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「……きろ……きろ……起きろ!」


耳に響く声に、俺はゆっくり目を開けた。

まぶしい光が、視界を白く染める。


ピッ――ピッ――ピッ――……。

規則的な電子音が鳴っている。


身体を起こそうとするが、全く動かない。

手も足も、首すら固定されている。


(……ここは……手術台……?)


——そうだ。

俺は去勢手術をすると言われて、薬を嗅がされたのだ。

慌てて自分の股間を確認したいが、指一本動かせない。


「ようやく目が覚めたんだね」


柔らかい声がすぐ近くで聞こえた。

あの女教師とその教師が数名、白衣姿で俺の顔を覗き込んでいる。


彼女は俺の頰を優しく撫でながら続ける。


「じゃあ今から、君の男としての象徴を切除していくからね。大丈夫、手術はすぐ終わるよ。部分麻酔で行うから、自分が女の子になるのを感じながら手術を受けてね」


(……おい!ちょっと待てよ!!)


口には分厚いさるぐつわが噛まされ、声にならない。

目だけを必死に動かして訴えるが、教師は微笑んだままメスを手に取った。


「さあ、始めるよ。嫌なら嫌って言いなさい?あっ、でも今は喋れないか、みおちゃん?」


下半身に冷たい消毒液が塗られる。

チクリという注射器の痛みと共に部分麻酔が効き始め、腰から下の感覚がじんわりと無くなっていく。


それでも痛みは感じないのに、皮膚を切開される感覚だけが、はっきりと伝わってくる。


(やめろ……触るな……俺の……まだ……!)


呼吸が激しくなり、胸が大きく上下する。


あの教師の声が、優しく囁く。


「ほら、感じて。君が十数年大切にしてきたものが、ゆっくりと無くなっていくところを。女の子仕様に、綺麗に整えていくのよ」


(う……うそだ……こんな……)


恐怖が頂点に達した瞬間、再びヘッドホンが頭に装着された。

洗脳の声が、甘く溶けるように頭の中に流れ込んでくる。


『お前はみおだ』

『お前は女の子だ』

『男の部分なんていらない』

『女の子になれて嬉しい』

『女の子の身体はとっても気持ちいい』


メスが動くたび、微かな振動が伝わる。

失われていく感覚。

俺の最後の男の象徴が、確かに切り離されていく。


(ああ……俺の……俺の……!)


涙が目尻を伝う。

俺の股間はゆっくり、確実に女のものに変わっていった。


——手術は意外に早く終わった。

あの教師が満足げに息を吐く。


「綺麗に仕上がったわ。アソコも女の子仕様だし、誰がどう見ても君は女の子。みおちゃん、よく頑張ったね」


俺はただ、天井を見つめながら全身を小刻みに震わせていた。


(……もう……戻れない……?俺……俺……)


◆


手術後、数時間経った頃、俺はベッドの置かれた独居房に横たえられていた。


下半身に鈍い痛みと、言葉にできないほどの空虚感だけが残っている。

さるぐつわは外されたが、手足の拘束はそのまま。

そこへ、再びあの教師が入ってきた。

彼女は俺の隣に腰を下ろし、優しく髪を撫でる。


「痛かった?でもこれで、みおちゃんはもう完璧に女の子。同級生たちの中で一歩リードした存在になれたわ」


俺は掠れた声で、かろうじて言葉を絞り出す。


「……俺は……まだ……男……」


言葉が詰まる。

“俺”という一人称すら、どこか遠く感じた。


教師はくすくすと楽しそうに笑った。


「ふふ、まだそんなこと言ってるの?あなたはもう膣が形成された女の子なの。ほらっ、触ってみて」


彼女はそう言うと、俺の上半身の拘束を外した。

腕を掴み、無理やり股間に手を導かれる。

恐る恐る触れた感触。


そこにあったはずの膨らみはほとんどなく、平らで、薄い割れ目のような柔らかい感触だけが残っていた。


(……なくなってる……本当に……)


指を軽く動かした瞬間、傷口の奥からじんわりと熱い疼きが広がった。

切除された部分が、まだ脈打つように熱を持ち、時折びくん……と小さな痙攣を起こす。


腰を少し動かしてみると、太ももの内側がじっとりと濡れていることに気づいた。

透明でねっとりした液体が、傷口からゆっくりと溢れる。

媚薬と女性ホルモンの影響が、まだ強く残っているのだ。


(……なんで……こんなに……濡れてる……?感じているのか……?)


乳首も疼いていた。

呼吸をするたび、膨らみ始めた胸が小さく揺れ、乳首が硬く尖っている。


「ほら、感じてるでしょ?女の子の体はこんなに素直に反応するの」


教師が耳元で、熱い吐息を吹きかけながら囁く。


「大丈夫。これからはもっと気持ちいい毎日が待ってるわ。同級生や新入生にも、女の子の身体が気持ちいいことを、いっぱい教えてあげてね」


その言葉に、下半身がびくんと反応した。

洗脳の声が頭の中で繰り返される。


『女の子の身体はとっても気持ちいい』


……それならこの身体もまんざらではないんじゃないか。


一瞬でも、そんなことを考えてしまった自分が、たまらなく嫌になる。

俺は布団に顔を埋め、声を殺して震えた。


男だった証が失われた夜。

女の子として生まれ変わった夜。


俺のこの施設での生活が、本当の意味で始まった気がした。



【おしまい】


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