とある製作中作品の日常パート3 (Pixiv Fanbox)
Content
「葵君ってさ……もしかして」
ドクンドクンドクンッ‼
心拍数が跳ね上がった。緊張で呼吸が浅くなる。
どうしてそこで区切る。
次に紡がれる言葉は何だ。
変態?
千春さんにそんなことを言われたら立ち直れる自信ない。
二度とMorganaに行けなくなる。
それならいっそのこと自白するか?
自分から言った方がダメージを軽減できる。
「じ、実は――」
「私のこと……好き?」
思いもよらず言葉に、頭の中が真っ白になる。
僕は千春さんが好きだ。
こくりと首を縦に振った。
「わぁ、嬉しい。じゃあ……やっぱり両想いだね」
…………え?
今、千春さんはなんて言った?
両想い?
つまり、千春さんも僕のことを?
頭の中を嬉しさと困惑が混ざり合う。
これは現実なのか。
いや、待て。仮にそうだとしても、現在は違うのではないか。
千春さんをオカズに自慰している姿を見て、好きは嫌いになったのではないか。
僕はそれを聞かずにいられない。
「み、千春さん。でも、ほら。今の僕はただの変態ですよ。
千春さんと同じ香水をつけて、千春さんの画像で……シテる変態です。
失望したんじゃないですか? ははは……」
目を合わせられない。
自分で言って情けない。
せめてこんな状況以外で両想いと知ることができたら。
ツいてないな。一番ダメなバレ方だ。
不安げに千春さんを見る。
すると、彼女は小首を傾げ、「なんで?」と言った。
「なんでって……」
返答に困る。
これ以上、自分の汚点を深堀したくないのだが。
「私だってシテるよ。
葵君のこと考えて、毎日毎日。
今日も、さっき君が使ったコーヒーカップをオカズにしたばかり」
「えっ……」
「ふふ……両想いだったんだ。
よかったよかった。
実はね、もう結婚式会場予約してあるの。
式は明後日」
「え、いや……予約? え? 明後日?」
次々と驚きが襲いかかる。
そんな僕に構わず、千春さんは一枚の紙を取り出した。
「ほら、婚姻届持ってきたから……書いて?」
結婚したいかと言われれば、その通りである。
普通に嬉しい。嬉しいのだが。
婚姻届を差し出した千春さんが、にっこりとほほ笑む。
嬉しさより恐怖が勝る。
千春さんって……実はやばい人なのでは。
恋は盲目、愛が重いというのは、外から見る分には良いが、実際当事者になってみると考え物だ。
「す、少しお時間もらってもいいですか」
「ダーメ♡時間ないの」
「そんな、いきなりは……。まだ付き合ってもいないんですよ?」
「でも、私たち。お互いをオカズにして自慰してたわけじゃない?
今更、付き合う必要あるかな?
恋人の段階を飛ばして、すぐに夫婦になっちゃおうよ♡」
千春さんはカレンダーを見る。
今日は10月9日。明日はスポーツの日。
つまり祝日。
「明日はお店休みだし、葵君も学校ない。だから、今晩から始めようと思うの」
「始めるって……何をですか」
「ふふ、そんなの決まっているでしょう?
夫婦の営み♡」