練馬店:幼馴染みバニーさん(新倉メイサ・26)の場合② (Pixiv Fanbox)
Content
「ごめん、俺……帰るわ」
「えっ、ちょ、ちょっと待って!」
メイサは思わずショウタの腕をつかんだ。
「だめ、帰らないで! ね、一緒に話そ……!
わ、わたしサービスするから!……あっ、違うよ!? 裏のサービスとかじゃなくて!
……って何言ってんだろ、わたし……」
自分で言って自分で赤くなり、
ショウタの腕をそっと引き寄せる。
指先に触れる、柔らかくて温かい感触。
ショウタの心臓が跳ねた。
(やば……近い……)
結局ショウタはカウンターの席へ座った。
ぎこちなく向かい合う二人。
さっきまで弾んでいた会話には戻れない。
互いに視線をそらし、
沈黙がテーブルの上に落ちる。
「メイサ、ドリンクお願いねー!」
店長の声。
「えっ、あっ……はーい!」
軽く跳ねるように返事して、
「ちょっと待っててね」と微笑み、席を離れる。
胸元が揺れ、照明に肌が浮き立つ。
ショウタは視線を泳がせた。
(……やっぱ……無理だ……)
メイサは笑顔をつくり、
ショウタの正面にいる別の客へドリンクを差し出す。
「お待たせしました〜」
その瞬間。
視界の端でショウタの眉がわずかに寄る。
胸の奥に、ざらりとした感情が走る。
(こんな姿……他の男にも……?
いつも? 今日も? これからも?)
露わな乳房。
白い背中。
鋭いVラインの赤いハイレグ。
向けられる笑顔が自分ではないという事実。
──嫉妬だ。
資格なんてない。
十年以上会ってなかったのに。
客のひとりにすぎないのに。
それでも、止められなかった。
メイサが戻ってくる。
「お待たせー、ショウく──」
そのやわらかい声を遮るように、
ショウタの口が勝手に動いた。
「……メイねーちゃん。
なんで……この仕事、してんの?」
言うつもりじゃなかった。
踏み込むつもりなんてなかった。
ただ、もう抑えられなかった。
メイサは驚いたように瞬き、
ほんの一瞬うつむく。
沈黙がつづく。
店のBGMだけが、ふたりの距離を測るように流れている。
ショウタは言葉を探すが、何も出てこない。
メイサは小さく息を吸って、
ぽつりと呟いた。
「……わたしね、お金欲しかったの」