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秋の夜風が、縁側に飾られたススキの穂を静かに揺らしている。

雲一つない夜空には完璧な円を描く十五夜の月が煌々と輝き、庭の木々や古風な日本家屋を青白く照らし出していた。

お月見団子に温かいお茶。

縁側に用意されたものはとても風情のある伝統的な秋の光景だ。

ただ一つ、私たち二人の服装を除いては。

「ユミ。月といえば兎、というこの国の伝承は理解しています。……ですが、なぜこのような痴態を晒さねばならないのですか」

私の隣に正座するアルトリアは、不満げに眉をひそめながら私をジロリと睨みつけた。

彼女が身に纏っているのは、深いロイヤルブルーのバニースーツ。

光沢のある生地が彼女の引き締まった腹部や豊かな胸のラインを強調し、頭にはピンと立ったうさぎ耳のカチューシャ、首元には蝶ネクタイ、そして長い脚は黒い網タイツに包まれている。

「だって、せっかくの十五夜なんだよ? お月見といえばウサギだし、イベントごとは形から入らないと」

「形から入るにしても、限度というものがあるでしょう。お腹も、脚も、冷えてしまうのではないですか?」

♢

「くしゅっ……!」

私は思わず小さなくしゃみをしてブルッと身を震わせた。

布面積の極端に少ないバニースーツと網タイツという格好は、人間の私にはさすがに十五夜の夜気には堪える。

「……まったく。このような痴態を晒す服装を選んだ張本人が先に寒がるとは、どういうことですか」

私の隣に正座するアルトリアは呆れたように深くため息をついた。

彼女が身に纏っているのは深いロイヤルブルーのバニースーツ。

光沢のある生地が引き締まった身体のラインを強調し、頭にはピンと立ったうさぎ耳のカチューシャ、首元には蝶ネクタイ。

アルトリアは横に用意してあった大きなブランケットをバサリと広げると私ごとすっぽりと包み込んだ。

♢

「……せっかくお月様を見に来たのに。私たち、全然お月様を見てないね」

私が照れ隠しに夜空を見上げながら呟くと、アルトリアは静かに首を振った。

「私は見ていますよ」

「え? お月様?」

「……今は、貴女を」

アルトリアの翠の瞳が月の光を反射して熱を帯びたように揺らめいている。

その甘く、どこか切実な視線に射抜かれ、私の呼吸は浅くなった。私は吸い寄せられるように彼女の横顔へと顔を近づけ、その少し強張った唇に、自らの唇をそっと重ねた。

-続-

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