◆ 末広町店:DVD発売バニーさん(皆川ユーリ・21)の場合 (Pixiv Fanbox)
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ステージ裏に立つユーリの肩が、ガウンの下でかすかに震えていた。
白いウサ耳はライトの熱を受けて影を落とし、
胸元には蝶ネクタイとカフスだけ。
そして、腰骨から脚の付け根へ吸い込まれるように細い布が伸びる──
末広町店特製の、ほとんど「線」だけのハイレグTバック。
ガウンを脱げば、大事なところを隠すものはほぼ何もない。
「ユーリちゃん、ステージ入りまーす」
スタッフの声に、ユーリは深呼吸しようとして、
浅い息しか吸えなかった。
それでも、ゆっくりとガウンの前を開く。
布が肩から滑り落ちた瞬間、外気が全身に触れた。
白い胸とふっくらした乳首がそのまま露わになり、
ライトの反射で肌がほんのり艶を帯びる。
(……もう、戻れない……)
店長が横で小さく頷いた。
「うん。可愛い。堂々としてなくてもいいからね。立ってるだけで十分だから」
ユーリはこくりと頷き、ステージへ続く通路へ。
ヒールがコツ、コツ、と響くたびに胸が揺れた。
──暗転。
MCの明るい声が会場を突き抜ける。
「それではお待たせしましたー! 新作DVDの発売を記念して……
末広町店の人気バニー! ユーリさーん!!」
照明が一気に開く。
トップレスの胸元にはライトがまっすぐ落ち、
ハイレグTバックの“線”が、肌の艶と一緒にくっきり縁を描く。
会場は一瞬で沸騰した。
「ユーリー!」
「かわいいー!!」
「すご……今日やば……!」
ユーリは視線を泳がせながら、
受け取ったマイクを両手でぎゅっと抱えるように持った。
「……あ、ありがとうございます……」
その一言だけでさらに歓声が上がる。
MCは笑顔のままユーリを見る。
その緊張も羞恥も“イベントの熱”として吸い上げる、職業の顔だ。
「いやぁ、ユーリさん! 今回のDVD、スタッフさんに聞きましたけど……
相当見応えありましたよねぇ?」
会場が、笑いとざわめきで揺れる。
ユーリはマイクを胸元の前に寄せたまま、
指先だけでそっとカフスの端をつまんだ。
隠したいのに、隠せる布がどこにも無い。
「……えっと……そうですね。
なんかカメラが近かった、です……」
頬がぽっと赤くなる。耳まで熱い。
MCは即座に拾う。
「近かった! そうなんです!
長接写!! 4K映像で下の毛の一本一本までくっきり、はっきり!」
会場のボルテージが上がる。
「では──ユーリさんが個人的に、
“ここは恥ずかしかったなぁ”って思ったシーン、ありますか?」
ユーリは「う……」と小さく喉を詰まらせ、
視線だけそっと足元へ落とした。
「あー……最後の……ベッドの上のシーン……とか……」
噛むような小さな声。
でもマイクは全部拾う。
MCは大げさに驚いて見せ、会場を笑顔にする。
「やっぱり! あの擬似シーンですよね!!
いや〜ファンのみなさん、あそこは絶対観た方がいい!!」
会場が歓声で波打つ。
ユーリは思わず視線を伏せ、
胸元の前でマイクを持つ手が少し震える。
その横の指先には、控室で渡されたDVDパッケージが握られていた。
そこに写っているのは──衣装よりさらに過激な彼女自身。
「なんでも、お店のスタッフの皆さんと試写会をされたとか!
そのときの反応はどうでしたか??」
あれは死ぬほど恥ずかしかった。
上映中ずっと逃げ出したかった。
大スクリーンで自分を観るなんて、どんな拷問だろう。
「すごくみんな……いいねって言ってくれました…」
かどうかは思い出せない。
思い出したくもない。
「では全国のファンのみなさんに、改めて本作の見どころを、どうぞ!!」
ユーリは引きつった笑顔のまま、そっとパッケージを掲げる。
「……えーと……見どころ……全部……見えちゃってる……ところ、とか……」
「はい! みなさん、大きな拍手を〜!
ユーリさんの“全部見えちゃってるところ”、要チェックですよ〜!!」
会場:\うおおおおお!!/
「ではここから3分間! 写真撮影タイムです!!
みなさん、カメラ・スマホのご準備を!!」
「えっ、えええ!?」
これは打ち合わせでも聞いていなかった。
(……え、この格好で? この人数を前に!?)
胸を隠すものはなく、“線”ほどのハイレグしかない。
それでも彼女は震える指でぎこちないピースを作り、
パッケージをもう片手で掲げた。
引きつった笑顔。
耳まで真っ赤。
内腿がきゅっと寄る。
「……DVD……発売中…よろしくおねがいします……」
瞬間。
──カシャッ!! カシャカシャカシャシャシャ!!
フラッシュが一斉にたかれ、観客が一段と沸いた。
会場:
\かっわいいーーー!!/
\今日イチ照れてる!!/
\今の絶対バズる!!/
ユーリは一歩よろけた。
顔が熱すぎて、もう何も聞こえない。
MCが爽やかにまとめる。
「以上! 皆川ユーリさんでしたー!!
このあとサイン会ですので、そのまま会場後方へどうぞ〜!」