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「あの……付き合ってください」

 

「あ、ありがとう」

 

 放課後の教室で少女がクラスメイドの男子に告白していた。

 

 よくある青春の一コマだ。

 

 第三者がそれを見ても甘酸っぱい空気に即座に回れ右をしてさるだろう。

 

 それが普通の第三者ならば……。

 

「先輩~、見ちゃいましたよ……」

 

 それを見ていたのが葛城桃花でなければ、彼の運命は変わっていただろう。

 

 しかし、運命の女神は彼にとって最悪の目を出してしまった。

 

 破滅の目を――――。

 

 ◆

 

「おはようございます! 先輩!」

 

「お、おはよう」

 

 橘翔が玄関を開けるとアホ毛をソヨソヨと揺らす小柄な女子高生がいた。

 

 葛城桃花。

 

 中学校の後輩で、学力テストはいつも一位。県内トップクラスの高校でも受かったはずなのに、何故か中堅クラスの俺と同じ学校に通っている変わり者だ。

 

 本人いわく、家が近くて学費が安くて先輩がいるから、と言われたが最後のはどう考えてもおかしい。

 

 え、俺のことが好きなの?

 

 と思うが、そんな告白はされたことがない。

 

 陸上部の時からモテモテで俺が意識してた時は他の男子と付き合ってたんだぞ?

 

 そんな卒業してから好きになるなんて展開はありえないと思うから、からかったんだな、と流していた。

 

 ただ、礼儀正しいのか、毎朝こうして俺と家の前で待っている。

 

 懐かれてはいるよな。

 

 桃花は可愛いし、頭脳明晰、運動神経抜群、なのですぐに彼氏とかできそうだ。

 

 春の来ない俺とは大違い。

 

 しかも、付き合ってるの?って聞かれても違うのでとても辛い。

 

「先輩、どうされました? 体調でも悪いんですか? 栄養ドリンク剤買ってきますか? 熱なら病院に行きますか?」

 

「いや、過保護すぎだから! 大丈夫だよ!」

 

 俺の母かっ!

 

 桃花はちょっとしたことで過剰に心配してくるのだが、距離が近くて困る。

 

 こうして甘ったるい匂いが髪からしてきて顔が赤くなるだろうが。

 

 俺は気まずくて向きを変えて学校へ歩きだした。

 

「ほら、行くぞ!」

 

「はい!」

 

 桃花はいつもの様にご機嫌で俺の後をついてくる。

 

 だが、この後、この可愛い桃花の歪んだ本性を俺は生涯忘れることがなくなるとは夢にも思わないのだった。

 

 ◆

 

「…………はっ!」

 

 俺が目を覚ますと何故か白い天井が見えた。

 

 嗅ぎなれた薬の匂いと、ベットを囲む薄ピンクのカーテン。

 

 ここはたぶん、保健室か。

 

 ……おかしい。

 

 たしか、今日は午前中の授業だったけど、図書室で勉強でもしようと思って残っていた。

 

 そのあと、桃花が来て一緒に昼御飯を食べたんだ。

 

 サンドイッチのおすそわけを貰って、コーヒーを飲んで図書館に向かって――。

 

 勉強してる間に眠ってしまったのか?

 

 でも、おかしい。

 

 それなら、図書室にいなければならない。

 

 何故、保健室にいるんだ。

 

 とりあえず起きようかと思ったが、身体が動かない。

 

 麻痺してるみたいで、ジン、と痺れているのだ。

 

 どうなってる?

 

「あは♪先輩、目が覚めましたか?」

 

 カーテンが乱暴に開けられ、姿を見せたのは何故か俺のよく知る顔だった。

 

「も、桃花?」

 

「ふふふ、先輩~。目が覚めましたか?」

 

「何だその言い方は? 桃花が何かしたのか?」

 

「そうで~すよ。先輩が悪いんですよ。ずっと私が側にいるのに他の女に目移りしちゃうんだから」

 

 明らかに目がやばい。

 

 爛々とした瞳には暗い感情が渦巻いているのだ。

 

「おい、何したんだよ! 身体が動かないんだが。それに俺の彼女でもないだろがっ!」

 

「ちょっと一服盛っただけですよ。手足が痺れるだけですからご心配なく。それにしても酷い言い方ですね。私、ずっと先輩が好きだったんですよ? ずっと、ずっと……ずっとずっとずっとずっと……」

 

 十分な犯罪行為だよな?

