【ヒッポリュテ】 戦火の果て、君と夜を【ストーリー完全版】② (Patreon)
Content
館の奥にあったのは、古代ギリシャの神殿を思わせる大理石で造られた豪奢な浴場だった。
獅子の頭を模した石の彫刻の口から、こんこんと温かな湯が注ぎ込まれ、広い湯船を満たしている。特異点の魔力の名残か、湯の温度は心地よい温かさに保たれていた。
「見事なものだな。まさか戦場の只中で、このような場所に出会えるとは」
感嘆の声を漏らしながら、ヒッポリュテは残っていた戦装束を躊躇いなく脱ぎ捨てていく。 裂けた布が床に落ち、革のベルトが外される。 最後に残った下着すらも剥ぎ取られた時、月明かりと湯煙の中に、彼女の裸体が完全な姿で露わになった。
アマゾネスの女王たる、無駄なく引き締まった肉体。 しかし、決して無骨ではない。豊かに実った双丘は重力に逆らうように誇り高く上を向き、くびれた腰から続く尻は滑らかで柔らかな曲線を描いている。 無数に刻まれた細かい傷跡すらも、同性である立香が見惚れてしまうほど、彼女の美しさを際立たせる勲章のようだった。
「マスター。ぼんやり突っ立っていては、君の疲れは取れないぞ?」
「あ、うん……」
立香も服を脱ぎ、湯気の立ち込める洗い場へと向かった。 少し小柄で、女の子らしい柔らかな立香の素肌。同性の前とはいえ、戦場の緊張感から一転した無防備な姿に、立香は少しだけ頬を赤くする。
獅子の口から流れ出るお湯を桶に汲み、ヒッポリュテは自らの身体にザバァと浴びせる。 こびりついていた土埃や血が、白い肌を滑り落ちていく。 濡れた黒髪が背中に張り付き、水滴が豊満な胸の谷間を伝って落ちる様は、まるで神話に描かれる水浴びの女神そのものだった。
「ヒッポリュテ、背中、流そうか?」
立香が歩み寄り、そう尋ねる。
「……ん。ああ、頼む。自分では届きにくいところもあるのでな」
彼女は背を向け、大理石の床に膝をついた。
立香は布に石鹸らしき香油を含ませ、彼女の背中を優しく擦り始めた。 滑らかで、それでいて力強い背中の筋肉。立香の小さな手が触れるたび、ヒッポリュテの身体がわずかに強張るのがわかる。
「痛くない?」
「問題ない。……むしろ、君の手は柔らかくて、心地よい」
ヒッポリュテは目を閉じ、小さく息を吐いた。
立香の手は、背中から肩、そして腕へと滑っていく。 その手が、脇腹を通り、ふと胸の側面に触れた瞬間だった。
「んっ……」
ヒッポリュテの肩がビクッと跳ね、甘い吐息が漏れる。
「ご、ごめん」
「いや……構わん。戦いの後で、少し……神経が過敏になっているだけだ。気にするな」
強がるような声だが、振り返った彼女の耳元は赤く染まっていた。
-続-
Files