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その夜、世界で最も豪華絢爛なブライダルスイートルームは、ただ二人のためだけに用意された聖域と化していた。

窓外に広がるのは、満天の星々を地上へと撒き散らしたかのようにきらめく、大都市の壮麗な夜景。室内を優しく包み込むのは、琥珀色の暖かなランプの光だ。ベッドの純白のシーツの上には、祝福の薔薇の花びらが散らされ、微かに甘い芳香を放っている。

ベッドの傍らに立ち、静かにこちらを見下ろしているのは、人類史において最も華やかで、最も苛烈に生きた至高の皇帝。そして今、この瞬間においては、世界でただ一人の、自身の愛しい花嫁であった。

「……ふむ。何をそう呆然としているのだ、マスターよ。余のあまりの美しさに、言葉を失ってしまったか?」

ネロ・クラウディウス・ブライド。

純白のウェディングドレスを身に纏った彼女は、こちらを見つめ自信に満ちあふれた、しかしどこか甘く誘うような微笑を浮かべていた。

少し低い位置から彼女を見上げる形になるそのアングルは、彼女の均整の取れた、それでいて非常に肉感的なボディラインを鮮烈に際立たせている。

タイトに仕立てられたドレスは、彼女の豊かな胸の膨らみ、そしてそこから引き締まった腰へと続く見事な曲線を描き出していた。長く透明感のある純白のベールが、彼女の艶やかな金髪を覆い、床へと優美に流れている。随所に施された黄金の装飾がランプの光を反射し、彼女が纏う皇帝としての気品をさらに強調していた。

「良いぞ、存分に見惚れるがよい! 今日という日は、余の生涯の中でも、最も輝かしい祝祭の夜なのだからな。余を娶るという世界最高の栄誉、その全貌を今宵、貴様の心と身体にしっかりと刻み込んでやる!」

傲然と言い放ち、ネロは片手を豊満な胸元へと当て、もう片方の手でドレスのスカートの裾を微かに持ち上げた。

その緑色の瞳は、いつもの堂々とした輝きを放ちながらも、薄暗い部屋の熱気に当てられたのか、微かにとろんとした熱を帯びている。白い頬は、ほんのりと林檎のような薄紅色に染まっていた。

花嫁としての初々しさと、皇帝としての絶対的な自信が奇跡的なバランスで同居するその姿は、あまりにもエロティックで、自分の理性を根元から揺さぶるに十分だった。

「ふふ、だが、ただ見つめられているだけでは、少しばかり退屈だな。余の美しい奏者よ、貴様は余の『すべて』を望んでいるのだろう?」

ネロは悪戯っぽく、そして最高に扇情的な笑みを浮かべると、ゆっくりと片足を前に踏み出した。

ドレスの裾を掴んでいた彼女の白いグローブの指先に、グッと力がこもる。彼女は躊躇うことなく、その純白のプリーツスカートを太ももの付け根のあたりまで、大胆に引き上げた。

床に膝をつくほどの極端なローアングルから見上げる視界に、彼女の極上の肉体が飛び込んでくる。

「どうだ? 余が貴様のために選んだ、特製の婚礼用ランジェリーの出来栄えは。余の誇る至高の脚線美が、さらに際立っているとは思わぬか?」

露わになったのは、息を呑むほどに白く、そして驚くほど肉感的な太ももだった。

その柔らかな肉を締め付けているのは、繊細な白レースで仕立てられたガーターベルト。そこから繋がる純白のストッキングが、彼女のふくよかで滑らかな脚の曲線を完璧に強調している。

さらにドレスの奥には、わずかな赤リボンのアクセントがあしらわれた、極薄のレースのパンティが、彼女の最も神聖な割れ目を辛うじて覆っていた。

「うむ、貴様の視線が、余のガーターに釘付けになっているのがよく分かるぞ! 健全な男子として、実に入りやすい反応ではないか。誇れ、余の美貌に狂わされるのは、決して恥ずべきことではない!」

ネロは片手を腰に当て、ふんふんと満足げに胸を張る。

しかし、その強気な態度とは裏腹に、彼女の肌にはうっすらと細かな汗が浮かび、ランプの光を浴びて艶やかに輝いていた。呼吸は微かに速くなり、上下する豊かな胸が、ドレスのネックラインを押し広げている。

自身を最高の供物として差し出しながら、同時にこちらを完全に翻弄しようとするその不敵な挑発に、自分は一歩、彼女との距離を詰めずにはいられなかった。

私はベッドの端に腰掛け、彼女の引き締まった細い腰を引き寄せた。

至近距離で向かい合う二人の影。窓外の夜景の青と、室内のランプのピンクが混ざり合い、二人の肌を幻想的に染め上げる。

至近距離で見つめるネロの顔は、先ほどまでの傲然とした態度が嘘のように、熱い羞恥と情熱に濡れていた。

「あ……、奏者よ……。それほどまでに、余を、急き立てるか……」

彼女の長いベールが、私たちの顔を覆うようにして周囲の視界を遮る。ベールという薄い白い膜越しに、お互いの荒い吐息がダイレクトにかかり合う。

ネロの唇は微かに開かれ、そこから熱く甘い息が漏れていた。彼女のトレードマークである緑色の瞳は、今は半分ほど閉じられ、快感への期待と、愛しい者への純粋な思慕で潤んでいる。

「うむ……、良いだろう。これが、真の婚礼の誓い、最初の一歩だな……」

ネロは震える手で自らのベールを少しだけ持ち上げ、遮るもののない状態で、自分にその美しい唇を向けた。

彼女の少し開いた口元から、小さな、愛らしい舌の先が覗く。

自分は彼女の滑らかな頬を包み込み、ゆっくりと唇を重ねた。

ベールが二人の肩のあたりに滑り落ち、柔らかな布の感触が、私たちの密着度をさらに高めていく。

「ん……っ、ふ、ぁ……」

最初は触れるだけの、静かな口づけ。しかし、ネロが自ら私の首に腕を回し、すがるように身体を押し付けてきたことで、そのキスは一気に深く、貪欲なものへと変わっていった。

お互いの舌が絡み合い、甘い唾液が口内で混ざり合う。ちゅ、という生々しい水音が、静かな寝室に小さく響き渡った。彼女のドレスの肩紐が、激しい抱擁によって、じわじわと白い肩から滑り落ち始めていた。

~続~

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