 

 なんでそんな楽しそうなんだ?

 

 て言うか、まじで逃げたい。

 

 桃花の本性を今さら知って背筋が凍る。

 

「あぁ……先輩、動けなくて不安なんですか?その顔、とってもいいですよ?」

 

 恍惚とした表情の桃花は俺に覆い被さる様にして見下ろしていた。

 



 垂れ下がる髪からは甘ったるい香りが溢れ、クラクラしてくる。

 

 女子と吐息がかかる距離で顔を見合わすことなんてないから、こんな状況なのにドキドキしてしまう。

 

「いいから離れろ! 近い! あと、解毒剤とかないのかよ?」

 

「嫌です。それに解毒なんかしませんよ。そんなことしたら、先輩が逃げちゃうじゃないですか」

 

「今なら許すから! はやく!」

 

「嫌です。他の女に目移りしないようにしてから自由にしてあげますね♪」

 

「お前、他の男と付き合ってただろうがっ! 好きって何いってんだ!」

 

「あぁ、あんなの好きでも何でもないですよ? 先輩が私に嫉妬してくれたのが嬉しくて付き合ってただけです。キスも手も繋いでないから私は清いですよ。ほら……」

 

 ムニッ。

 

 桃花は俺の手をとると自分の胸に押し当てて来た。

 

 や、やわらか!

 

 桃花は掌に十分感触が伝わるように強く押し当ててくるので、グニグニと形が変わる感触が存分に伝わってくるのだ。

 

「ふふふ、先輩に胸揉まれてる。気持ちいい……。先輩はどうですか? 女の子の胸に触るのなんか初めてでびっくりでしょう?」

 

「なんで初めてって知ってるんだ?」

 

「だって先輩のことずっと見てましたから。部活の時も塾の時も休みの時もずっとです」

 

 やばい……。

 

 可愛いのになんて残念なんだ。

 

 てか、完全に病んでるんですがっ!

 

 助けて!!

 

 先生がなんでいないんだよ!!

 

 心の中で悲鳴をあげた俺に桃花はそのままのしかかってきた。

 

 華奢なのにむっちりとしたお尻と桃花の小柄とはいえ、体重が腹部にかかり沈みこむ。

  

「ふふふ、初な先輩の唇頂きます♪」

 

「んー!!」

 

 躊躇なく俺の唇に柔らかい感触が伝わる。

 

 桃花にキスされた!?

 

 驚く俺の口をこじ開ける様に今度は舌が入り込み、舌を絡めるように口内を凌辱していく。

 

「んー!ん!!」

 

 初めての衝撃に驚く俺に対し、桃花は恍惚としたまましばらく貪るようにキスされた。

 

 キャラメルっぽい甘い味は桃花が図書室で舐めていたお菓子の味か?

 

「ごちそうさまでした♪」

 

 満足げな桃花はやっと顔を離すと実に満足げな表情で俺をみおろしている。

 

「先輩の顔、乙女みたいで可愛いです。キスしただけでそんな顔を赤くして……。今からされることなんかしたら、先輩壊れちゃうかもしれませんね」

 

「な、なにするつもりだよ」

 

「でも、大丈夫ですよ?先輩が壊れても私はずっと一緒です。むしろ、壊れた先輩を支える献身的な私って立ち位置もいいですね」

 

 桃花は俺の質問には答えず、一人で恐ろしい妄想に耽り出した。

 

「ふふふ、それとも壊れた先輩を支配する高圧的な立ち位置がお望みですか? 私、先輩が望むならどんな女にでもなりますよ?」

 

 凄い健気な台詞なのに、手足の自由を奪われ、のしかかられた状態で言われると恐怖しかない。

 

「でも、それは先輩を染めた後に決めましょうね🖤 先輩に盛った薬が切れる前に先輩が私しか見れないようにしないといけないから……」

 

 完全に据わった眼差しの桃花は口の端をつりあげながら、俺を見下ろして優しい声音で囁く。

 

「さぁ……先輩も怯えてないでこの瞬間を楽しみましょうね?」

 

 ◆

 

