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「では、よく見ていてください」

 『監督』は、伊坂に四つん這いになるように指示する。逞しい背筋が盛り上がる。隊員たちによく見えるように身体の向きを調整し、ザラザラとした髭の感触を確かめるように伊坂の顎を撫でまわした後、汗ばんだ額を拭ってやり、おもむろに唇を重ね合わせた。

 

「ん、ぐッ、むッ」

 無理やりに歯列をこじ開けられ、男同士で舌を絡ませあう。まるで花の蜜を吸うように、伊坂の唾液を啜りながら、『監督』は、伊坂の耳元で指を鳴らした。それだけのことだった。ダムが決壊したように唾液が滴り、伊坂の目は裏返り、嗚咽のような何かを漏らしているが、唇を塞がれているため、言葉にはならない。そして、全身を震わせるときつくしまっていたはずの肛門がゆっくりとその扉を開いてゆく。既に限界を超えていた括約筋はゴムがはじける様に緩む。同時に伊坂の唇は解放された。

 

「んぎいいいいいいいいいいいいいッ」

 獣のような咆哮を上げながら伊坂は、大腸を満たしていた浣腸液を大量に噴き出した。鍛え上げられた筋肉はより強い圧力で大腸から異物を残さず吐き出そうと腹圧をかけ続ける。激しく迸る『お漏らし』は、まるで噴水のようで、寸止めを何度も何度も続けて、たっぷり貯めた精液が射精される様子によく似ていた。

 激しい勢いの第一波が終わると、次に断続的に繰り返し水鉄砲のように吐き出すことを繰り返す第二波、そして残った浣腸液を滴らせながら排出してゆく第三波。かなりの苦痛を味わったことだろう。……本来ならば。

 しかし、インプラントチップを埋め込まれた伊坂はどうだろう。苦痛とも恍惚とも取れる表情。全身から分泌される汗。熱く加熱された身体。強張った筋肉の痙攣は、その逞しさを強調するように断続的に緊張と弛緩を繰り返す。

 彼が今、どう感じているかは、その股間を見れば一目瞭然だ。尻からの『射精』と同時にインプラントチップから大量の脳内麻薬とホルモンの分泌を促され、逞しいそのペニスは最大限に勃起し続け、水たまりを作るほどの先走りを、指一本の刺激すらなく、絶えずその鈴口から垂れ流し続けているのだ。浣腸液がほぼ全て吐き出された今も、それは続いている。

 上半身をぐったりと地面に倒し、涎を垂らしながら伊坂は、人生最大の幸福感を味わっていた。しかしながら、その性器は決して射精することを許されていない。すべてはインプラントチップによって管理されている。どんなに逞しくとも、インプラントチップからの命令には逆らうことができない。

 そんな伊坂の姿を、隊員たちは興奮したように我慢汁を垂らしながら食い入るように見ていた。よく見ておけという伊坂の言葉にしっかり従って、目を血走らせるほど凝視している。そしてそのペニスは伊坂と同じように、期待を膨らませて我慢汁を滴らせていた。膨らんでいるのは期待だけではない。今にも弾けそうな下腹部の鈍痛がより彼らのトレーニングへの期待を高めているのだ。インプラントチップによって。

 

 ところで、伊坂は人生最大の幸福をたった今、味わったばかりなのだ。しかし、記録は常に塗り替えられていくものだということを、『人生最大』をこの一日だけで、何度味わうことになるのか、彼はそのとき気づいてはいないだろう。

 『監督』である青年は、恍惚の最中にいる伊坂の顔を愛でるように撫で、再び唇を押しつぶすように重ね合わせた。

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