正義のヒーローvs[ERROR]の指輪 02 <4,000字くらい> (Pixiv Fanbox)
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2.
基地に帰還したスーパーヒーローたちは、Crowded Apeが引き起こした暴動について簡便な報告を済ませた。暴動は、24時間以上続いており、超人的な身体能力を持ち、その強靭な肉体をサポートするヒーロースーツを着用している彼らにも、疲労が蓄積していた。
身体が資本であるスーパーヒーローにとって休息もまた立派な職務の一環である。
キングマンとコンクエストマンは、基地内の自室でそれぞれ仮眠を取ることにした。
コンクエストマンは、自室に戻るとベッドに倒れ込んだ。
流石のスーパーヒーローもアーティファクトによる精神干渉を直接受ければ、相応に体力を消耗してしまう。
スーパーヒーローたちは、基本的にヒーロースーツを着用したままで過ごす。彼らに原則プライベートは存在せず、24時間いつでも出動要請があれば出動できるように常に待機しておく必要があるのだ。
それにヒーロースーツには、彼らの身体を清潔に保つため、汗や汚れなどを常に浄化する機能が備わっていた。そのため、戦いを終えたばかりのコンクエストマンがベッドに横たわったとしても、ベッドには汚れひとつ付くことはない。実際には大量に汗をかいているのかもしれないが、常にヒーロースーツで身体を清潔に保っているスーパーヒーローたちからは、不快な汗の匂いなどするはずがないのだ。
でも、それって人間として不自然じゃない? 汗水垂らして汚れて働いてこそ得られる喜びこそが、人間の根源的な喜びでしょう? それをテクノロジの力で無理やりに清潔に保つなんて、僕は不自然だと思う。
スーパーヒーローたちは、汗をかく喜びを知るべきだ。
汗臭くなる喜びを知るべきだ。
汚れに塗れ、労働する喜びを知るべきだ。
それが人間として当然の義務である。
安川という同性愛者の男性は、そう思っていた。
彼は、指輪型の[ERROR]を持っている。
安川はもう随分と前から、職員としてヒーロー基地内に侵入していた。指輪型の[ERROR]による『提案』を用いれば、職員として雇用されることなど造作もないことである。
「初めまして、私は安川です。私をこの基地の責任者のところまで案内してもらえませんか?」
「どうもこんにちは、安川です。私を基地の職員として雇用してみませんか? もちろん経歴は不問で雇ってはどうですか?」
そんな風に『提案』すれば、基地の職員として潜り込むことは難しくなかった。
ヒーロー基地は、当然アーティファクトを使う怪人たちが侵入することも想定されている。そのための警備体制や、あらゆるアーティファクトによる干渉を防ぐ高度な防護フィールドも正常に動作していた。基地では、何ひとつ異常を検知することはできなかった。
なぜなら、[ERROR]の指輪はアーティファクトではなく、指輪型の[ERROR]だったからである。
[ERROR]は、アーティファクトではない。
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3.
一方、キングマンは所用を済ませていたため、少し遅れて自室に戻った。
「お疲れさまです、キングマン」
部屋に入ると、中には安川という同性愛者の男性がいた。
彼は、指輪型の[ERROR]を所持している。
「ああ、ご苦労。安川くん」
安川は、少し前から職員としてヒーロー基地に働いており、キングマンにとっては既知の人物だった。安川は、キングマンの自室の掃除や整理などを職務として担当していた。当然、自室に安川が自由に出入りすることをキングマンは了承している。安川は好青年であり、キングマンも彼を信用していた。
キングマンの部屋のベッドの上には、コンクエストマンが横たわっていた。
コンクエストマンは、Crowded Apeによる攻撃を受けて、疲労していたため自室に戻って休息をしているのだ。
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・コンクエストマンは自室に戻り、ベッドで仮眠を取っていた。
・同時刻、キングマンは自室に戻った。
・キングマンは、自室のベッドで仮眠を取っているコンクエストマンを発見した。
つまり、コンクエストマンの自室と、キングマンの自室は同一である。
キングマンとコンクエストマンは、同じ部屋を自室として共有しているのだ。
「コンクエストマンはお疲れのようですね」
安川は笑って言った。
「ああ。今日はよく頑張ってくれた。ゆっくり休ませてやろう」