「ふふふ、どうですか? 目隠しされて、服をはだけさせられた気分は? 恥ずかしいですか? それとも屈辱的ですか? 先輩の赤い顔も可愛いけど、今の先輩も素敵ですよ? 見てるとこう……ムラムラします」

 

 真っ暗な視界のなか、桃花の声だけがやけに響いて聞こえる。

 

「ふふふ、キスで放心しちゃいましたか? それとも諦めて私の愛を受け入れてくれる気になりましたか? ふふふ、従順な先輩も好きですよ? じゃ、まずはここから染めてあげますね」

 

 ツツツツ……。

 

「んんんっ!?」

 

 突然のくすぐったいような、むず痒い様な、それでいて不快ではない味わったことがない感覚に俺は思わず声を漏らした。

 

 なんなんだ? 今のは?

 

「ふふふ、驚きましたか? 目隠ししてると感度がビンビンになるから刺激が強く感じられるでしょ? しかも、視界が塞がれて私に何されるのかわからないから余計に神経が過敏になって……」

 

 ツツツツ……。

 

「うっあっ!!」

 

 また同じ感覚に襲われ声をあげてしまう。

 

「先輩ったら、素質があるんですかね? 今何されてるわかりますか? 先輩の乳首を私が撫でてるんですよ? こうやって指先でコリコリ……」

 

「んっっ! やめっ!」

 

「コリコリ♪」

 

「ひゃっぅ!」

 

「次は左をコリコリ♪」

 

「うぁっ!!」

 

 初めて味わう感覚なのに、気持ちいい。

 

 年下の女子にこんな恥ずかしい行為をされてるのに、それを気持ちよく感じてしまうことに俺は困惑していた。

 

 困惑と快感が混ざって俺は桃花に強くやめろと言えずにいた。

 

 むしろ――。

 

「コリコリ♪コリコリ♪コリコリ🖤」

 

「んんっ! あっ!! くっぅ!!」

 

「ふふふ、先輩ったら、私が乳首を撫でてるだけでそんなよがっちゃって……。感じてるんですか? 感じてるんですよね? どうなんですか? 」

 

「ち、違う……」

 

 なんとか否定の言葉を出せたが、それはとても小さな声だった。

 

「あら、素直じゃないんですね。反抗的な先輩はもう少し素直になれようにしてあげないといけませんね🖤」

 

 楽しそうな桃花の声に俺は何をされるのか身構えることすらできなかった。

 

 手足が動かず、視界を塞がれた俺にできるのは、桃花が飽きるまで耐えることしかできないからだ。

 

 だが、そんな抵抗など無に等しい。

 

「コリコリ、コリコリ、コリコリ、コリコリ🖤」

 

「あああぁぁぁ!」

 

 さっきよりもずっと強い力で、それも同時に乳首を撫で回された瞬間、俺は女の子のように悲鳴をあげていた。

 

 小さな、それでいて心地よい快感の波が確実に身体の芯に血を集めようとしている。

 

 や、やばい。

 

 俺はこのままだとまずいと必死に深呼吸して心を鎮めようとする。

 

「あは♪ 先輩ったら無駄な抵抗をするんですね🖤でも、それも楽しいです。小さなプライドと先輩の理性がグチャグチャになって私に屈服して私しか見れなくなるまでの時間が延びるんですから。こうして、我慢して耐える先輩の姿は二度と見れなくなるんですからね」

 

 桃花の言葉の一言一言が恐ろしい。

 

 そして、こんな細やかな抵抗など無意味だとはっきりと笑っていた。

 

「ふふふ、じゃ、今度はもっと強めに行きますよ?」

 

 え、もっと強め?

 

「ちょっ! まっ!」

 

「待ちませんよ? ほ~ら♪」

 

 乳首を柔らかな指で摘ままれる感触が伝わると同時に凄まじい刺激が左右の胸を襲った。

 

「コリコリコリコリコリコリコリコリ🖤 ふふふ、今度はつねって🖤 指で潰して♪ ついでにくすぐりもいれてあげますね🖤」

 

「あ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ビクビクと手足を震わせながら俺は声の限り叫ぶことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Comments

苺猫

後輩に手玉に取られるの、最高です

異無

コメントありがとうございます。 来週は後編にあるので、ぜひ、よろしくお願いいたします