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匂いが漂う薄暗い空間で、私は一人、大きな木製の机に向かっていました。

「ふふっ。立派な救世主になるためには、過去の術式ももっとしっかり学ばないと、ですね」

愛用の丸眼鏡を中指で押し上げ、私は分厚い魔導書に視線を落とします。青いドレスの上に羽織った白いケープが、ページをめくるたびに微かに衣擦れの音を立てました。

雨の魔女として、知識の探求はとても大切な修行です。でも、今日見つけたこの古い魔導書は、なんだか少し様子がおかしい気がします。ページを開くたび、描かれた魔法陣が妖しく発光し、微かに甘い香りが漂ってくるのです。

「ん……? 少し、室温が高いみたいですね。集中しすぎたのでしょうか……」

自分の頬が不自然なほど熱を帯びていることに気づき、私は熱を冷ますように、冷たい本の上に指を滑らせました。

──ですが、それが引き金だったのです。

「あっ……!? な、なんですか、これ……っ」

ページから強烈な紫色の光が溢れ出したかと思うと、魔導書に描かれた魔法陣が突如として暴走を始めました。

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