この部屋にある唯一のベッドをコンクエストマンが陣取っているため、キングマンは仕方なくチェアに腰掛けて、休むことにした。
「キングマンも疲れているのでしょう。そんな場所で休まずに、ベッドで休んではどうですか?」
安川は『提案』した。
すると指輪型の[ERROR]は、妖しい光を放ち、その力を発揮する。
「それはいい考えだな」
キングマンは、[ERROR]の影響を受け、あっさりと『提案』を肯定した。
先ほどまでは、コンクエストマンを気遣い、彼をベッドでゆっくり休ませたいと思っていたのだが、肯定した瞬間に、自分もベッドで休むべきだと彼は考えを改めたのだ。
キングマンのベッドは、さほど狭いわけではなかった。
しかしながら、スーパーヒーローとして活躍するほどの体格を持つ大柄な男二人がベッドに横たわると、やはり幅が少し足りない。やむを得ず、キングマンはコンクエストマンに密着する形で、ベッドに横たわった。
コンクエストマンの身体からはむせ返るような汗の匂いがしており、密着するキングマンは否が応でも、その匂いを間近で感じてしまう。
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・コンクエストマンからは、汗の匂いがしている。
・ヒーロースーツには汚れを浄化する機能がある。
つまり、ヒーロースーツの浄化機能とは、表面の汚れを除去するだけの機能である。そのため、ヒーロースーツの内側の汚れを除去して、清潔さを保つことはできない。
Crowded Apeの起こした暴動は24時間以上続いた。その間、二人は暴動を鎮めるため、またCrowded Apeの居場所を探るために、動き続けていたのだから汗をかいていて当然である。
当然ながら自分の身体も同じくらい汗で蒸れているのだろうと、キングマンは思った。
キングマンは汗で張り付いたヒーロースーツが少々不快だったが、ヒーローは24時間いつでも出動できるように待機する必要があるため、原則としてヒーロースーツを脱ぐことはないため、そのままの姿でいるべきだと考えた。
ヒーローとして立派な矜持を持つキングマンにとって、ヒーローとしての十分に務めを果たすためだと考えれば、自分の身体がヒーロースーツで常時包まれて、常に汗で蒸れて不潔な状態であろうとも、そんなことは苦でもないのである。
巨漢であるキングマンがベッドに横たわったことで、スプリングが音を立ててベッドが大きく揺れた。そのはずみで、コンクエストマンは目を覚ましたようだった。
「すまない、起こしてしまったか?」
キングマンが申し訳なさそうに言うと、コンクエストマンはベッドを占領してしまっていることに気づき、慌ててキングマンが隣で休むことができるスペースを作った。
「こちらこそ申し訳ない。キングマンも疲れているというのに、共用のベッドのど真ん中で寝てしまうとは。……俺はどうやら思った以上に疲れてしまっていたようです」
スペースを空けたと言っても、巨漢二人がベッドに並ぶことに変わりはない。身体と身体が触れ合ってしまうことは避けることができなかった。なるべく身体を触れさせぬようにと二人は、窮屈そうに距離を取っていた。
その様子を見かねて安川は『提案』した。
「キングマン。折角だからコンクエストマンを腕枕してあげてはどうですか?」
「腕枕だと?」
コンクエストマンは思わず眉根を寄せた。
しかし、キングマンは違った。
「ああ、腕枕か。それはいい考えだ」
反射的にキングマンは、[ERROR]の力によって『提案』を肯定し、笑みを浮かべていた。
「なんの冗談ですか、キングマン」
コンクエストマンは少し困惑しながら、身体を起こした。
「いや、冗談ではないよ。私は腕を鍛えている。この鍛えた腕を枕にすれば、コンクエストマンもゆっくり休むことができるだろう。ヒーローとして、十分な休息を取ることも重要な職務のひとつだ。そのためなら、好きなだけ君に腕枕をしてやる覚悟が私にはあるぞ。コンクエストマン、さあ私の腕で寛ぐといい」
「キングマン、一体さっきから何を言っているんだ? それに、そもそも……」
コンクエストマンは、ベッドから身を起こし立ち上がると、安川を睨んだ。
「君は何者だ。いや待て。そもそもなぜ、君はこの部屋にいるんだ?」
それは当然とも思える問いだった。
その問いに対して安川は、コンクエストマンを完全に納得させる答えを用意していた。その答えとは、当該オブジェクトを参照することができません。プロッタによる記述を中断します。 /
注意: プロッタによる記述に失敗しました。一部の記述に欠落が生じる可能性があります。同一の宇宙に再接続しています。