Home Creators Posts Import Register Favorites Logout

Content

秋の夜風が、縁側に飾られたススキの穂を静かに揺らしている。

雲一つない夜空には完璧な円を描く十五夜の月が煌々と輝き、庭の木々や古風な日本家屋を青白く照らし出していた。

お月見団子に温かいお茶。

縁側に用意されたものはとても風情のある伝統的な秋の光景だ。

ただ一つ、私たち二人の服装を除いては。

「ユミ。月といえば兎、というこの国の伝承は理解しています。……ですが、なぜこのような痴態を晒さねばならないのですか」

私の隣に正座するアルトリアは、不満げに眉をひそめながら私をジロリと睨みつけた。

彼女が身に纏っているのは、深いロイヤルブルーのバニースーツ。

光沢のある生地が彼女の引き締まった腹部や豊かな胸のラインを強調し、頭にはピンと立ったうさぎ耳のカチューシャ、首元には蝶ネクタイ、そして長い脚は黒い網タイツに包まれている。

「だって、せっかくの十五夜なんだよ? お月見といえばウサギだし、イベントごとは形から入らないと」

「形から入るにしても、限度というものがあるでしょう。お腹も、脚も、冷えてしまうのではないですか?」

真面目な顔で抗議する彼女に私は自分の姿を見せつけるように少しだけ胸を張った。

私は彼女と色違いの、深いボルドーレッドのバニースーツを着ている。

「お揃いなら恥ずかしくないよ。それに、アルトリアの青いバニー姿、すごく綺麗だし」

「む……っ。貴女が同じ衣装を着ていなければ、即座に脱ぎ捨てていたところです」

アルトリアはまだ納得がいかない様子でぶつぶつと文句を言いながらも、最終的にはそれ以上逆らうことを諦め、温かいお茶の入った湯呑みを両手で包み込んだ。

そして、三方に盛られた月見団子を一つ手に取ると、ハムッ、と小さな口を開けて真剣な表情で食べ始める。

頭の上のうさぎ耳。網タイツ越しに透ける雪のような太腿。

格好は異様なまでに艶っぽく、フェティッシュの塊のようなのに彼女の所作はいつも通り気高く、そして団子を味わう顔は純粋な子供のように可愛らしい。

そのあまりのギャップに私は思わず団子を頬張る彼女の横顔をじっと見つめてしまった。

「……何ですか。私の顔に、餡子でもついていますか?」

視線に気づいたアルトリアが、不思議そうにこちらを振り返る。

「ううん。アルトリアは今日も可愛いな、って思って見てただけ」

「っ……! 唐突に何を言い出すのですか、貴女は」

途端にアルトリアの白い頬が月の光の下でもわかるほどにぽっと朱に染まった。

彼女は慌てて視線を夜空の月へと逃すが、頭のうさぎ耳が動揺を隠しきれずに微かに揺れている。

そして秋の夜風が縁側に飾られたススキの穂を静かに揺らした瞬間。

「くしゅっ……!」

私は思わず小さなくしゃみをしてブルッと身を震わせた。

布面積の極端に少ないバニースーツと網タイツという格好は、人間の私にはさすがに十五夜の夜気には堪える。

「……まったく。このような痴態を晒す服装を選んだ張本人が先に寒がるとは、どういうことですか」

私の隣に正座するアルトリアは呆れたように深くため息をついた。

彼女が身に纏っているのは深いロイヤルブルーのバニースーツ。

光沢のある生地が引き締まった身体のラインを強調し、頭にはピンと立ったうさぎ耳のカチューシャ、首元には蝶ネクタイ。

アルトリアは横に用意してあった大きなブランケットをバサリと広げると私ごとすっぽりと包み込んだ。

そして、彼女自身もそのブランケットの中に入り込み、私の隣へとぴったりすり寄ってくる。

「寒いのは貴女でしょう。私はサーヴァントですから、この程度の気温などどうということはありません」

そう強がりを言うアルトリアだったが、私に体温を分け与えるという大義名分ができたからか、彼女の方から積極的に身体を密着させてくれた。

ブランケットの下で、私たちの肩と肩、そして網タイツに包まれた太腿同士が触れ合う。彼女の滑らかな肌から発せられる心地よい体温が、冷えた私の肌にじんわりと染み込んできた。

「アルトリアってば、文句言いながらすっごくあっためてくれるね。優しい」

私が彼女の肩に寄りかかり、わざと耳元で囁くと、アルトリアのうさぎ耳がビクッと跳ねた。

「マスター…いえ、妻の体調管理は夫として当然の務めです。……それに」

「それに?」

「普段の貴女も美しいですが、今夜のそのボルドーの衣装は……少し、目のやり場に困るほどですから」

恥ずかしそうに視線を逸らしながらも、真っ直ぐな言葉を返され、今度は私の方が一気に顔を熱くしてしまった。

静寂の中、二人の心臓の音だけがブランケットの下で重なり合う。

縁側から見える十五夜の月は、相変わらず美しく空に浮かんでいた。

「……せっかくお月様を見に来たのに。私たち、全然お月様を見てないね」

私が照れ隠しに夜空を見上げながら呟くと、アルトリアは静かに首を振った。

「私は見ていますよ」

「え? お月様?」

「……今は、貴女を」

アルトリアの翠の瞳が月の光を反射して熱を帯びたように揺らめいている。

その甘く、どこか切実な視線に射抜かれ、私の呼吸は浅くなった。私は吸い寄せられるように彼女の横顔へと顔を近づけ、その少し強張った唇に、自らの唇をそっと重ねた。

「んっ……! ゆ、み……っ」

不意の口付けに、アルトリアの肩が小さく跳ねる。彼女は驚いて身を引こうとしたが、私はブランケットの下で彼女の細い腰に腕を回し、逃がさないように抱き寄せた。

ちゅ、と小さな音を立てて何度も唇を啄むうちに、彼女の身体から徐々に力が抜けていくのがわかる。

私はそのまま彼女の唇を塞ぎながら、もう片方の手を、ロイヤルブルーのバニースーツの胸元へと滑り込ませた。

谷間を強調するように作られた硬い生地を指先で押し下げ、その奥にある、控えめで愛らしい膨らみへと直接触れる。

「ひゃうっ……!? だ、だめです、ユミ……っ。外で、胸など……っ」

アルトリアはハッとして私の手首を掴み、抵抗しようと力を込めた。 

だが、私は彼女の唇から顎のライン、そして白く細い首筋へとキスを降らせながら、胸を揉みしだく指先にはさらに熱を込める。

私の手にすっぽりと収まる、滑らかで柔らかな双丘。その先端の小さな蕾を、親指と人差し指で挟み込むようにして軽く転がした。

「んぁっ……あ、あぁ……っ」

途端に、私を止めるはずだった彼女の手からふっと力が抜け、代わりに私の腕をすがるように掴み直した。

「だめって言いながら、ここ、すごく硬くなってるよ。……アルトリアも、本当は気持ちいいんでしょ?」

「ちが……っ、これは、貴女が……不意打ちをするから……っ、んんっ……!」

抗議の声は私が胸の先端を少し強めに弾くたびに、甘い吐息へと変わって溶けていく。

Files

Comments

No comments found for this post.