷君、一色さん、あなた達は精神だけがこの世界、「一色いろはが太っている世界」にやってきた......というものよ」
「せ、精神だけ?」
「そう、そしてその精神がこの世界の2人に乗り移ったことで記憶の相違が起きた」
「そんな事が......」
「少なくとも世界の改変よりは現実味が増すわ」
「もしそうだと仮定して解決方法は?」
「こうなった原因、例の箱とやらを探しましょう」
「なら倉庫を探そう、一番可能性が高い」
こうして4人は倉庫に向かった
「どうだ?」
「こっちには無いわね」
「こっちにも無いですね......」
4人は倉庫の中を捜索しているがまだ箱は見つからない
「ふぅ......ふぅ......」
いろはは汗だくになりながらも頑張って探している
八幡はその姿を見て、より賢明に探す
「うーん......あれ?これって......」
結衣は棚の奥にやたら古い箱を見つける手元に引き寄せるとその箱には古いお札が貼られていた
「あっ!ねーねー!これじゃない?」
結衣は嬉しそうに箱を持ち上げる
「お、おい!そんな雑に扱うな!」
「へ?」
すると結衣の持っていた箱のお札が破れ蓋が開いてしまう
すると黒い霧が大量に溢れ出す
「うわぁ!?」
「な、何してるの!?」
「せ、先輩!?」
「クソ!おい!大丈夫か!?」
黒い霧が視界を奪う
そしてしばらくすると霧の中から人影が出てくる
「ぶほっ!げほっ!先輩ぃ......」
それはいろはだった
だがその姿は変わらず太ったままだった
「あれ?元に戻ってない......失敗?」
八幡といろははがっかりしている
すると霧の中から雪乃と結衣も出てくる
「ぶほっ!けむーい!」
「げほっ!ぶほっ!み、みんな無事?」
「な!?」
「う、嘘!?」
そこには巨大な影が2つ
「ど、どうしたのぉ?......って、ゆ、ゆきのん!?」
「ゆ、由比ヶ浜さん!?その身体......」
雪乃と結衣の身体はいろはに負けない程肥え太っていたのだ
「そ、そんな......」
「わ、私達までおデブに......」
雪乃と結衣は巨体をまさぐりながら狼狽える
「お、お前ら!生徒手帳の写真はどうだ!?」
2人はハッとして生徒手帳を確認する
すると2人は写真を八幡といろはに見せる
そこには見事なデブ顔の2人の写真が貼られていた
「つまりここは......」
「私達3人が太ってる世界......?」
「おい!箱を探すぞ!まだあるかもしれない」
「そ、そうね!」
そして八幡達はさらに倉庫を捜索した
しかし、新たな箱を見つけることは出来なかった......
「もぐもぐもぐ......これとかどうかな?」
「んぐんぐんぐ......んー、雪ノ下先輩どう思います?」
「ごっきゅ!ごっきゅ!ごっきゅ!ぶはぁっ!そうね......もう少し情報を......ぶげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぷっ!!......集めましょうか」
あれから八幡達4人は元の世界に戻るため様々な並行世界に関する情報を集め、実践していた
しかしあれ以来、世界を移動できていない
「お前ら......食い過ぎじゃないのか?」
「し、仕方ないじゃない......食べても食べても満足できないのよ......あむっ!」
「そうそう、お腹ぺこぺこだと集中できないもんね......はむっ!」
「そうですよ!この世界ではこれが当たり前なんです!あむっ!はむっ!もぐもぐもぐ......」
いろは達3人は四六時中食べ物を貪り、毎回腹を大きく膨らませている
「げぇぇっぷっ!先輩達、これからどうします?」
「んー、そうだねぇ......ぶごぉぉっぷっ!」
「ごぉぉぉっぷっ!!なら駅前の焼肉食べ放題はどうかしら?あそこ値段の割に肉の質がいいのよ」
「じゃあ俺は帰るわ」
「待ちなさい」
「ヒッキーも来るの!」
「逃がしませんよ先輩」
「はぁ......」
八幡は巨デブ3人に今日も連れて行かれる
この生活がいつまで続くのかと八幡は頭を抱えるのであった
完