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「よし、皆、浣腸を終えたようだな!」

 額から脂汗をだらだらと垂らしながらも、伊坂は快活な笑みを浮かべていた。どんなに苦しくとも『お漏らし』することはないと学習したのか、手を腰に当て、胸を張り、背筋を伸ばして指導を再開する余裕を見せている。しかし、大腸を刺激する異物感はぬぐい切れず、その肉体は反射的に発汗を繰り返して、全身が汗まみれになっている。汗にまみれた筋肉質な肉体は、どこか日差しの強い夏のプールサイドにはよくマッチしていて、異様な訓練であるはずのそれをまるで正当なものであるかのごとく錯覚させていた。

 しかし、これら全てはインプラントチップの作り出したアブノーマルな変態の世界に過ぎない。その証拠に、伊坂と同じように立ち上がった隊員たちは一様にペニスを勃起させて、我慢汁を垂らしている。伊坂自身も流れる汗に混じるように、怒張した自身の鈴口から我慢汁がとろりとろりと垂れている。上半身だけを切り取れば激しい訓練に汗水流している逞しい男たち。しかし、その全貌は変態の集団にしかすぎない。そんなことにも気付かず今まで通り精悍な表情をなんとか保ったまま訓練を始めようとしている彼らに青年は少し同情した。ただし、同情したのは一瞬で無慈悲にも次なる司令を、彼らに埋め込まれたインプラントチップから直接、彼らの脳内に乱暴にねじ込んで行くのだった。

「では、まず手本を見せる。最初に言っておくがこれはれっきとしたスポーツ力学に基づいて考案された括約筋のトレーニングだ。少し風変わりに見えるかもしれんが、幸いここには男の俺たちしかおらん。何も恥じることや気にすることはない。まあ、ここにいる隊員に限って、羞恥なんぞで訓練を怠るような未熟者はいないと思うがな」

 少し茶目っ気を聞かせて、伊坂がそう言うと場が少し和やかな雰囲気に包まれた。伊坂は微笑んだまま、両手を頭の後ろに組み、目一杯胸を張った。

「『監督』、私はいつでも構いませんよ」

 伊坂に見せつけるように全裸を晒す逞しい隊員たちの視線が集中している。青年はそれなら遠慮なく、と伊坂の汗だくの背中に頬を寄せ、そのまま抱きしめるように腕を前に回した。そして、無遠慮に伊坂の怒張したペニスを掴む。

「ゔっ」

 我慢汁をまぶすようにして亀頭中心に磨き上げるように撫で回す。

「伊坂さん、一週間ぶりのおちんぽ弄りは、最高でしょう」

「んっ、んっ、どうして、一週間ぶり、って、分かった、あっ、あっ、ですかっ」

 伊坂は、大量の浣腸液をせき止め続ける鈍痛と同時に、性器への刺激を同時に受けて、引き腰になりながら身体をくねらせる。まあ、そんなことをしたところで背中にいる『監督』に無理やりに胸を張った状態に戻されてしまうのだが。

「そんなことどうでもいいから答えてくださいよ。一週間、抜いてないんでしょ?」

「ゔっ、あ、ハイ、どうでもいいです。そうですッ、俺は一週間オナニーしていませんッ、あっ」

「それならこんな風にチンポ弄られるのはさぞ気持ちいいでしょう?」

「ハイッ、一週間抜いていないので、チンポを弄られるのは気持ちいい、ですっ」

「汗だくの腋から独身男のオナニー臭がたっぷり匂ってきてますよ。この一週間、よほどオナニーがしたかったんじゃないですか? そうじゃないとこんなに匂わないですよね」

「ハイッ、オナニーしたくて、堪らなくなりましたが、本日の訓練のためにッ、オナニーをたっぷり我慢しました。だから私の身体からは、あっ、オナニー臭が、するのだと思いますッ」「臭い自分を知られて恥ずかしいですね。でもその分、気持ちよさも増している気がしてきませんか?

「あっ、あっ、気持ちいいっ、オナニー臭を嗅がれて、恥ずかしいッ。あっ、射精します、射精します。射精してもよろしいでしょうかッ。『監督』、射精してもッ、射精をッ」

「何言ってるんですか。射精を我慢するのが括約筋のトレーニングでしょう? 忘れちゃったんですか?」

「んんんんっ、そうでしたッ、私としたことが。皆、よく俺を見ておけ、こうして射精を我慢するのがトレーニングの重要なッ、ポイントだッ。ああッ、そうだ。射精我慢ッ、我慢がトレーニングッ、気持ちいいっ」

 もはや伊坂は臨界点を超えて、ついには白目を剥いて、狂ったように腰を振っている。それでも、どんなに強い刺激を与えたとしても、インプラントチップは決して射精を許可しない。夏の日差しと、どれほど逞しく鍛え上げようと耐えきれない量の負荷が身体にかかり、身体中がまるで水でも浴びたように汗みずくになり、滝のような汗がプールサイドに染み込んでゆく。

 青年、いや『監督』は、異常な快感に悶え苦しむ伊坂を好ましく思いながら、回り込み、鍛え上げられ張り切れんばかりに豊満な胸板を舌を這わせる。

「ああ、塩辛くて美味しいなあ。汗もたっぷりかいてすっかり食べごろですね。狙い通りの逸材で安心しましたよ。伊坂さん」

「あっ、『監督』、あっ、ありがとうございます! んっ、んっ、でも、食べごろ、とは、どういう意味ッ、――んぎッ」

 伊坂の声は、まるでテープが終わりを迎えて、音声が途切れたようにプツリと唐突に消えた。わずかな違和感を覚えた伊坂の思考をインプラントチップは容赦なく訂正する。思考を遮られ、伊坂は惚けた表情で唾液を垂らしていた。

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